【テレワーク】働き方改革~新時代の働き方「NWW」の3本の矢とその効果~

【テレワーク】働き方改革~新時代の働き方「NWW」の3本の矢とその効果~

赤羽(Akabane)

今回は「新時代の働き方によるメリット」についてのお話です。

働き方改革~新時代の働き方「NWW」の3本の矢~

早速ですが、このテーマについて最近のデータを見ていきます。

新時代の働き方「NWW(New Ways of Working)」とは?

参考になるのが、2018年にユトレヒト大学が発表したレビュー研究(#1)でして、新時代の働き方「NWW(New Ways of Working)」を提唱しておられました。

ではまず、その3本の矢を見ていきましょう。

  • Timing(タイミング)…社員の自律性を担保するために、より柔軟な勤務時間を各自で設定可能
  • Place(場所)…働く場所は自由で、オフィスや自宅、通勤までの電車内など、どこでもOK
  • Communication(コミュニケーション)…ITを駆使して、メールやスマホ、ビデオ会議などを介して社員間のコミュニケーションを取る

まとめると、「NWW」というのは、社員たちが時間や場所に縛られずに、各自である程度裁量をコントロールできる働き方だと言えます。この手のスタイルで欠点として挙がる「コミュニケーション」面に関しても、IT技術をフル活用してカバーしているのが特徴です。

まさにコロナ禍の今、こうした新しい働き方の需要が高まっていますね!テレワークはNWWの典型的な例でしょう。(NWWでなくて、普通にテレワークでいいのでは…w)

NWWが会社や従業員たちにもたらす効果とは?

次に肝心な部分、NWWの効果についてです。同研究では、NWWに関する過去のデータが少なかったり、その多くがエビデンスの質を欠いていたりするのを嘆いて、最長1年の前向きコホート調査を行ったようです。
*前向きコホート…過去に行われた調査データを見る(後ろ向き)のではなく、今→未来へと調査したデータから相関関係を特定する手法。その分、結果の時間軸が明確なので、研究としての質も高い。

この調査では、オランダのある企業を対象に、そこで働く126名の社員を追跡しています。これは、今回の調査のためではなく、元々会社総出で働き方改革を行おうという決定があったみたいです。調査期間は1年間で、その間に、①NWW開始前、②NWW開始後3ヶ月経過、③調査終了時の3箇所で以下の項目を聞き取り調査していました。

  • 仕事に対する裁量権や自律性、上司や同僚からのサポート、仕事の専門性の上達
  • 仕事への取り組み、バーンアウト(燃え尽き)
  • 各社員たちの心理的資源(レジリエンス、楽観性、自己効力感、目標達成への希望など)

すると結果は、こんな感じになりました。

結果
  • NWWを実施してから、時間の経過とともに社員の仕事量や心理的負担が減り、仕事の自律性が増していった
  • 同僚のサポートや専門性の上達、バーンアウト、仕事への取り組みには特に効果が見られなかった
  • 社員の心理的資源が豊富であるほど、NWWによるメリットが大きく、デメリットが小さくなる傾向が見られた

まとめると、テレワークなどの新しい勤務形態も一長一短である!と。メリットは絶大ですが、生かすも殺すも経営者の裁量次第といったところでしょうか。

また、面白いことに、3ヶ月時点での自律性が予想に反して低下していたこともわかっており、この要因として、研究チームは「今回の働き方改革がトップダウンで半ば義務的に行われたことが影響しているのでは?」と睨んでいました。つまり、NWWのような自由な働き方を尊重するスタイルでも、強引に経営側の一存で押し付けるべきではない、と。確かに…。

注意点・まとめ

ただし今回の研究にも注意点があって、ざっと以下の点は押さえておくと宜しいかと。

注意
  • 研究デザイン上、因果関係は特定できない: RCTのように比較対象が据えられたわけではなかったので、結果が本当にNWWのおかげなのか?そうだとしても、どのくらいの割合でメリットをもたらしているのか?という部分がわからない
  • 今回対象になったのはオランダの一企業のみ: 他の業界や国、文化圏の企業でどこまで通用するか結果なのか?は未知数
  • 最終的なサンプルサイズは小さい: 3度の調査全てに回答をした社員は100名ちょっとしかおらず、統計的なパワーは弱い

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 新時代の働き方「NWW(New Ways of Working)」では、社員が時間や場所に縛られずに、各自である程度裁量をコントロールできる働き方を提唱している
  • 今回の調査によると、NWWを採用することで、短期〜長期的に見ても社員の負担が減って、より働きやすくなる可能性が示唆された
  • ただし、働き方改革はトップダウンで経営側が社員に押し付けるべき事案ではないみたい

赤羽(Akabane)

テレワークのような働き方は、食わず嫌いされやすかった印象がありましたが、コロナの影響でやらざるを得なくなってからというもの、実践する企業が増えていますね。身近で「テレワークはウチには合わんからやらない!」と仰る社長さんもいましたが、結局のところ、メリットを最大限にするために上手にカスタマイズする姿勢が大事なのだなと思いました。

関連記事はこちらもどうぞ

テレワークオフィスは要らない?今すぐできるリモートワークで仕事効率と社員満足度を上げる方法。ジョブクラフティング 幸福度 仕事 効率 仕事の満足度と効率がアップ!毎日の退屈な仕事を180度変える「ジョブクラフティング」を実践しよう!『SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える』名著『SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える』に学ぶ、現代を賢く生き抜くたった6つのルールスタンディングデスク トレッドミルデスク ストレス 集中力スタンディングデスクはストレスを和らげて仕事の集中力を上げてくれるかも!「従業員の仕事満足度はお客様の満足度につながる!」はどんな仕事に対しても言えることなのか?「従業員の仕事満足度はお客様の満足度につながる!」はどんな仕事に対しても言えることなのか?

参考文献&引用

#1 Van Steenbergen, E. F., van der Ven, C., Peeters, M. C. W., & Taris, T. W. (2018). Transitioning Towards New Ways of Working: Do Job Demands, Job Resources, Burnout, and Engagement Change? Psychological Reports, 121(4), 736–766. https://doi.org/10.1177/0033294117740134