赤羽(Akabane)
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メタ分析: 運動後の疲労回復には意外にもチョコレートミルクが効果的？
運動中や運動後の飲料と言えば、スポーツドリンクが真っ先に浮かぶかと思います。ポカリスウェットやアクエリアス…今や沢山の種類がお店に並んでいますね。
ではチョコレートミルクは..？「甘くてトロッとしてて、さぞかし美味しいだろうなぁ..」とは思いますが、運動後に飲もうとは露にも思わないでしょう。しかし、スポーツ科学の世界では、意外にもチョコレートミルクが疲労回復に良いのでは？と言われてきています。
そこでこの記事では、チョコレートミルクの運動後のリカバリードリンクとしての効果をまとめたデータを見ていきます。
チョコレートミルクの疲労回復効果をあらゆる飲料と比較したメタ分析
2019年にシャヒドサドゥギ医科大学が発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、チョコレートミルクの疲労回復効果は他の飲料と比べると大差はないけれど、一部僅かに高い効果が見られた！ということが分かりました。
この研究は、11件の臨床試験から138名分のデータを分析して、チョコレートミルクが他の飲料と比べて疲労回復効果に秀でているのか？をまとめたものです。比較対象は、プラセボ(香料や味をつけただけの水など)や他の炭水化物、たんぱく質、脂質などが入った飲料などでした。
また実験内において、参加者はサイクリングやランニング、クライミングなどの運動をこなしていて、運動による疲労度については、ザっと以下のような基準で測定されていました。
- 疲労困憊までの持続時間(TTE)
- 自覚的運動強度(RPE)
- 血中乳酸値(L)
- 血中クレアチンキナーゼ(CK)
- 心拍数
では上記を踏まえて、分析の結果を見ていきましょう。
- 全体で見ると、どの項目もチョコレートミルクの有意な疲労回復効果を示す結果にはならなかった
- 比較対象ごとに細かく解析していくと、TTEや血中乳酸値などで一部有意な効果が確認された
- その他では特に有意な効果は見られず、他に効果が確認されたものは実証研究が1件のみだったり不十分なデータだった
まとめると、全体的に他のプラセボ飲料や炭水化物入り飲料と比べると大した差ではありませんでしたが、細かく見ると、一部でチョコレートミルクが僅かに高い疲労回復効果を発揮している箇所もありました。
- TTEでは、プラセボと比べて0.78分増(p = 0.003)、炭水化物+たんぱく質+脂質入り飲料と比べて6.13分増(p = 0.046)だった
- Lでは、プラセボと比べて-1.20 mmol/L減(p = 0.006)だった
こうした結果を踏まえると、チョコレートミルクには運動で疲れ切るまでの持続時間を延ばしてくれたり、疲労に関わる体内の物質を減らしてくれたり、といった効果がありそうです。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 全体的にデータの質は低い：質が高いと評価された研究はたった2件だった
- サンプルサイズが小さい：メタ分析ではあるが、参加者数が200名未満とかなり少なく、測定項目ごとに見るともっと少なくなるので、統計的なパワーは弱い
- 参加者の大半が男性：女性を含んだ研究はうち2件のみだった
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- チョコレートミルクは運動後の疲労回復に十分適した飲み物だと言えそう
- 今回のメタ分析では、全体で見ると他の飲料と大差なかったものの、細かく見ると幾つかの項目で優れた疲労回復効果を発揮していた
- 目に見えて高い効果があるわけではなさそうだが、選択肢の一つとしては試してみる価値はありそうだ
赤羽(Akabane)
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#1 Amiri M, Ghiasvand R, Kaviani M, Forbes SC, Salehi-Abargouei A. Chocolate milk for recovery from exercise: a systematic review and meta-analysis of controlled clinical trials. Eur J Clin Nutr. 2019;73(6):835–849. doi:10.1038/s41430-018-0187-x.
