赤羽(Akabane)
目次
慢性的な腰痛にはセルフのツボ押し指圧でも効果があるかもしれない
早速ですが、参考になりそうな研究データを見ていきましょう。
長引く腰の痛みにはセルフの指圧で対処?!
これは2019年にミシガン大学の教授らが発表したRCT(#1)で、67名の腰痛持ち患者を対象に、まず彼らをザっと次のようなグループに分けました。
- リラックス指圧:毎日30分程度、睡眠の質を高めるのに効果的という部分を自分で指圧していく
- 刺激指圧:毎日30分程度、疲れを取るのに効果的という部分を自分で指圧していく
- 普通のケア:実験の時点で腰痛のために受けているケアを続ける
そして各グループで6週間過ごしてもらって、実験前後の主観的な疲労感、睡眠の質、腰の痛みなどのアンケート調査を行いました。
するとこうした実験の結果、こんなことが分かりました。
- リラックス指圧グループ vs. 普通のケアで比べると、痛みが有意に改善していた
- 刺激指圧グループ vs. 普通のケアで比べると、痛みや疲れが有意に改善していた
- 睡眠の質に関しては、グループ間で有意な差は見られなかった
まとめると、セルフ指圧を毎日やったグループで痛みが改善していたんですね。指圧グループでまとめてみると、痛みの改善幅は35~36%だったみたい。これは中々ではないでしょうか。
一方でセルフ指圧による副作用は少なくて、起こるとすれば指圧のやり過ぎでかえって痛みが悪化してしまう程度だったようです。
セルフ指圧で押すポイント
ではこれを実際にやってみましょう。今回の実験でも使われた「リラックス指圧」「刺激指圧」で押す部分をザっと挙げると、こんな感じです。
リラックス指圧
眉間や耳の後ろ、手のひらの小指から真っすぐ下へ下りて手首との境目になる部分(Heart 7)、足のくるぶしとふくらはぎの間の内側部分(Spleen 6)、足の親指と中指の間を沿って少し上にある窪み(Liver 3)
刺激指圧
頭のてっぺんやおへその真下、手の甲の親指と人差し指の間のぷにぷに部分(Large Intestine 4)、オスグットで出っ張る膝下の部分から沿って少し外側へ斜め下に移動した部分(Stomach 36)、足のくるぶしとふくらはぎの間の内側部分(Spleen 6)、足の内側でくるぶしの少し後ろあたり(Kidney 3)
指圧箇所の具体的な位置は、カッコ内の正式名称で検索してみると画像があって分かり易いかもしれません。いずれも6か所程でOKなので比較的実践しやすいかと思います。
注意点・まとめ
今回のような結果は過去にも幾つかの研究(#2)でも報告されていて、「あれ、セルフの指圧は安上がりだし腰痛にいいんじゃない?」と注目されてきています。
ただ注意点としては、まだ研究の規模が小さい点と、個人差が大きく出るだろうという点は押さえておくと良さそうです。研究間でも各指圧による効き目が微妙に違ったりしますし、狙った効果を得るにはどうすればいいのか?という部分はまだよくわかっていません。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 慢性的な腰痛にセルフの指圧が効くという報告が上がってきている
- 通常のケアと比べても、有意に痛みや疲労感がとれるようだ
- 研究の規模はまだ小さいので、今後の追試に期待できそう
こんな感じでしょうか。腰痛に悩まされている方は上で紹介した部位をセルフで指圧してみるのもアリかもしれませんね。
赤羽(Akabane)
関連記事はこちらもどうぞ
【頭痛持ち必見】医薬品に頼らない!セルフで出来るメンタルハックは片頭痛や緊張型頭痛にどのくらい効果的なのか?【片頭痛、緊張型頭痛】マインドフルネス瞑想は頭痛に効果があるのか?参考文献&引用
#1 Murphy SL, Harris RE, Keshavarzi NR, et al. Self-Administered Acupressure for Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Pilot Trial. Pain Med. 2019 Jun 25. pii: pnz138.
#2 Zick SM, Sen A, Wyatt GK, et al. Investigation of 2 Types of Self-administered Acupressure for Persistent Cancer-Related Fatigue in Breast Cancer Survivors: A Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol. 2016 Nov 1;2(11):1470-1476.