赤羽(Akabane)
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HIITの休憩時に回復を早める最適な姿勢とは?
HIITとは「高強度インターバルトレーニング(High Intensity Interval Training)」の略で、短時間にかなりキツい運動とインターバルを交互に行っていくトレーニングのことです。
いかんせんキツいので、インターバル中はへばってしまうこともあるでしょう。そこでこの記事では、HIITで休憩中にとるとパフォーマンスが上がる姿勢について見ていきます。
HIITの休憩中は膝に手をついて休んだほうがいい?
2019年にワシントン大学が発表した研究(#1)によると、HIITのインターバル時は膝に手をついて休んだ方が回復が早いことが分かりました。
この研究では、オフシーズンの女性サッカー選手20名(平均20.3歳、BMI 22.4)を対象に、以下のような実験を行いました。
- トレッドミルマシンで4分ランニング-3分休憩のHIITを行う(4-3-4-3-4-3-4)
- 強度は年齢推定最大心拍数(220-年齢)の90~95%で、各休憩時に最初の60秒間で心拍数の回復度を、3分全体を通して呼気中のCO2や一回換気量を測定する
- 実験は大きく2つ行われ、上記の実験内容は変えずに、休憩中の姿勢によって以下の2つのパターンに分けられた
参加者は全員、2つの実験をランダム順でこなしていて、間には1週間が設けられたみたい。(十分に体を休めて前の実験の影響をひきづらないため)
そして実験の結果、こんなことが分かりました。
- 心拍数の回復は、膝に手をついて休んだ方が、頭の後ろで手を組むよりも早かった(53 ± 10.9 vs 31 ± 11.3 bpm, P < 0.001, d = 1.98)
- 呼気中の二酸化炭素量も、膝に手をついて休んだ方が、頭の後ろで手を組むよりも多かった(1.1 ± 0.2 vs 1.0 ± 0.2 L·min−1, P < 0.05, d = 0.5)
- 一回換気量も、膝に手をついて休んだ方が、頭の後ろで手を組むよりも多かった(1.4 ± 0.2 vs 1.3 ± 0.2 L·min−1, P < 0.05, d = 0.5)
まとめると、HIITで息が上がった状態から早く立ち直れるのは、休憩時に膝に手をついて休んだ場合だったようですね。従来だと、直立で頭の後ろに腕を組むのが普通だったようで、これに反する結果となりました。
ではどうして膝に手をついて休んだ方が回復が早かったのでしょうか?研究チームは以下のように説明していました。
膝に手をつく姿勢は胸部を屈曲させ、胸郭が回転する。これによって、「Zone of Apposition(ZOA)」が確保でき、呼吸時に横隔膜の動きが最大効率化されるのだ。[筆者訳]
ZOAは、息を吸ったときにちゃんとお腹の下が膨らんで、吐くとともに腹筋が縮まっていく、というように横隔膜がしっかり機能している状態を指します。そして手を膝につく前屈みの姿勢は、このZOAを確保するのに効果的であることが分かっているんですね。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズは小さい:参加者は20名なので、統計的なパワーは弱い
- サンプルは体がしっかりした女性のみ:サッカー選手の運動慣れした女性のみが対象なので、運動習慣がない人や高齢者などでどうなるか?は分からない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- HIITは「高強度インターバルトレーニング(High Intensity Interval Training)」の略で、短時間にかなりキツい運動とインターバルを交互に行っていくトレーニングのこと
- 今回の実験によると、HIITの休憩時には、膝に手をついて前屈みで休んだ方が、横隔膜の働きが効率化されて回復が早まるようだ
- 具体的には、心拍数の回復度や、二酸化炭素排出量、一回呼吸量などの数値が改善していた
赤羽(Akabane)
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#1 Michaelson, Joana V.; Brilla, Lorrie R.; Suprak, David N.; McLaughlin, Wren L.; Dahlquist, Dylan T. Effects of Two Different Recovery Postures during High-Intensity Interval Training, Translational Journal of the ACSM: February 15, 2019 – Volume 4 – Issue 4 – p 23-27 doi: 10.1249/TJX.0000000000000079.