「筋たんぱく合成を促進するから筋トレにはインスリンが超大事!」はどこまで本当なのか?

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「筋たんぱく合成を促進するから筋トレにはインスリンが超大事!」はどこまで本当なのか?

「筋たんぱく合成を促進するから筋トレにはインスリンが超大事!」はどこまで本当なのか?

今回は「インスリンが筋たんぱく合成を促進するって本当なの?」というお話です。
 
 
これまでの定説では、「インスリンが筋たんぱく合成を促進するから、筋トレ後にはプロテインと糖質をセットで摂ろう!!」みたいな話になっています。これは理論上正しい説で、ザっと以下のような仕組みに基づいています。

 

筋トレ後には糖質+プロテイン!の仕組み
  • 筋トレ後には筋たんぱく合成率が高まる
  • プロテインを摂ることで合成を促す
  • インスリンの分泌によって筋たんぱく合成は更に高まる
  • インスリンは主に糖質に反応して分泌される
  • 糖質とセットで摂ればもっと効果が上がる!
 

つまりインスリン分泌を狙って糖質も一緒に摂るべきなんだ、と。何となく納得できる内容ですね。
 

インスリンにたんぱく質合成を促進する効果はあまりない

ですが最近のデータをまとめて見ると、どうやらインスリンにはそれ程強い筋たんぱく合成促進の効果はないようです。
 
 
2016年にノッティンガム大学が発表したメタ分析(#1)によると、インスリンによる筋たんぱく合成促進の効果は限定的で、主に筋たんぱくの分解を抑える方向に働いていることが分かったようです。
 
 
この研究では25件の実験から173名分のデータ(平均18~74歳)を総まとめしていて、この結果、次のようなことが分かりました。

 

  • 全体的にインスリンはたんぱく質合成に有意な影響がなかった
  • しかしたんぱく質分解を抑える有意な働きがあった
  • 結果的にたんぱく質のネットバランス(合成量 – 分解量)を増やしていた

 

まとめると、インスリンでたんぱく質合成を促進!というのはちょっと間違いで、厳密にはたんぱく質の分解を抑える方向に効果があったと。で結果としてたんぱく質収支がプラスになるように働いていたんですね。
 
 
また血管内や血液中のアミノ酸濃度が実験の結果、減少、維持、増加した場合で違いを見てみると、筋たんぱく合成の促進が見られたのはアミノ酸濃度が増加した場合のみだった様子。
 
 
他にも、高齢者や糖尿病患者を対象にした研究だけで見ると、インスリンに対する筋たんぱく質合成促進の反応が有意に減っていたようです。これは加齢や糖尿病によるインスリン抵抗性が影響しているんではないかと考えられます。
 

注意点・まとめ

ただし注意点として、この辺りも押さえておくと良さそうです。

 

  • サンプルサイズが少ない:メタ分析だが一件ずつの参加者数が少ないので統計的パワーが弱い
  • インスリンは安静時に注入していた:筋トレ後や糖質などを摂取してインスリンを高めた場合とは結果が異なると思われる
  • 実験の質は低め:RCTなどの統制のとれた実験デザインではないので、参加者の選定に研究チームのバイアスがかかっている可能性もある

 

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

 

ポイント
  • インスリンが筋トレに大事な要素なのは間違いない
  • ただインスリンは筋たんぱく合成を手伝うよりも筋たんぱく分解を抑えるところで力を発揮していた
  • インスリンの筋たんぱく合成&分解への効果は体内のアミノ酸が骨格筋へ運搬される率に影響を受ける
 

こんな感じでしょうか。ここから言えるのは、筋トレ後の筋たんぱく合成効率が高いタイミングで、糖質とプロテインを同時摂取する!というのは理にかなっているということ。

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赤羽(Akabane)

今回はちょっと難しい内容でしたが、要はインスリンは筋肉のたんぱく質合成を手伝うより分解を抑える働きがあるよ、この効果はアミノ酸が全身の骨格筋にしっかり運ばれた場合に確認されたよ、だから筋トレ後は糖質でインスリンを分泌させつつしっかりたんぱく質を摂るといいよ、みたいな流れです。

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参考文献&引用

#1 Abdulla, H, Smith, K, Atherton, P.J., et al. Role of insulin in the regulation of human skeletal muscle protein synthesis and breakdown: A systematic review and meta-analysis. Diabetologia 2016, 59, 44–55.