フィチン酸サプリで体内の鉄分は不足しなかったうえにAGEsの生成を抑える効果まであるかも

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フィチン酸サプリで体内の鉄分は不足しなかったうえにAGEsの生成を抑える効果まであるかも

フィチン酸サプリで体内の鉄分は不足しなかったうえにAGEsの生成を抑える効果まであるかも

今回は「抗栄養素のフィチン酸ってアンチエイジングに効果的かもよ!」というお話です。
 
 
フィチン酸はシリアルなどの穀物、豆類・ナッツ類に豊富に含まれている抗栄養素の一種で、鉄や亜鉛、マグネシウムなどのミネラルの吸収を邪魔する悪者として取り上げられることがよくあります。
 
 
ただ、フィチン酸が豊富な上記のような食品には、むしろトータルで見ると生活習慣病リスクの改善に大きな効果が報告されています。これは一体どういうことなんでしょう?
 

フィチン酸は2型糖尿病患者の体内のAGEs生成を減らす効果がある

例えば2018年にバレアレス諸島大学が発表したランダム化クロスオーバー試験(#1)では、33名の二型糖尿病患者(年齢の中央値64歳)を対象に、フィチン酸のある効果を検証する実験を行なっていました。
 
 
その効果とは、ズバリ体内のAGEs(終末糖化産生物)を減らす効果のこと。AGEsは体内で溜まっていくと血管をカチカチにしたり発ガン性もあるので、あらゆる生活習慣病のリスクを高めると問題視されている物質です。
 
 
で実験内容に戻ると、実験は12週間ごとに3フェーズに分けた36週間で行われて、ザッと次のようなイメージになります。

 
フィチン酸サプリで体内の鉄分は不足しなかったうえにAGEsの生成を抑える効果まであるかも
 

ちなみにフィチン酸の摂取方法はサプリメントで、一錠380mgを一日3回飲んでもらったようです。フィチン酸サプリ抜きフェーズでは、このサプリがなくなる感じですね。
 
 
そしてこの実験の結果は、こんな感じになりました。

 

  • フィチン酸サプリ摂取フェーズで、実験後に有意にAGEsが減少していた(7.8 ± 0.4% → 5.8 ± 0.3%; p < 0.001)
  • ヘモグロビンA1c(HbA1c)の数値もフィチン酸サプリフェーズ後に有意に減少していた (7.8 ± 0.1% → 7.5 ± 0.1%; p = 0.029)
  • フィチン酸サプリ摂取フェーズ後でも、体内の鉄の量は不足するどころか、僅かに増えていた

 

ここから言えるのは、フィチン酸の追加摂取によって体内のAGEsが有意に減少、二型糖尿病に重要な数値まで改善した!ということです。ただ、実験終了後にサプリをやめてしまったら、その後元に戻っていったようですが..。
 
 
メカニズムとしては、フィチン酸の強力な酸化鉄イオンキレート作用が関係していると考えられます。ざっくりいうと、これによって中間産生物が最終的にAGEsになるのを防いでくれるんですね。
 

注意点・まとめ

ただし注意点もいくつかあって、ザッと以下の点は把握しておいたほうが良さそうです。

 

  • 食事はコントロール仕切れていない:サプリ以外の部分は、「健康な食品を積極的にとるように」「比較フェーズでは穀物や豆・ナッツ類を避けるように」などの事項を伝えただけなので、どこまで守ってくれたか定かではない
  • サンプルサイズは少なめ:実験に参加した人が少ない分、統計的なパワーは弱くなる
  • サプリの中身は参加者たちにも知られていた:プラセボ効果などの影響を受けたり、知ることで食習慣への意識が変わってしまう恐れもある分、実験の質が下がる

 

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

 

ポイント
  • 抗栄養素の一種で鉄や亜鉛などミネラル類の吸収を阻害すると言われるフィチン酸
  • 二型糖尿病患者を対象にした実験では、体内のAGEsやHbA1cを減らして二型糖尿病改善に効く可能性が示唆された
  • 鉄の不足も確認されず、現段階で、フィチン酸は穀物や豆・ナッツ類を避ける理由にはならないかも
 

こんな感じでしょうか。少なくとも、フィチン酸は一概に悪者とも言い切れないし、むしろ場合によってはプラスに働くことがあるんじゃないか?と。

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赤羽(Akabane)

今回の結果からも、少なくともフィチン酸は2型糖尿病患者にとっては良い働きをしてくれる可能性があります。それに「ミネラル類の吸収が阻害される」という結果に関しても、まだ決着がついたわけではなさそうなので、現段階ではあえて避けるほど悪者ではない気がします。以下に関連記事も置いておきますので、過去の大規模なエビデンスと合わせて、どうするかご検討ください。

穀物や豆・ナッツ類についてはこちらもどうぞ

参考文献&引用

#1 Pilar Sanchis, Rosmeri Rivera, Francisco Berga, et al. Phytate Decreases Formation of Advanced Glycation End-Products in Patients with Type II Diabetes: Randomized Crossover Trial. Scientific Reportsvolume 8, Article number: 9619 (2018).