赤羽(Akabane)
目次
糖質を脂肪&食物繊維に置き換えたら食欲は抑えられるのか?をアボカドでテストした実験
早速ですが、この件について参考になるデータを見ていきましょう。
糖質 ⇔ 脂肪&繊維質の置き換えで食欲は抑えられるのか?アボカドで検証してみた
これは2019年にイリノイ工科大学が発表したランダム化クロスオーバー試験(#1)で、31名の太り気味 or 肥満体型の男女(平均38歳)を対象に、彼らに次のフェーズをそれぞれ試してもらうというものです。
- ハーフアボカド高脂肪食:アボカド半分を追加して炭水化物51%、脂肪40%、食物繊維8.6gの食事
- オールアボカド高脂肪食:アボカド一個を追加して炭水化物50%、脂肪43%、食物繊維13.1gの食事
- 低脂肪食:炭水化物76%、脂肪14%、食物繊維5gの食事
各グループでは炭水化物と脂肪の割合がアボカドによって調整されていて、微妙に違うのが分かりますね。食事の内容はバジルサンドイッチやハネデューメロン、オートミール、レモネード風味飲料で構成されて、カロリーを揃えつつ、ここにアボカドがどのくらい加わるか?の違いでした。
ちなみにアボカドを加えたのは、食欲を抑える効果が期待できるからです。食物繊維と飽和脂肪酸が豊富で、これら二つは満腹感を高める効果があると言われているんですね。
でこうした実験を、各グループにつき1日ずつ、間に1週間以上期間を置きつつ、計3日間で行いました。測定したのは食後30分~6時間までの血液サンプルや主観的な食欲を測るテストで、グループごとにどんな差が出るのか?を見ていました。
では実験の結果を見ていきましょう。
- オールアボカドでは低脂肪食よりも、空腹感の抑制が有意に見られた
- 主観的な食事の満足感はアボカドを追加したグループでより高く見られた
- 満腹感は全体的に見られて、グループ間の差は見られなかった
- オールアボカドでは低脂肪食よりも、食後のペプチドYY(PYY)やグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)など満腹ホルモンの分泌が有意に増加していた
- ただし空腹ホルモンのグレリンは、オールアボカドよりも低脂肪食で抑えられていた
まとめると、糖質と脂肪&食物繊維の置き換えでは、空腹感や満腹感に与える影響が違ったり、そもそも経路も違うのかも?ということが示唆されたんですね。
更に詳しく測定した項目の影響度などを調べていくと、どうやらアボカドによる満腹感や空腹への効果は、特にPYYの影響が大きくて、全体の20~30%を占めていたみたい。PYYは消化管ホルモンの一種で、満腹感を高めると言われているモノです。
一方で糖質が多めな低脂肪食では、食後のインスリンの働きが特に盛んで、これが満腹感を高める結果に繋がったと考えられます。つまり、栄養素の割合を変えることで満腹や空腹に働きかけるメカニズムも変わってくる、と。
注意点・まとめ
ただし注意点も幾つかあって、この辺りは押さえておくと良さそうです。
- 実験期間は1日ずつのみ:数日間にわたって各食事を続けた場合の効果はどうなるか分からない
- 脂肪や食物繊維の細かい分類はしていない:脂肪には飽和/不飽和脂肪酸、食物繊維にも水溶性/不溶性など細かいタイプがあるが、これが今回の実験では考慮されていない
- ホルモンを測定していないグループがあった:ハーフアボカドグループでは消化管ホルモンの測定がなかった
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 糖質⇔脂肪&食物繊維の置き換えダイエット実験
- アボカドを加えて脂肪&食物繊維の割合を増やした場合により高い空腹抑制、満腹感アップ効果が見られた
- 栄養素のバランスを変えると、満腹感を高めるメカニズムも変わるようだ
こんな感じでしょうか。良質な脂肪分の源として、アボカドを取り入れてみるのはアリかと思います。
赤羽(Akabane)
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#1 Zhu L, Huang Y, Edirisinghe I, et al. Using the Avocado to Test the Satiety Effects of a Fat-Fiber Combination in Place of Carbohydrate Energy in a Breakfast Meal in Overweight and Obese Men and Women: A Randomized Clinical Trial. Nutrients. 2019 Apr 26;11(5). pii: E952.