今回は「砂糖入りジュースの摂取量を減らす戦略」についてのお話です。
目次
砂糖入り飲料やジュースの摂取量を減らすためにできる8つの戦略
早速ですが、この問題について非常に参考になるデータが出ていましたのでまず見ていきましょう。
コクランレビューの最大規模&徹底調査でわかった「砂糖入りジュースの摂取量を減らす8つの戦略」
参考になるのが2019年にコクラン共同計画が発表したメタ分析(#1)で、砂糖入りジュースの消費を減らすのに効果的な戦略を並べてくれています。
これは過去58件の研究(うちRCTが22件)を集めて、1,180,096名の子ども~大人までを対象に行われたもの。追跡期間の中央値は10か月で、彼らの砂糖入り飲料の消費を減らすための戦略を各々試しています。
でこうした調査の結果、砂糖入り飲料の消費を減らすのに効果的な8つの戦略が浮かび上がったようです。リスト形式で見ていきましょう。
8つの戦略
- ラベルを使う:信号機の色など分かり易いものや、飲料の健康レベルを星や数字でラベリングしたりする。
- 学校での砂糖入り飲料を制限する:子供たちの消費量を減らすために、学校の購買で手に入る砂糖入り飲料を水に置き換える。
- 値上げをする:レストランやスーパー、レジャー施設での砂糖入り飲料の値段を上げる。
- チェーン店の子ども向けメニューの改善:レストランチェーン店での子供向けメニューの飲料の一般基準をより健康なものにする。
- 健康な飲料を販促する:スーパーで健康な飲料の販促を優先的に行う。
- 政府公認で食品の購入制限を設ける:砂糖入り飲料には使えない政府公認のフードスタンプなどを取り入れて購入から遠ざける。
- コミュニティキャンペーンを行う:砂糖入り飲料を減らすため、健康な食品を選んでもらうためのキャンペーンを行う
- 家庭での低カロリー飲料の入手経路を改善:各家庭への水ボトルやダイエット飲料の配達などを通して家庭での低カロリー飲料利用を増やす
どれも個人レベルではなくて、地域や行政レベルで実施できる戦略ですが、参考になる部分は多いかと思います。
ちなみに他の有名どころとして、砂糖に課税制度を設けたり、健康教育を実施したり、という有望な戦略もありますが、これらは既存&現在進行中のレビュー研究内で既にカバーされているので今回は含まなかったみたい。
注意点・まとめ
また注意点もあって、上記8つの戦略はモノによって状況が限定されることもあるようです。具体例を挙げると、
- 信号機の色で飲料の健康度をラベリングする実験を行った2件の研究は、どちらも病院を舞台にしていた
- スーパーでの健康飲料販促を検証した3件の研究は、どれもポイントカードを通して実験していた
みたいな感じ。つまり戦略によっては効果が発揮できる厳密な条件があったり、一般化できるのか分からないものも入っているんですね。
では最後に8つの戦略をハイライトして締めましょう。
- ラベルを使う
- 学校での砂糖入り飲料を制限する
- 値上げをする
- チェーン店の子ども向けメニューの改善
- 健康な飲料を販促する
- 政府公認で食品の購入制限を設ける
- コミュニティキャンペーンを行う
- 家庭での低カロリー飲料の入手経路を改善
砂糖入り飲料は、虫歯や二型糖尿病、慢性腎臓病、循環器疾患などあらゆる生活習慣病のリスクを高めます。地域や行政レベルでは、今後これら8つの戦略が粛々と実施されていくかもしれませんね。
赤羽(Akabane)
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#1 von Philipsborn P, Stratil JM, Burns J, Busert LK, Pfadenhauer LM, Polus S, Holzapfel C , Hauner H, Rehfuess E.Environmental interventions to reduce the consumption of sugar‐sweetened beverages and their effects on health. Cochrane Database Syst Rev. 2019 Jun 12;6:CD012292.