たった20分のマインドフルネス瞑想でミスに気づく能力がアップするかもしれない

たった20分のマインドフルネス瞑想でミスに気づく能力がアップするかもしれない

赤羽(Akabane)

今回は「マインドフルネス瞑想でミスを減らすことができるかも!」というお話です。

たった20分のマインドフルネス瞑想でミスに気づく能力がアップするかもしれない

マインドフルネスとは、一言で表すならば「今この瞬間に意識や注意を向ける」という概念を指します。

この考えは、特に色々な刺激によって注意を逸らされやすい現代において重宝されていて、一般的にもかなり浸透してきているのではないかと思います。

マインドフルネスには、色々なメリットが確認されていますが、中でも「注意力」に関する研究が豊富です。そこでこの記事では、マインドフルネス瞑想と注意力に関する新しいデータをみていきます。

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「観察」に焦点を当てたマインドフルネス瞑想で間違いによく気づくようになる?

2019年にミシガン州立大学が発表したRCT(#1)によると、自己省察や外部の変化などを「観察」するタイプのマインドフルネス瞑想によって、目の前の間違いによく気づくようになったことが分かりました。

この研究では、瞑想の経験がない女性212名(18~28歳)を対象に、まず彼女らをランダムに以下の2つのグループに分けました。

グループ分け

  • 瞑想グループ(106名): マインドフルネス瞑想の重要な要素「観察」にフォーカスした「オープンモニタリング瞑想」のやり方について20分のトークを聴きながら実践する
  • コントロールグループ(106名): 第二言語をいかに効率的に習得するか?に関する18分のトークを聴く
オープンモニタリング瞑想のイメージとしては、自分の体の変化(顔が火照ってきた、頭がすっきりしてきたとか)に意識を集中させて、その絶え間ない変化をただ観察するという感じです。

そして実験の流れはザっと以下の通り。

実験の流れ

  1. 参加者をグループ分け
  2. 各グループでそれぞれのオーディオガイダンスを聴く
  3. 感情を揺さぶるような写真を見るタスクを行う
  4. 理解度やマインドフルネス診断などのアンケート調査を行う
  5. フランカー課題を行う

フランカー課題とは、注意力を試す代表的なタスクで、連続した矢印が画面に表示されて、その中の指示された位置の矢印のみに注意を向けて、その方向を答えていく、みたいなイメージになります。

そして、最終的に206名分の実験中の脳波データが集まって、以下のようなことが分かりました。

結果
  • 課題のスコアや反応速度、精度などにはグループ間で大差なかった
  • 課題でミスをした時の脳のシグナルにもグループ間で大差なかった
  • 課題で間違いに気づいた時の脳のシグナルが瞑想グループで長く見られた

まとめると、課題のパフォーマンスには両者で大差なかったものの、オープンモニタリング瞑想をはじめに20分行ったグループの方で、課題の中に紛れている間違いに気づきやすくなっていたんですね。

上記の結果は、パッと見ると「あれ、マインドフルネス瞑想って大したことないじゃん?」とも捉えられますが、初心者がたった20分実践しただけでこの結果、という点を考慮すれば、なかなかの結果だったんではないかと思います。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • 参加者は女性のみ: マインドフルネスの特性やミスへの反応の性別差を鑑みて、あえて女性のみの構成にしているが、その分男性は含まれていない
  • 過去の類似研究の結果はバラバラ: マインドフルネスの研究全体にも言えることだが、結果にばらつきが大きく一貫していない
  • 長期的に見てどうなるか?まではわからない: 今回の実験は1日きりの超短期間なので、長期的にマインドフルネス瞑想を実践した場合の結果は分からない

マインドフルネス瞑想の注意力への効果は、程度に差こそあれど、割と一貫して確認されていますので、そこはある程度一貫した効果が得られるんだろうなと考えています。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • マインドフルネス瞑想の「観察」に特化した「オープンモニタリング瞑想」で目の前の間違いに気付きやすくなった
  • 今回の実験では、たった20分のオープンモニタリング瞑想を行うだけでも、その後のタスクで間違いに気づいた時の脳のシグナルが長く確認された
  • 長期的にオープンモニタリング瞑想を続けることで、より大きな変化が期待できそうだ

赤羽(Akabane)

マインドフルネスにも色々と細かい要素があって、「この要素こそが重要だ!」みたいな話もあります。詳しくは以下をご覧ください。

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参考文献&引用

#1 Lin, Eckerle, Peng, Moser. On Variation in Mindfulness Training: A Multimodal Study of Brief Open Monitoring Meditation on Error Monitoring. Brain Sciences, 2019; 9 (9): 226 DOI: 10.3390/brainsci9090226