認知行動療法の第一歩!人生を左右する思考のクセ「自動思考」を捕まえよう!

赤羽(Akabane)

今回は「認知行動療法で重要な「自動思考」を観測しよう!」というお話です。

認知行動療法の第一歩!人生を左右する思考のクセ「自動思考」を捕まえよう!

認知行動療法といえば、科学的な信頼も厚いメンタル治療法であります。簡単に言うと、

  • 思考や認知の歪みを直してメンタルを健康にする療法

といった内容。イメージは背骨矯正のメンタル版で、勝手に落ち込んで勝手に精神を病む、みたいな思考パターンから歪みを正していくテクニックなんですね。

ということで今回は、「認知行動療法のいろはを学ぼう!」編の続きとして、基本である「自動思考」というものについて少々。

自動思考とは?

では自動思考とは何ぞ?という部分から。これは一言で表すと、頭の中にパッと浮かんでくる思考のこと。そして私たちは普段こうした自動思考に気づいていません。自動思考自体は誰にでもあるものなので格別気に留めることはありませんが、これがネガティブなものだったとしたらすぐに対処すべきです。例えば次のようなシチュエーションでいうと..

街中で美しい女性と目が合ったものの逸らされてしまった

ポジティブ

ハハッ!どうやら彼女は僕が眩しすぎて直視できなかったみたいだね。
うわっ、目逸らされちゃった、残念。

普通

ネガティブ

この世の終わりだ..絶対今気持ち悪いって思ったよね..はあ最悪だ..今日はついてないなぁ

この例だと3番目がネガティブな自動思考でして、このような歪んだ自動思考は壊滅的なストレスを与え続けてしまいます。(1番目もある意味壊滅的ですが)

とこのように、街中で美女と遭遇するというイベントひとつとっても人によって感じ方が違います。そして上の3つこそ、各々が「見知らぬ美女に目を逸らされる」という出来事に対して抱く「自動思考」なのですね。

自動思考の観測者になろう。

認知行動療法では、こうした「自動思考」を観測しよう!というのがまず第一歩となります。ではどのように捕獲すればよいのでしょう?その答えはシンプルで、認知行動療法の生みの親であるアーロン・ベック氏の娘ジュディス・ベック氏による名著(#1)から一文を抜粋します。

たった今、どんなことが私の頭に浮かんだのだろうか?

これをネガティブな感情や心理面に波が起きたらすぐに考える、つまるところたったこれだけ。一見簡単そうに思えますが、言うは易く行うは難し。気持ちに余裕がないと、すぐに決まった思考パターンしかできなくなってしまいます。

そんな時にオススメのワークシート!

では具体的に自動思考を捕まえる方法は?の部分をこれから紹介します。上のワークシートは私が手書きで自作したものでして、ジュディス・ベック氏の著書(#1)を参考にしました。ザックリ内容を説明すると、これはネガティブな体験をしたときのことを幾つかの項目に書き出していくワークシート。

上の例では、リア充を見ると思わず「爆ぜろ!」と言いたくなる重篤な非リア充の自動思考を紹介しておりますが、彼/彼女の中には次のようなトリガーがあるようです。

幸せそうなリア充を見る(トリガー)→見せつけられているような気がする→途端にイライラしてくる→比較して自分を惨めに思ってしまう→自分の人生を悲観し始める

そしてこうした思考の負の連鎖を断ち切るために、ワークシートの最後には感情を点数化して思いつく対策を書いていくのですね。こうした客観的な「もう一人のボク」視点を持つことを「メタ認知」と言います。

赤羽(Akabane)

堅苦しい内容ではありますが、ここは非常に重要なポイント。普段何気なく暮らしていると全然気づかないですが、私たちの気分や感情、ひいては人生までもこの「自動思考」に大きく左右されているんですね。ストレスを溜めやすかったりするのは、この自動思考が歪んでいる可能性もあります。是非一度自動思考を観測してみてください。

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参考文献&引用

#1 ジュディス・S・ベック著、伊藤絵美、神村栄一、藤澤大介訳『認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで 第2版-ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト-』星和書店、2015年。