【100万人の調査結果】座りっぱなしによる健康被害と早死にリスクを打ち消すにはやはり「アレ」が重要だった!

赤羽(Akabane)

今回は「座りっぱなしな生活の健康被害」についてのお話です。

座りっぱなしで早死にリスクは高まる可能性大。

座りっぱなしが体に悪い!というのは有名な話。特に近年では研究が進んでいて、

  • 座ってる時間が最も長い群は最も短い群より糖尿病や心疾患リスクが2倍ちかく高かった!(#1)
  • 54か国を対象にした研究では、1日3時間以上の座り時間が43万3000件の死と関係していた(#2)

実際にこのような報告が上がっていたり。どうやら座ってる時間が長いと代謝系に悪影響があることが分かっておりまして、これが大きな原因になっている説が濃厚。

とはいえ座りっぱなしだと無条件に不健康なのか?というとそれは判断が難しくて、

  • 座りながら貧乏ゆすりしていたら?
  • それ以外の時間でしっかり運動していたら?
  • 他の生活習慣も不健康なだけでは?

といった細かい他要素も少なからず結果に影響を与えてる可能性が大。一言で言うと、色々込み入ったテーマだから細かい原因の特定が難しいんですね。
座りっぱなし オフィスワーク 危険 死亡率 病気【オフィスワーカー閲覧注意!】座りっぱなしは万病のもと?!座りすぎと運動不足で総死亡リスクが高まる。

医学雑誌の最高峰「Lancet(ランセット)」掲載!座りっぱなしの害を打ち消す重要なアレとは?

といったところで、今回は座りっぱなしと健康被害について一歩踏み込んだ研究を共有。参考になるのが2016年に医学雑誌のトップ『LANCET(ランセット)』に掲載されたメタ分析(#3)で、座りっぱなしの早死にリスクは運動習慣で減らせるのか?を調べてくれております。ザっと中身を覗いてみると、

  • 16件の研究から総勢1005791名のデータを対象に、
  • 座り時間と総死亡リスクの関係を分析した
  • 結果は最も座り時間が短くて(1日4時間未満)、最も運動している(週に35.5メッツ-時間以上)群との相対リスクで計算した
*対象者のグループ分け
1. 座り時間(時間/日)
・0~4未満、4~6未満、6~8未満、8以上
2. 運動量、強度(メッツ-時間/週)
・2.5(最も少ない)..一日当たり5分程度の中強度運動に相当
・16(二番目に少ない)..一日当たり25~35分程度の中強度運動に相当
・30(二番目に多い)..一日当たり50~65分程度の中強度運動に相当
・35.5(最も多い)..一日当たり60~75分程度の中強度運動に相当

このような内容。サンプル数(対象人数)が非常に多くて良さげですし、運動と座り時間で細かくグループ分けしてくれているのも分かり易いですね。

ちなみにここで言う中強度の運動と言うのは、

  • 時速5~6kmの早歩き
  • 時速16kmのサイクリング

くらいに相当するとのこと。心拍数がまあまあ上がってくるくらいの強度ということですね。

そしてこの2~18.1年の追跡期間で、84609名(8.4%)が亡くなりました。この結果分かったことをザックリ言うと、しっかり運動をしていれば座りっぱなしの時間が長くても早死にリスクは上がらなかったということ。つまりカギは「週ごとの運動量や強度」ということですね。

更に詳しい内訳を見ていくと、こんな感じです。

結果
  • 二番目に運動が少なくて座り時間が一日4時間未満の群は早死にリスクが12%高かった
  • 一番運動が少なくて座り時間が一日8時間を超える群では早死にリスクが59%高かった
  • 最も運動しているが座り時間が一日8時間を超える群では早死にリスクは上がらなかった
  • 逆に一番運動が少なくて座り時間が一日4時間未満の群は早死にリスクが27%高かった

(#3)より引用、筆者が編集。

どうやら座り時間の長さよりもはるかに運動量や強度が大事なことが分かります。現にオフィスワーカーのように一日8時間を超えて座っていても、それなりの強度でしっかり運動をしていれば早死にリスクは上がらないみたい。

またこの研究ではTVを観る時間もあわせて調べてくれていまして、こちらの結果はというと、

  • 一日3時間以上TVを観る群では、最も運動量が多い群を除いて、早死にリスクが高かった
  • 最も運動量が多い群でも、一日5時間以上TVを観ていた場合は早死にリスクが16%高かった

(#3)より引用、筆者が編集。

こんな様子でした。TVの観すぎもお察しの通り健康によろしくないということですね。

注意点・まとめ

まとめると、一日1時間くらいちょっと心拍数が上がるくらいのウォーキングをしていれば座っている時間が長くても悪影響は少ないみたい。ただし一方で今回の研究の注意点も挙げておきますと、

注意
  • 座り時間や運動量&強度はセルフレポートのアンケートを参考にしている
  • 大半がアメリカ、西ヨーロッパ、オーストラリアの調査データを使用している
  • 大半が調査開始時点で45歳以上の人を対象にしている

この辺りは押さえておくと良いですね。ただこれも、この手のテーマだとどうしても対象が高齢者になりがち(死に関する問題は高齢のほうがより身近だから)ですし、長期の観察研究はセルフレポートが鉄板ですので仕方ない部分もあるかと。とりあえずは、「日本人などアジア系の人間は対象じゃなかった」あたりは把握しておきたいポイント。

赤羽(Akabane)

ということで、普段座り時間が長い方はこまめに立って体を動かしてみるのがよさそう。適度に運動して損はないですし、私も筋トレ日以外では、作業中にステッパーを踏みつつ、間に休憩で散歩を入れたりしております。ご参考までに。

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参考文献&引用

#1 Wilmot EG, Edwardson CL, Achana FA, Davies MJ, Gorely T, Gray LJ, Khunti K, Yates T, Biddle SJ,”Sedentary time in adults and the association with diabetes, cardiovascular disease and death: systematic review and meta-analysis.“,Diabetologia,55(11):2895-905.,2012.

#2 Rezende LFM, Sá TH, Mielke GI, Viscondi JYK, Rey-López JP, Garcia LMT,”All-Cause Mortality Attributable to Sitting Time: Analysis of 54 Countries Worldwide.“,Am J Prev Med,51(2):253-263,2016.

#3 Ekelund U, Steene-Johannessen J, Brown WJ, Fagerland MW, Owen N, Powell KE, Bauman A, Lee IM; Lancet Physical Activity Series 2 Executive Committe; Lancet Sedentary Behaviour Working Group,”Does physical activity attenuate, or even eliminate, the detrimental association of sitting time with mortality? A harmonised meta-analysis of data from more than 1 million men and women.“,Lancet. 2016 Sep 24;388(10051):1302-10.