一部のサイコパスが成功するのはどうしてなのか?浮かび上がってきた「ある特徴」とは…

一部のサイコパスが成功するのはどうしてなのか?浮かび上がってきた「ある特徴」とは...

赤羽(Akabane)

今回は「成功するサイコパスにはどんな特徴があるの?」というお話です。

一部のサイコパスが成功するのはどうしてなのか?浮かび上がってきた「ある特徴」とは…

サイコパスといえば、「ダークトライアド(闇の三属性)」という性格特性の一角を担っています。ザっとおさらいしておくと、以下の通りです。

  • マキャベリズム:(主に政治的活動で)目的の為にはそれが非道徳的でも手段を選ばない特性のこと。自分が果たしたい目的の為に、他人を操って利用したり出し抜くことに何も思わない。
  • ナルシシズム:自己愛傾向が強い特性で、いわゆる「自分大好き人間」のこと。権力や特権など自分を美しく飾るモノが好きで、優越感を感じやすかったり、自分のためなら他人を利用することもいとわない。
  • サイコパシー:他人への共感や罪の意識が欠けていて、無責任になりがちな特性。衝動的で、計画性がないことも特徴に挙げられる。この特性を持つ者は「サイコパス」と呼ばれる。

こうした特徴は社会的にみても嫌われたり煙たがられることがほとんどで、だから「ダークトライアド(闇の三属性)」なんですね。

ただ、サイコパスには高い決断力や賢い頭脳を持った者も多く居たりして、成功しやすいだとか、社会に迎合して生活していける者も多いという話がありまして、この記事ではその理由について、新しいデータを見ていきます。

攻撃性や反社会性を抑えて上手く社会の中で暮らしていける「成功するサイコパス」のある特徴

2020年にバージニア・コモンウェルス大学が発表した研究(#1)によると、サイコパスは必ずしも攻撃的・反社会的とは限らない!一部の成功を収めるサイコパスにはある特徴がある!ということが分かったようです。

この研究は、犯罪を犯してアリゾナやペンシルバニアで判決を受けた1,354名の青少年少女(平均18歳)を対象に、彼らを7年間追跡した観察研究です。

具体的な調査項目は、サイコパス度の診断テストと彼らのその後の再犯率。ここでいう「成功」の定義は、調査期間中に再犯をせずに社会の中でうまくやっていけるか?です。

そして上記の調査の結果、以下のようなことが分かりました。

結果
  • 開始時点でサイコパス度が高かった参加者は、その後時間の経過とともに攻撃性・反社会性を抑え込み、上手くコントロールできるようになる傾向が見られた
  • こうした傾向は、特に「成功するサイコパス」によく見られ、彼らはその後の再犯率も少なかった

まとめると、サイコパス度が元々高い人ほど、その後、サイコパス特有の攻撃性や反社会性を上手くコントロールする術を早い段階で学習していて、こうした傾向は「成功するサイコパス」によく見られた、と。いかに自己コントロール能力がその後の成功を左右するか…ということですね。

ではどうして「成功するサイコパス」が存在するのでしょう?当研究チームは次のように仰っていました。

我々の結果は、サイコパシーの理解を深めるために、ビッグ5性格診断が重要であることを示唆している。そのうちの「誠実性(勤勉性)」が、サイコパス気質な人間の振る舞いにおいて重要な役割を担っていると言えよう。[筆者訳]

ビッグ5は科学的な研究が最も進んでいる性格特性のことで、「誠実性(勤勉性)」とは自律性やマメさ、真面目さを表す特性を指します。

つまり、研究チームの見解では、この誠実性が高いサイコパスほど、上手く自分の攻撃性・反社会性をコントロール出来るから成功しやすいのではないか?という事になります。
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注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • まだ査読は済んでおらず、正式に出版はされていない: 論文が正式に雑誌に掲載されるには、他の専門家たちの査読を通過しなければならないが、今回の研究はまだ済んでいない
  • サイコパス度診断は調査開始時点の一度しか行われなかった: 特に若い青少年では、発達のスピードも速く、たった数年でも性格特性に著しい変化があり得る。今回の結果は開始時点の診断結果をずっと採用している分、データの正確性は落ちる
  • 参加者の大半は青少年: 86.5%が10代の男性で、他の年代や性別の人でも同様の結果が得られるかは分からない

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • サイコパスは、他人への共感や罪の意識が欠けていて、衝動性が高く無責任になりがちな特性を持つ人とされる
  • 今回の研究によると、前科持ちのサイコパス気質な青少年を対象にした調査から、その後攻撃性や反社会性を上手くコントロールできるようになった者は、社会の中で問題なく生活してゆける(成功する)傾向が確認された
  • 研究チームによると、サイコパスが自律性をもって成功を収めるには、ビッグ5の「誠実性(勤勉性)」の高さが重要になってくるのではないか?と睨んでいるようだ

赤羽(Akabane)

サイコパスをはじめ、ダークトライアドについては、センセーショナルなテーマなのもあって人気ではあります。ただ、最近では「性格特性は、もう少し細かく見た方がいいんじゃない?」という考えが濃厚ですので、あまり単純化しすぎないように気を付けたいですね。ビッグ5と掛け合わせた研究がこれから更に発表されてくれば、分かることも増えてきそうです。

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参考文献&引用

#1 Emily N. Lasko, David S. Chester. What Makes a ‘Successful’ Psychopath? Longitudinal Trajectories of Offenders’ Antisocial Behavior and Impulse Control as a Function of Psychopathy. Personality Disorders: Theory, Research, and Treatment (in press), 2020