赤羽(Akabane)
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「菜食主義(ベジタリアン)」は結局、健康食なのか?科学的に検証してみた。
当サイトでは、科学論文を漁って世界中の健康食について度々取り上げていますが、定番のベジタリアンについてはまだ触れていませんでした。
と言うわけで、この記事では「ベジタリアンって結局のところ健康食なの?」という点を信頼性の高いデータを中心に見ていきます。
「ベジタリアン(菜食主義)」は改めて“健康食”なのか?
参考になるのが、2018年にカナダのトロント大学教授らが発表したメタ分析(#1)で、ザっと以下のような中身になっています。
- 9件のRCT研究を精査
- 総参加者664名が対象(糖尿病患者、中年多め、治療薬投与アリ)
- 実験期間は平均19.3(4~74週間)
- 大まかに糖尿病のサイン、コレステロール値、体型の変化を調べた
研究の中にはサンプル数(参加者数)が少ないモノもありましたが、総じて信頼度はかなりのものです。結果はこんな感じになりました。
ベジタリアン vs ノーマル食(色んな食品をまんべんなく)
- HbA1c(血糖値高さの指標)…-0.29%
- 空腹時血糖値…-0.56 mmol/L
- LDL(悪玉)…-0.12 mmol/L
- non-HDL(総コレ-善玉コレの値)…-0.13 mmol/L
- 体重…-2.15 kg
- BMI…-0.74 kg/㎡
- ウエスト周り…-2.86 cm
まとめると、ベジタリアンで糖尿病にまつわる数値やコレステロール値の改善が目立ちます。同時に、体型もかなり改善されているように見えますが、カロリー総量が揃えられていない研究が結構あったので、この点のデータの正確性は微妙なところでしょう。
→ベジタリアンは野菜メインなのでどうしても総摂取カロリーが少なくなる
→カロリーが揃ってないと少ない方(ベジタリアン)が有利なのは当たり前
→研究デザインとして若干ゆるい
そして他方で、ベジタリアンが効果ナシだったのは次のようなジャンルだったようです。
- 空腹時インスリン値
- HDL(善玉)コレステロール値
- 血圧(拡張/収縮)
- トリグリセライド(中性脂肪)
「HbA1cと血糖値が改善してるのにインスリン値には効き目ないの?」と思いましたが、ここはそもそも調べている研究が1件のみだったので、結果としてあまり参考にはならないでしょう。
ちなみにHbA1cの-0.29%という数値の意義ですが、これはアメリカ食品医薬品局によると新しい高血圧症治療による改善レベルに匹敵するとのこと。(基準が-0.3%)ベジタリアンは糖尿病に対してかなりの効果があると言えましょう。
そのほかで言うと「血圧改善には効果ナシ!」という結果、これは恐らく実験開始時点で参加者らが降圧剤(血圧を下げる薬)を服用していたからですね。実際に、降圧剤なしで高血圧予備軍の患者を対象にした2014年のメタ分析(#2)だと、ベジタリアンで高血圧改善に一定の効果がある!との結果が出ております。つまり血圧がもとから高めな人に対しては普通に効くんですね。
まとめ
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Viguiliouk E, Kendall CW, Kahleová H, Rahelić D, Salas-Salvadó J, Choo VL, Mejia SB, Stewart SE, Leiter LA, Jenkins DJ, Sievenpiper JL,”Effect of vegetarian dietary patterns on cardiometabolic risk factors in diabetes: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.“,Clin Nutr. 2018 Jun 13.
#2 Yokoyama Y, Nishimura K, Barnard ND, Takegami M, Watanabe M, Sekikawa A, Okamura T, Miyamoto Y,”Vegetarian diets and blood pressure: a meta-analysis.“,JAMA Intern Med. 2014 Apr;174(4):577-87.