赤羽(Akabane)
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【中年~高齢者向け】有酸素運動は体内の慢性炎症をどのくらい鎮める効果があるのか?
慢性的な炎症は、今や生活習慣病からうつ病などメンタルの病まで、万病の元とも言われている要素であります。
ここからは、健康と言えば!の有酸素運動にはどのくらいの抗炎症効果があるの?というシンプルなテーマを見ていきましょう。
中年~高齢者を対象にした総まとめ!有酸素運動にはどれ程の抗炎症作用が見込めるのか?
2019年に福建中医薬大学が発表したメタ分析(#1)では、11件のRCTから1138名の中高年(40~95歳)を対象に、有酸素運動によって体内の炎症性サイトカインがどの位減るのか?を調べてくれています。
有酸素運動の中身としては、太極拳やトレッドミル、ステップエクササイズなど色々な種類がありました。実験の期間は2~12ヵ月と中くらいの長さで、運動は週2~5回で一回20~90分というスケジュールでした。
また11件中8件で運動強度もしっかりチェックしていて、心拍数や乳酸の閾値などを参考に全体的には【中強度】で行われていました。炎症の測定基準は、C反応性たんぱく質(CPR)、インターロイキン6(IL-6)、腫瘍壊死因子(TNF-α)、インターロイキン4(IL-4)が使われて、簡単に言うとこれらが増えていたら炎症が起きている!というイメージです。
では以上を踏まえて、結果を見ていきましょう。
- 有酸素運動のグループは、普段通り過ごすグループと比べて、CRPとIL-6、TNF-αが有意に減少していた
- IL-4を測定した実験は2件しかなかったが、有酸素運動での有意な効果は見られなかった
まとめると、中強度の有酸素運動は中高年の人たちに高い抗炎症効果をもたらしてくれそうです。IL-4に関しては、調べている実験数が少なかったので何とも言えませんが、現状は目立った改善効果はなかったようですね。
注意点・まとめ
ただし注意点も幾つかあって、まず女性が8割以上を占めていた点は押さえておくとよろしいかと。つまり、今回の結果は女性のほうが参考になりそうな感じです。
また結果にバラつきは全体的にかなり大きくて、ここは「個人差や運動メニューなどでも結果に差が出やすい」というこれまでの見解と同じですね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 有酸素運動は体内の炎症を減らしてくれるのが科学の定説
- 中年も含めた中高年を対象にしたところ、中強度の有酸素運動は高い抗炎症効果があった
- ただし結果にバラつきが大きかったり、今回のまとめは女性が大半のだった
こんな感じでしょうか。これまでの科学的な見解をまとめると、有酸素運動に抗炎症効果があるのは間違いなさそうです。結果のバラつきは運動の種類や個人差でも出やすいことが予想されるので、多少は仕方ないかもしれません。
赤羽(Akabane)
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#1 Zheng G, Qiu P, Xia R, et al. Effect of Aerobic Exercise on Inflammatory Markers in Healthy Middle-Aged and Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Front Aging Neurosci. 2019 Apr 26;11:98.