TMAOは魚で最も増える!けれど本当のカギは「腸内細菌」かもしれない

2019年9月4日体の仕組み, 栄養成分、物質, 考察編, 魚・肉類その他

TMAOは魚で最も増える!けれど本当のカギは「腸内細菌」かもしれない。

TMAOは魚で最も増える!けれど本当のカギは「腸内細菌」かもしれない。

今回は「TMAOと腸内細菌」についてのお話です。
 
 
まずはTMAOって何?というところからザッとおさらいしておきましょう。
 

「TMAO(トリメチルアミン-N-オキサイド)」とは

簡単に言うと、TMAOはコリンやカルニチンといった成分から腸内細菌の働きによってまずTMAという物質が作られて、それが肝臓で酸化されてできる物質です。
 
 
コリンやカルニチンは動物性の食品に含まれていて、赤肉や卵にも豊富です。でTMAOは体内でアテローム硬化などを引き起こして、結果的に循環器系疾患のリスクを高めることになっているんじゃないか?と睨まれているんですね。
 
 
他には、魚の体内にも遊離TMAOが多く存在しています。そして実は、魚こそが最もTMAOを増やす食品であること(#1)が分かっていて、じゃあ何で魚をたくさん食べると循環器疾患リスクが減るの?という矛盾について現在も議論が巻き起こっています。


 

TMAOが増えるかどうかは腸内細菌にかかっているかも

ここまでで危険因子「TMAO」は魚で最も増えるかも、ということが分かりましたが、実は同じ実験で特定の「腸内細菌」も大きく関わっていることが判明しています。
 
 
ちなみに実験で分かったのは、次のようなことでした。

 

  • TMAOを多く産生する人は腸内のファーミキューテス門菌がバクテロイデス門菌より多く、腸内細菌多様性も乏しかった

 

ファーミキューテス/バクテロイデス門菌の比率はBMIなど肥満のメジャーとも関係していて、ファーミキューテスの割合が多いとBMIは高い傾向にあるようです。つまり腸内環境としてはあまり良くない状態ということ。
 
 
更に2019年にコペンハーゲン大学教授らが発表したクロスオーバー試験(#2)でも、20名の健康な男女(18~65歳)を対象に、4週間で魚介類か動物肉を食べる期間で分けてみたところ、次のようなことが分かりました。

 

  • シーフードグループでおよそ2倍のTMAOが検出された
  • 総コレ/HDL(善玉)比率や中性脂肪、TMAOレベルはそれぞれ特定の腸内細菌と関係していた
  • TMAOレベルが高まった人はファーミキューテス門/バクテロイデス門菌比率が高かったり(≒ファーミキューテス門菌の割合が多かった)、クロストリジウム目クラスターⅣの腸内多様性が減っていた

 

ここから言えるのは、やはり魚でTMAOレベルは高まるけれど、もっと関係が深いのは特定の腸内細菌かも、ということ。
 
 
そしてこちらでも、ファーミキューテス門菌の割合が多い人ほどTMAOレベルの上昇傾向が見られました。
 

まとめ

では最後に今回の内容をまとめます。

 

ポイント
  • 魚でTMAOが最も増えるのは間違いなさそう
  • ただ特定の腸内細菌もTMAO産生に大きく関わっていそう
  • ファーミキューテス門菌/バクテロイデス門菌比率は特に大きく関わっていそう
 

この辺りは押さえておくとよろしいかと思います。つくづく腸内細菌が体内で利かせてる幅には驚きますね。

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赤羽(Akabane)

魚でTMAOが増える!ということは魚を食べると循環器疾患リスクが上がるはず..でも実際のデータでは下がっているのは何で?という問題については以下も併せてご覧いただくと良さそうです。

TMAOについてはこちらもどうぞ

参考文献&引用

#1 Cho CE, Taesuwan S, Malysheva OV, et al. Trimethylamine-N-oxide (TMAO) response to animal source foods varies among healthy young men and is influenced by their gut microbiota composition: A randomized controlled trial. Mol Nutr Food Res. 2017 Jan;61(1).

#2 Schmedes M, Brejnrod AD, Aadland EK, et al. The Effect of Lean-Seafood and Non-Seafood Diets on Fecal Metabolites and Gut Microbiome: Results from a Randomized Crossover Intervention Study. Mol Nutr Food Res. 2019 Jan;63(1):e1700976.