「筋トレ中は筋肉の動きに意識を向けるんだ!」というアドバイスは正しいのか?

「筋トレ中は筋肉の動きに意識を向けるんだ!」というアドバイスは正しいのか?

赤羽(Akabane)

今回は「筋トレ中は何に意識を向けたらいいの?」というお話です。

「筋トレ中は筋肉の動きに意識を向けるんだ!」というアドバイスは正しいのか?

筋トレの効果を高めるのに「動いてる筋肉を意識すべし!」「いやいやそんなことしても効果ないよ」と様々な見解がありますが、実際はどちらが良いのでしょう?

筋トレ中は筋肉の動きなどの内部に意識を向けた方がいいかもしれない

2018年にリーマン大学が発表したRCT(#1)では、30名の筋トレ未経験者男性(平均21.7歳)を対象に、筋トレ中の意識の違いによって効果にどんな差が出るのか?を実験していました。

この研究では、まず彼らを次の2つのグループにランダムで分けます。

  • 内部意識(15名):種目ごとに効かせたい筋肉の部位の動きを意識し続ける
  • 外部意識(15名):回数や「挙がったかどうか?」といった外部要素に意識を向ける

そして筋トレは週3のペースで8週間行われて、種目ごとに8~12レップを4セットやってもらったようです。中身はレッグエクステンションとバーベルバイセップカールの2つのみで、初心者だとしてもちょっと少ないな..?と思うボリュームでした。

で実験前後でバイセップカールの6RM(6回ギリギリ挙がる重量)や上腕や太ももの最大随意筋力、各部位の筋肉量を測定して、各グループどんな違いが出るか?を比較していきました。すると結果、次のようなことが分かったようです。

結果
  • 内部意識で外部意識よりも上腕周りの筋肉が有意にデカくなっていた(+12.4% vs. +6.9%)
  • 他にも内部意識で大腿四頭筋の筋肉が多少デカくなっていたり、上腕二頭筋の最大随意筋力も高かったが、これらは有意な差ではなかった
  • 他の測定項目は両者とも有意な結果は出なかった

まとめると、筋肉の動きに意識を向けたほうが一部筋肥大効果が高まる傾向が見られたんですね。

上半身と下半身で結果に差が出た理由としては、客観的なメカニズムは分かっていませんが、上半身の方が意識してコントロールしやすいというのが関係しているのでは?と考えられます。

また全体的に見るとそれ程パッとしない結果である理由としては、まず参加者が筋トレ初心者である点、また筋トレ自体のメニューもかなり少ない点が挙げられます。個人的にも、もう少しメニューを増やせば効果も大きく出たんじゃないかな?と思っています。

現に2017年の研究(#2)でも、平均歴8年の筋トレ経験者を対象にした実験で、歴が長いほど筋肉に意識を向けた場合にしっかり筋肉を使えているとの報告も上がっていますね。こちらは筋電図でモニターしたもので、客観的に見ても筋トレ歴は大事な要素だと言えましょう。

注意点・まとめ

今回の研究の注意点としては、①女性や高齢者だとどうなるか?は分からない点、②筋トレのメニューや量が少ない点、③参加者が少ない点、辺りは押さえておくと良さそうです。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 「筋トレ中は筋肉の動きに意識を向けるんだ!」というアドバイスは正しかった
  • 若い男性を対象にした実験では、筋肉の動きを意識することで一部の部位で筋肥大効果、僅かな筋力アップ効果が見られた
  • 女性や高齢者だとまた結果は違ってくる可能性が高い

こんな感じでしょうか。筋トレ研究は色々な変数(年齢、性別、歴、メニュー、測定項目etc..)を考慮しないといけないんで大変ですね..。

赤羽(Akabane)

他にも筋トレ中の意識に関する研究は幾つか読みましたが、傾向としては【効かせたい部位に意識を向けるのはアリ!】だと思います。筋電図を使った研究でもそちらの方がイイという結果が多いですし、日頃からやってみる価値はあるかと。

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参考文献&引用

#1 Schoenfeld BJ, Vigotsky A, Contreras B, et al. Differential effects of attentional focus strategies during long-term resistance training. Eur J Sport Sci. 2018 Jun;18(5):705-712.

#2 Calatayud J, Vinstrup J, Jakobsen MD, et al. Mind-muscle connection training principle: influence of muscle strength and training experience during a pushing movement. Eur J Appl Physiol. 2017 Jul;117(7):1445-1452.