赤羽(Akabane)
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【施されたら施し返す…恩返し?】人は見返りに関係なく他人に親切を施せるみたいだ
ドラマ「半沢直樹」シーズン2が始まりましたね。劇中では相変わらず名言の嵐ですが、中でも半沢へのアンチテーゼとも取れる大和田の以下の発言が話題です。
施されたら施し返す、恩返しです!
というわけで、この記事では施しやら恩返しやら、「返報性の原理」に関わる興味深いデータを共有していきます。
社会心理学の定番「返報性の法則」が効かなくなる一例が報告されていたぞ
施されたら施し返す…恩返しです!な実験結果
2020年にオハイオ州立大学が発表した研究(#1)によると、人は施された分だけ施し返すし、割かし見返りに関係なく他人に施す傾向がある!ということが分かりました。
この研究では、計709名を対象に、人と人との間の返報性がどのようにして成り立っているのか?を検証しています。まず返報性の種類はザっと以下4種類に分類されました。
- 直接型恩返し(A): 二者間で行われる施しと恩返し
- 広範型恩返し(B): 二者間で始まった返報性がどんどん第三者へと広まっていく
- 評判型のギブ(C): 他人の施しを見聞きして影響を受け、別のところで施しが生まれる
- 報酬型の評判(D): 他人の施しを見聞きしてその人への施しが生まれる
実験の内容は、「あなたは〇〇さんにどのくらい寄付したいですか?」という問いに対してオンライン上で0~10のスケールで回答し、それに応じて金銭的な報酬がもらえるというもので、この点は至ってシンプル。
ですが、研究チームは、実験をよりリアルな世界のものに近づけるために、自分の回答だけでなく他のプレイヤーの回答も自分の報酬額に関わってくるという状況を作り出しました。以下はそのザックリとしたパターンです。
- 直接型パターン…Hさんはあなたに8P贈りました。あなたはHさんに何P贈りますか?
- 広範型パターン…Kさんはあなたに10P贈りました。あなたはJさんに何P贈りますか?
- 伝染型パターン…まずあなたがBさんにPを贈り、その回答を踏まえてCさんがあなたにPを贈ります。Bさんに何P贈りますか?
- 報酬型パターン…LさんはHさんに4P贈りました。あなたはLさんに何P贈りますか?
- 比較のパターン…あなたはBさんに何P贈りますか?(*他プレイヤーの動向が見えない状態で回答する)
*それぞれ回答の順番が逆のパターンや、色々なパターンが組み合わさった複合パターンもあった
各参加者は、上記の実験をランダムで6パターンこなしたようで、最終的に4254件の回答が得られました。そして、回答から以下のようなことが分かったようです。
- 直接型パターンでは、参加者は高いPを貰うほど見返りに施すPが大きくなり、0~4Pを貰った場合は比較パターンよりも贈るPが小さくなった
- 広範型パターンでは、参加者は高いPを貰うほど第三者へ贈るPも大きくなり、この結果は自分が貰える報酬額に影響すると分かっていても依然として確認された
- 伝染型パターンでは、他人が高いPを贈っているほど自分も贈るPが大きくなったが、なぜか”他人”が複数人居ると、この効果は弱まった
- 報酬型パターンでは、他人が高いPを贈っているほど自分もその人へ贈るPが大きくなったが、直接型との組み合わせで先にその人からPを受けとっていた場合には効果が見られなくなった
まとめると、人は施された分に応じてその相手や第三者に恩返しをする傾向があって、自分の報酬が絡む状況でも意外にその姿勢は変わらない!という感じでしょうか。
ただ、細かく見るとパターンの組み合わせによって微妙な違いは見られます。例えば、「直接型 × 報酬型」の組み合わせでは、報酬型の効果が打ち消されてしまったみたい。理由はよくわかりませんが、一度ギブ&テイクの関係になってしまうと、その相手がする施しへの感動が薄れてしまうのでしょうか…?
注意点・まとめ
注意点としては、以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 実験デザイン上、参加者の当事者意識は薄いことが予想される: オンライン調査であったり、得られる報酬も1~2ドルの範囲だったことからも、当事者としての意識は薄かったのではないか?と考えられる
- 金銭的なやり取り以外のパターンは検証していない: 親切や施しのパターンとして、金銭的な支援以外の分野はカバーできていない(例: 手助け、気配り、モノを貸すなど)
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 人は施されたらそれに応じて施し返すし、割かし見返りに関係なく他人に親切を施せるみたいだ
- 今回の実験では、4種類の返報性について検証したところ、参加者は自分や第三者が受け取ったポイントに応じて、自分も他人に高いポイントを贈る傾向が確認された
- こうした結果は、自分への報酬が関わる状況でも依然として確認されたようだ
赤羽(Akabane)
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#1 David Melamed, Brent Simpson, Jered Abernathy. The robustness of reciprocity: Experimental evidence that each form of reciprocity is robust to the presence of other forms of reciprocity. Science Advances 03 Jun 2020: Vol. 6, no. 23, eaba0504 DOI: 10.1126/sciadv.aba0504