結局私たちの健康のために最適な睡眠は何時間?睡眠不足 VS 眠りすぎで徹底議論。

生活の質 睡眠

赤羽(Akabane)

今回は「睡眠不足と寝すぎではどっちの方が健康によろしくないの?」というお話です。

結局私たちの健康のために最適な睡眠は何時間?睡眠不足 VS 眠りすぎで徹底議論。

私たちの生活の中で最も大切な要素といってもいい「睡眠」ですが、一体どのくらい体を休めているのがベストなのかはよくわかっていません。巷では「8時間睡眠が最強!」説が浸透していたり、はたまた「質が良ければ4~5時間でも大丈夫だよ」みたいな主張もあったり。

人によって個人差はあるものの、科学的に最も健康によい睡眠時間は大体どのくらいなのか?参考になるデータを見てみましょう。

大規模な睡眠研究の結果をまとめると…

まずは2017年に発表された大規模なメタ分析(#1)を見ていきます。ザックリと概要は以下の通りです。

  • 67の研究から3582016人が対象
  • 追跡期間は2.3~34年と長め
  • 総死亡率と心疾患系の病気のリスクを調べた
  • 研究はヨーロッパ、アメリカ、アジア、オーストラリアと万遍なく行われた

なかなか質の高い研究です。一応、結果は1日当たりのベストな睡眠時間+睡眠時間が増減するごとに病気のリスクがどうなるのか、を表しています。気になる結果は以下の通りです。

総死亡リスク

  • 7時間睡眠で最もリスクが低下した(以下同様の結果)
  • そこから睡眠時間が1時間減るごとにリスクが6%高まる
  • 1時間増えるごとにはリスクが13%高まる

冠状動脈性心臓病リスク

  • 7時間睡眠で最もリスクが低下した
  • 睡眠時間が1時間減るごとにリスクは7%高まる
  • 睡眠時間が1時間増えるごとにリスクは5%高まる

循環器疾患リスク

  • 7時間睡眠で最もリスクが低下した
  • 睡眠時間が1時間減るごとにリスクは6%高まる
  • 睡眠時間が1時間減るごとにリスクは12%高まる

かなり正確に数値が出ていますね。ここから言えるのは、7時間睡眠くらいが安全だということでしょうか。睡眠不足も寝すぎも体にはよくないんだと。

ちなみに最新の2018年に発表されたメタ分析(#2)でも同様の結果になっておりまして、やはり睡眠不足も寝すぎも総死亡リスクを高めてしまうようです。これは95もの研究を集めて5134036人を調査した超大作でして、他にも面白いことがわかっています。以下が調査結果です。

結果
  • 睡眠不足より寝すぎのほうが総死亡率、循環器系疾患リスク、糖尿病発症リスクが高かった
  • 総死亡リスクは39%アップ
  • 糖尿病発症リスクは26%アップ
  • 循環器疾患のリスクは25%アップ
  • 発作のリスクは46%アップ
  • 冠状動脈性心臓病リスクは24%アップ

軒並み寝すぎのほうが危ないぞ、ということがよくわかる結果ですね。ただし調査方法にアンケートが多く含まれてたりと、誤差が結構ありそうな内容ですのでその点だけご了承を。ちなみにここでいう”寝すぎ”とは「8~9時間以上の睡眠時間」のことです。だからオール明け朝帰りで寝て、日が沈む頃に起きる、なんていうのは良くないんですね。

まとめ

赤羽(Akabane)

結論をまとめます。現状健康的にベストであろう睡眠時間は7時間。睡眠不足より眠りすぎるほうが病気のリスクが高まりそう。現場からは以上です。

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参考文献&引用

#1 Yin J, Jin X, Shan Z, Li S, Huang H, Li P, Peng X, Peng Z, Yu K, Bao W, Yang W, Chen X, Liu L,”Relationship of Sleep Duration With All-Cause Mortality and Cardiovascular Events: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies.“J Am Heart Assoc. 2017 Sep 9;6(9).,

#2 Jike M, Itani O, Watanabe N, Buysse DJ, Kaneita Y,”Long sleep duration and health outcomes: A Systematic Review, meta-analysis and meta-regression.“,Sleep Med Rev. 2018 Jun;39:25-36.