科学的に認められたメンタル改善テクニック『認知行動療法』のいろはを学ぼう!

メンタル 認知行動療法 効果 

赤羽(Akabane)

今回は「認知行動療法のいろはを学ぼう!」というお話です。

科学的に認められたメンタル改善テクニック『認知行動療法』のいろはを学ぼう!

まずはザックリ「認知行動療法って何?」というところですが、認知行動療法とは、認知や思考の歪みを矯正することでメンタルの問題を改善していく戦略的なアプローチです。

実体があるモノに例えるならば、整形外科で猫背を矯正して姿勢の歪みを正すようなイメージ。猫背が一朝一夕では治らないように、認知や思考の歪みも毎日少しずつ治していかなければなりません。

認知行動療法の発祥は、アメリカの精神科医であるアーロン・ベック氏の「認知療法」(#1)や臨床心理士のアルバート・エリス氏の「論理療法」(#2)が基になっており、根底には次のような考え方があります。

メンタルの苦痛や精神病は認知的要素によってもたらされる。自分自身や世界、未来に対する不適応な認知や偏った思考が、ある状況下で決まった自動思考パターンを生み出す。こうした認知の歪みを正すことでメンタルの苦痛や問題行動を改善するのが認知行動療法の全容である。[筆者訳](#3)

つまりメンタルの問題はそのきっかけの出来事や刺激のせいではなくて、成長の過程で個人に形成された「思考のクセ」みたいなものが悪さをしているんだ、と。これがヒドいと、他の人なら平気な状況でも強いストレスを感じてしまったりするわけですね。

筆者が作成。

106件をまとめたメタ分析が明らかにする「認知行動療法」の驚くべき効能

では次に「認知行動療法ってつまるところどんな効果があるの?」という部分に移ります。この疑問については2012年に発表されたメタ分析(#3)が参考になりそうです。

これは108件の信頼できる関連研究を総まとめした研究で、認知行動療法の様々なメンタルの病に対する効果を調べてくれています。ラインナップはザっと以下の通り。

  • 依存症、物質使用障害
  • 統合失調症
  • うつ病、気分変調症
  • 双極性障害
  • 不安障害
  • 身体表現性障害
  • 摂食障害
  • 不眠症
  • パーソナリティ障害
  • 怒りや敵意
  • 犯罪行為
  • 一般的なストレス
  • ガンなど医療が必要なコンディション
  • 慢性疲労、慢性痛

そしてそれぞれの症状に対する認知行動療法の効果を割り出してくれたんですが、結果は一言でまとめるとこんな感じになりました。

結果
  • 認知行動療法はあらゆるメンタルの病に対して小~大の効果があった!

ひとまず「認知行動療法は全体的に効果アリ!」と安心して良さそうです。ただ問題や症状によって効果の差は結構ありまして、例えば「不眠症」ひとつとっても中身に次のような細かい違いがあったのだとか。

  • 不眠症
  • 睡眠時間の改善…効果小
  • 朝の早起き…効果大

他にも研究デザインの差、個人差、実際に他の介入法のほうが効果が大きいことがあったり、と環境や取り組む症状、人によって効果が変わってくることは予めご了承を。いかに科学的に素晴らしい手法といえど、万能な魔法のようなセラピーなぞありません..。

注意
つまり、実際に治療法として活用する場合には、スポット的に「この疾患、症状に対して認知行動療法の効果は実証されているのか?」というところのエビデンスが必須となる

アンチエイジングの要「ストレス対策」に認知行動療法を活用する

最後に、当サイトなりの「認知行動療法」の活路ですが、慢性病や老化にも繋がり得る「ストレス」対策に活用していくのがよろしいかと。というのも、「ストレスは悪いもの!と決めつけるとかえってストレスの害が大きくなるかも」という話があるからです。こうした認知の歪みを治す意味でも認知行動療法は優先的に試してみる価値があります。

「じゃあ具体的にどんなことをしていけばいいの?」この点については次のようなモノが挙げられます。

これらは実際に私も試したことがある療法&テクニックで、地道な作業ですがその分積み重なった時にすごい効果を実感します。

赤羽(Akabane)

ということでストレスや不安、そしてそういった感情から派生するあらゆる病気の改善に定評がある認知行動療法についてでした。この考え方は今後のストレス対策編の根幹となりますので、是非とも押さえておきたいところです。認知行動療法の具体的な技法については定期的に取り上げる予定です。

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参考文献&引用

#1 Beck AT. Cognitive therapy: Nature and relation to behavior therapy. Behavior Therapy. 1970;1:184–200.

#2 Ellis A. “Reason and emotion in psychotherapy.” New York: Lyle Stuart; 1962.

#3 Stefan G. Hofmann, Anu Asnaani, Imke J.J. Vonk,Alice T. Sawyer,Angela Fang,”The Efficacy of Cognitive Behavioral Therapy: A Review of Meta-analyses“,Cognit Ther Res. 2012 Oct 1; 36(5): 427–440.