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朝ご飯論争「朝食はしっかり食べないと太るぞ!」は科学的に根拠があるのか?
よく「朝ご飯はしっかり食べなさい!」という意見を聞きます。世の中では当たり前のように一日三食が定番化しており、朝ご飯は健康に良い!とお医者さんがテレビでも言っていますね。
こうした意見には一応根拠があって、例えば2008年にイギリスで行われた観察研究(#1)でも、朝食抜きの習慣がある人は男女関係なく肥満傾向にあったと報告されています。こうした結果は他にも多数報告されていて、ここから「朝食を抜くと太るぞ!」という説が定着してきたようです。
「朝食を抜くと太るぞ!」はそれ程堅い説ではない?
こうして聞くと、「やっぱり朝はしっかり食べないと..」と考えさせられそうですが、この説には問題点もあります。それは因果関係が証明できないところ。詳しくはリンク先で書いてるので省略しますが、あくまでこうした結果は相関関係にすぎないので、本当に朝ご飯抜きが肥満の原因なのか?がハッキリせず、科学的な裏付けとしては弱いのですね。
・朝ご飯を抜く→太る
・太っている→生活習慣の乱れ→朝ご飯を抜く
・他の要素が関係しているかもしれない(タイミング、運動習慣、人種etc..)
その上で「じゃあ科学的に強い朝ご飯と肥満の研究はないの?」という疑問が湧いてくるのですが、これに関しては2016~2017年にアラバマ大学、クレムソン大学が発表したメタ分析(#2,#3)が参考になりそうです。
これらは信頼性高めなRCT(ランダム化比較試験)という手法の研究を複数まとめた研究になっておりまして、裏付けとしてもかなり強い文献になります。
では各研究の結果分かったことをザっと並べてみていきましょう。
体重:-0.36[−0.74, 0.03]
体脂肪:+0.13 [−0.62, 0.88]
脂肪量指数:0.00 [−0.26, 0.26]
体脂肪率:+0.44 [−0.63, 1.50]
BMI:−0.17 [−0.35, −0.00]
除脂肪体重:−0.19 [−0.85, 0.47]
ウエスト周り:−0.65 [−1.63, 0.32]
ウエスト/ヒップ比:−0.01 [−0.02, 0.01]
仰向け時のお腹周り:−0.17 [−0.62, 0.27]
・2/6が朝食ありに優位な結果、2/6が朝食抜きに優位な結果、残り2件は大差なし
まとめると「朝食を食べないと太るぞ!」説には大して信憑性がなかった、と。これは人種や土地柄、食習慣なんかの別要素の影響を受けやすいからでして、例えばイギリスでは朝食抜きと肥満に相関があった(#1)一方で、オーストラリアでは相関関係が見られなかったり(#4)ということも。
赤羽(Akabane)
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#1 Harding S, Teyhan A, Maynard MJ, Cruickshank JK.”Ethnic differences in overweight and obesity inearly adolescence in the MRC DASH study: the role of adolescent and parental lifestyle.“,Int J Epidemiol,(2008) 37:162–72.
#2 Michelle M Bohan Brown, Jillian E Milanes, David B Allison, and Andrew W Brown,”Eating compared to skipping breakfast has no discernible benefit for obesity-related anthropometrics: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.“,
The FASEB Journal,Vol. 31, No. 1,April 2017.
#3 Jillian E Milanes, David B Allison, Andrew W Brown, and Michelle M Bohan Brown,”Effect of breakfast eating versus breakfast skipping on obesity related anthropometry: a systematic review“,The FASEB Journal,Vol. 30, No. 1_supplement
April 2016.
#4 William P. “Breakfast and the diets of Australian children and adolescents: an analysis of data from the 1995 National Nutrition Survey.” Int J Food Sci Nutr (2007) 58:201–16.