【危険因子TMAOが減る】24時間水だけの断食で寿命は延びるのか?

【TMAO】24時間水だけの断食で寿命は延びるのか?

赤羽(Akabane)

今回は「24時間の断食で寿命は延びるのか?」というお話です。

24時間水だけの断食で寿命は延びるのか?

早速ですが参考になりそうな研究を覗いてみましょう。

24時間水だけのストイックな断食で寿命は延びるのか?

これは2019年にユタ大学が発表したクロスオーバー試験(#1)で、30名の健康な男女(平均43.6 ± 13.5歳、2/3は女性)を対象に、2日間にわたって実験を行っていました。

でまず彼らを2グループに分けて次のような一日を過ごしてもらったようです。

  • 断食日(15名):24時間水のみが許される断食をやる日
  • 通常日(15名):好きなように食事が許される日

これを翌日の2日目にはグループを入れ替えて、もう一方のグループで過ごしてもらう、という流れでやっていきました。

実験の前後には「TMAO」をメインに、74個もの代謝マーカーが「ガスクロマトグラフィー質量分析」で測定された模様。TMAOは過去に紹介したように、循環器疾患の危険因子です。こうした【寿命に関わる重要な数値が断食によってどう変わるか?】を見ていったんですね。

すると結果、こんなことがわかったようです。

結果
  • 断食後にはTMAOが減少していた(平均−10.8 ng)
  • 通常日後にはTMAOは増えていた(平均+2.6 ng *有意な差でない)
  • 「断食→通常日」で過ごした場合、TMAOは実験前に戻った

ここから言えるのは、断食直後には循環器疾患のリスク因子が減少している!ということです。イコールで【寿命が延びる効果が期待できる】と言えるかも..?

また他の代謝マーカーも見てみると、次のようなことも分かっています。

有意に減少した

  • プロリン
  • チロシン
  • ガラクチトール
  • 尿素

プロリンやチロシンなど「非必須アミノ酸」が減っていて、同時に尿素も減っています。これは単に、断食を経てたんぱく質の摂取量が減って代謝の過程で出る老廃物も減ったから、と考えられます。

ガラクチトールは単糖類「ガラクトース」の代謝物で、体内で濃度が増えると神経系や代謝系に有毒な影響があるかも、と言われているようです。

注意点・まとめ

一日以内の断食(プチ断食)の健康効果は徐々に実証されてきていて、最近では結論をまとめたメタ分析も沢山出てきています。

当然、今回の結果だけでは、長期で見て本当に寿命が延びるのか?ハッキリ断言できませんが、過去の実験結果とあわせればあり得ない話ではないのでは?と思います。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 24時間水のみの断食直後にTMAOが減って通常食ですぐに元に戻った
  • その他増えることで有害な代謝物なども減っていた
  • 定期的にプチ断食を取り入れていけば長期の寿命に好影響が見込めるのかも

こんな感じでしょうか。小さな積み重ねで、プチ断食はあらゆる方面から寿命を延ばすきっかけを作ってくれるかもしれないぞ、と。

赤羽(Akabane)

一日中水だけの断食は、二日以上続けると体にかなりの負担がかかります。プチ断食の「日替わり断食」みたいに、せめて一日置きに留めておいた方が良いでしょうね。このテーマの関連記事は以下にまとめておきましたので、ご参考までに。

関連記事はこちらをどうぞ

プチ断食『プチ断食 入門編』大まかな種類とその健康効果を3分で知る。プチ断食にダイエット効果はあるのか?現時点での科学の答えが出ていた件。プチ断食 カロリー制限プチ断食vsカロリー制限!ダイエット効果から生活習慣病の数値まで徹底比較してみた。プチ断食がカロリー制限よりダイエットに効果的な理由プチ断食がカロリー制限よりダイエットに効果的な理由「36時間も絶食する日替わり断食は危険だ!」これって本当?「36時間も絶食する日替わり断食は危険だ!」これって本当?日替わり断食の定義とその効果とは?「一日食べて一日断食」は厳密には間違っている?【図解】日替わり断食の定義とは?「一日食べて一日断食」は厳密には間違っている?

参考文献&引用

#1 Rachel L. Washburn, James E. Cox, Joseph B. Muhlestein, et al. Pilot Study of Novel Intermittent Fasting Effects on Metabolomic and Trimethylamine N-oxide Changes During 24-hour Water-Only Fasting in the FEELGOOD Trial. Nutrients. 2019 Feb; 11(2): 246.