人間関係のヒビ、不安や怒り…「睡眠の質」が下がると感情コントロールができなくなる。

睡眠 感情 偏桃体

寝不足でイライラ!オール明けでテンションが!

「寝不足でイライラする!」「あまり眠れなかった翌朝は何だか心がざわつく!」

皆さんにもこんな経験はありませんか?仕事の前には早く寝なきゃ!と思ったり、日頃から何となく睡眠の質が大事だと感じてはいると思いますが、一体どう重要なのでしょうか。

というわけで、この記事では睡眠の質が大事なワケについて一つ見ていきます。

睡眠の質低下で感情がうまくコントロールできなくなる

まず参考になるのが2013年に発表された研究(#1)で、睡眠の質と脳のある部位との関係を調べてくれています。

その部位というのは“偏桃体“というナッツ位の大きさのパーツで、主に感情の制御に関わる部位になります。その上で、以下のような研究デザインで実験を行ったようです。

  • 総参加者299人(男:125/女:174、18~22歳若者)
  • セルフレポートで睡眠の質、心理的ストレスを報告
  • うつ症状、不安症を測るアンケート実施
  • タスクをやりながらfMRIで脳の状態を測定

ここでいうタスクというのは、色々な表情の顔(怒り、恐怖、驚きなど)が何回か並べられてその中からターゲットの表情とマッチするものを選ぶ、というものだったようです。これが果たして参加者の感情を煽れるのかわかりませんが、とりあえず結果を見てみましょう。

結果
  • 低い睡眠の質はストレスや不安、うつ症状と相関がみられた
  • タスクによる偏桃体の反応とはあまり関係なし
  • 「低い睡眠の質×活発な偏桃体」はよりうつ症状のリスクを高めた

結果としては、睡眠の質が低くて偏桃体の動きが活発だと感情がより不安定になってしまう様子。こうした結果は、2014年に睡眠専門学術雑誌「Sleep」に掲載された研究(#2)でも報告されていて、不眠症の患者は偏桃体の動きがより活発になって恐怖や不安をもたらす対象への馴化も遅いことがわかっています。

つまり、睡眠の質を損なうと負の感情が起こりやすくなる上に、なかなか脳が対処してくれなくなるということ。まさに負のスパイラルですね。

赤羽(Akabane)

結論としては、睡眠の質は感情コントロールの為にも気を遣うべきだと言えそうです。ちょっとした不用意な言動で人間関係にヒビが入ってしまったりしますし、メンタルのためにも日頃から睡眠時間と質には意識を向けておきたいですね。手頃な具体策としては、寝室の照明を暖色に変えたり、朝日をしっかり浴びたりでしょうか。あとは寝室にそもそもスマホを置かないことですね。

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参考文献&引用

#1 Aric A. Prather,Ryan Bogdan,Ahmad R. Hariri,”Impact of Sleep Quality on Amygdala Reactivity, Negative Affect, and Perceived Stress“,Psychosom Med. 2013 May; 75(4): 350–358.

#2 Chiara Baglioni,Kai Spiegelhalder,Wolfram Regen,Bernd Feige,Christoph Nissen,Caterina Lombardo, Cristiano Violani,Jürgen Hennig,Dieter Riemann,”Insomnia Disorder is Associated with Increased Amygdala Reactivity to Insomnia-Related Stimuli“,Sleep. 2014 Dec 1; 37(12): 1907–1917.