赤羽(Akabane)
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寝る前のプロテイン飲料で睡眠中のたんぱく質分解を食い止められるぞ!という比較試験
寝ている間はある種の絶食状態なので、体内ではたんぱく質バランスが異化(分解)の方向に傾くことが分かっています。
当然ダイエッターやトレイニーからすれば、筋肉量は減らしたくないもの。そこで寝る前に飲むプロテイン飲料の効果について、最新のデータを見ていきましょう。
世界的食品会社ネスレの研究機関による研究結果
2019年にネスレの研究機関が発表したRCT(#1)では、寝る前のプロテイン飲料で体内のたんぱく質分解をどの程度食い止められるか?を調べてくれていました。
この研究では17名の中年男女(平均59.4歳)を対象に、彼らをランダムに2つのグループへ分けました。
- プロテイングループ(9名):21時に25gのたんぱく質が含まれたミルクプロテイン飲料、25gのマルトデキストリン、7.75gのキャノーラ油を飲んで寝る
- 比較グループ(8名):プロテイングループとカロリーを揃えたたんぱく質が含まれないドリンクを飲んで寝る
キャノーラ油を飲んだのは、おそらくプロテインの吸収を緩やかにして一晩中効果を保つ狙いかと思います。
でその晩の10時間でどのくらいたんぱく質が分解されているか?をチェック、さらに晩の後半でプロテインによって逆にたんぱく質合成は起こるのか?も調べたようです。
すると結果、こんなことが分かりました。
- プロテインを飲んだグループで比較グループよりもその晩のたんぱく質の分解が抑えられていた
- たんぱく質合成に関してはグループ間で有意な差は見られなかった
まとめると、寝る前のプロテイン飲料でその晩のたんぱく質の分解を抑えられた!という感じですね。となると合成率が高かったのかな…?と思いますが、こちらは大差なかったようです。
注意点・まとめ
ただし注意点として、今回の研究はネスレによる出資が出ています。企業のお抱え研究機関というのは、やはり企業にとって都合の良いデータが出やすいので、この点で信頼性は下がってしまいますね〜。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 寝る前のミルクプロテインでその晩のたんぱく質分解をかなり抑えられた
- たんぱく質合成にはグループ間で大差なかった
- 寝る前のプロテインは合成率を上げるというよりも分解を抑える方向に効果がありそう
こんな感じでしょうか。今回の研究以外にも、同様の結果を報告するデータはいくつかありますので、効果はあると捉えて良いかと思います。
赤羽(Akabane)
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#1 Karagounis LG, et al. Ingestion of a Pre-bedtime Protein Containing Beverage Prevents Overnight Induced Negative Whole Body Protein Balance in Healthy Middle-Aged Men: A Randomized Trial. Front Nutr. 2019 Nov 29;6:181.