赤羽(Akabane)
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ソフトドリンクを飲む頻度と子どもの攻撃性には相関があるみたいだ
子どもは炭酸飲料や清涼飲料水といったソフトドリンクが好きですが、ここ最近はこうしたソフドリの健康面への悪影響が指摘されています。
そこでこの記事では、ソフトドリンクが子どもたちのメンタル面に及ぼす影響について見てみましょう。
ソフトドリンク消費頻度と攻撃性に相関…?
2020年にカタール大学が発表した研究(#1)によると、ソフトドリンクをよく飲む子どもほど攻撃的な傾向が見られたようです。
この研究は64カ国で集められた79件の教育調査データから263,890名分の青少年(12〜18歳)を対象にしています。調査項目は過去30日間の炭酸飲料系ソフトドリンクの消費頻度と過去1年の対象者らの物理的な喧嘩や揉め事の頻度です。
そして両者の関係を調べていくと、こんなことが分かりました。
- 1日に飲むソフトドリンクの頻度が1回増えるごとに物理的な揉め事が起こる頻度は11%高かった
- この結果は年齢や性別、喫煙歴、運動習慣、食糧難、ファストフード、果物・野菜の消費量などの要素を考慮した上でのもの
- 年齢と性別を考慮すると、ソフトドリンクを飲まない子供に比べて1日3回以上飲む子どもは揉め事を起こす確率が114%高かった
まとめると、色々な要素を考慮してもなお、ソフトドリンクの消費頻度と喧嘩や揉め事の間には相関が見られたんですね。
また詳しく見てみると、アメリカ大陸の国では軒並みこの傾向が見られたようで、この辺りはソフトドリンクの消費が激しい西欧的な食文化が背景にあるのでは?と考えられます。
ソフトドリンク消費頻度と攻撃性に相関が見られたのはどうして?
ではそもそもどうして両者に相関が見られたんでしょうか?考えられるメカニズムとしては以下が挙げられています。
- 多量の砂糖が体に酸化ストレス、炎症を引き起こし、これがメンタルヘルスの問題につながる
- ソフトドリンクは西欧の食文化と深く関わっていて、西欧の食文化は体にいい腸内細菌やその多様性を減らすことがわかっていて、腸内環境の悪化はメンタルヘルスにも影響することがわかっている
- ソフトドリンクは安価なので教育や経済面が不安定な家庭でも手に入りやすく、消費頻度は高いことが予想される
はっきりしたメカニズムは分かっていませんが、上記のような背景が複雑に影響しあっているんだろうなという印象ですね。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくとよろしいかと思います。
- ソフトドリンクの調査データが物足りたない:消費頻度しか調べていないので、具体的な消費量やどんな飲み物か?までは分からない
- 因果関係は特定できない:研究手法が過去の調査データから相関を調べる方法になるため、他の要素の影響はコントロールできず因果関係の特定は難しい
- データの精度は低い:子どもたちの自己申告で集めたデータなので正確性は低いと考えられる
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- ソフトドリンクの消費頻度が増えると過去1年の揉め事や喧嘩といった問題行動の頻度も高かった
- 考えられるメカニズムとしては、ソフトドリンクに多量含まれる砂糖に対する生理学的反応がメンタルヘルスに影響する線や、そもそもソフトドリンクが安価な点を考慮して教育や経済面が不安定な子どもが多く消費している線などが挙げられる
- 国によって差はあるが、アメリカ大陸では一貫してこの傾向がみられたり、地域や食文化によって影響に違いは出ている
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Zumin Shi, et al. Association between Soft Drink Consumption and Aggressive Behaviour among a Quarter Million Adolescents from 64 Countries Based on the Global School-Based Student Health Survey (GSHS). Nutrients 2020, 12(3), 694.