メンタルを病まない・人間関係で苦労しないために知っておくべき「認知の歪み12種類」

メンタルを病まない・人間関係で苦労しないために知っておくべき「コグニティブ・ディストーション12種類」

赤羽(Akabane)

今回は「我々のメンタルを苦しめる認知の歪みを知っておこう!」というお話です。

メンタルを病まない・人間関係で苦労しないために知っておくべき「認知の歪み12種類」

認知の歪み(Cognitive Distortion)」とは、我々の普段の思考の中のおかしな部分、それによって精神に余計なダメージを与えてしまう考え方を指します。これは認知行動療法では根幹となる考え方でして、その人の思考の悪いクセを見つけ出して少しずつ矯正していくやり方を基本としています。ちょうど整形外科のメンタル版みたいなものですね。
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認知行動療法の第一人者が指摘する「認知の歪み12種類」

では早速、認知の歪みを12種類見ていきます。出典は認知行動療法の生みの親、アーロン・ベック氏の娘であるジュディス・ベック氏の著書『認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで 第2版-ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト-』(#1)です。

認知の歪み12種類

  1. 全か無か思考(黒か白か思考)
  2. 破局視(運命の先読み)
  3. 肯定的側面の否定や割引き
  4. 感情的理由付け
  5. レッテル貼り(ラベリング)
  6. 拡大視/縮小視
  7. 心のフィルター(選択的抽出)
  8. 読心術(マインドリーディング)
  9. 過度の一般化
  10. 個人化
  11. 「ねばならない」「べき」思考(命令型思考)
  12. トンネル視

全か無か思考(黒か白か思考)

「100点じゃなきゃ意味がない」「完璧にできないなら初めからやらない」といった0か100、白か黒の二極化した考え方をしてしまう。完璧主義者はこの思考に陥りやすい。

失敗した…僕はダメ人間だ..(成功しなければ0も同然)
全か無か思考 白か黒か思考 日常に潜む危険な思想【白か黒か思考(全か無か思考)】の末に辿り着くのは?

破局視(運命の先読み)

未来の出来事を一人でネガティブに予測して、勝手に落ち込んでいく。ドツボに嵌ると、どんどん悪い方向にばかり考えてしまうようになり、やがて自滅していってしまう。

失敗した…僕はダメ人間だ..みんなにも無能だと思われているに違いない。この先ずっとバカにされながら生きていかなければならないんだろうな..

肯定的側面の否定や割引き

自分にまつわる肯定的な面(長所・好成績・経験etc)を無視したり割り引いて考えてしまう思考。

みんなは僕のことを褒めてくれるけれど、みんな優しいからお世辞を言ってくれているんだな、きっと…これでつけあがっちゃダメだ

感情的理由付け

事実が本当に事実かどうかよりも、「自分がそう感じるから・そう信じるから」その物事が事実になるという思考。現実にどんなに良いことが起きていても、自分がそれを悪いと思ったら、それは悪いという解釈になってしまう。

テストの成績は良かった。でも僕は肝心なところでいつもやらかす無能な人間なんだ…。(自分のことを無能だと思い込む思考のクセがある)

レッテル貼り(ラベリング)

人や物事に対してすぐに単純なレッテルを貼ろうとする思考。結論を出すまでに合理的な思考ができず、不合理なラベリングになってしまうことが多い。

失敗した…僕は負け犬だ..。それもこれも、彼が邪魔をしたからじゃないか!あいつはとんだ悪人だ!

拡大視/縮小視

状況や人、物事の良し悪しを評価する時に、否定的な側面を過大評価し、肯定的な側面を過小評価してしまう思考。

みんなからはテストの出来を褒められた。けれどいつもはそんなにいい点数じゃないし、何よりもケアレスミスで何問か落としているのが本当に情けない。

心のフィルター(選択的抽出)

物事の全体像を観るのではなく、ほんの一部の否定的なところだけをかいつまんで悲観してしまう思考。

今日のプレゼンは失敗だ…。部長にスライドの作り方についてダメ出しをされてしまった。(その他の発表態度やプレゼンの内容は褒められている)

読心術(マインドリーディング)

他人が考えていることを勝手に解釈して、裏付けもないのに自分は分かっているように思い込む思考。

彼は僕のことが嫌いなんだ。街で見かけて声をかけた時も無視されたし、僕と喋っている時はしかめっ面が多い気がする。

過度の一般化

現状から突拍子もない大げさな解釈をしてしまう思考。

新しいクラスの集まりにいったけれど、全然馴染めなかった…。僕には友達なんかできるはずがない。

個人化

他人や周りが否定的な振る舞いをした時、それは自分のせいだ、自分がそうさせてしまったんだと思い込む思考。

彼女が怒鳴って叩いてくるのは僕が優柔不断で意気地なしだからなんだ…。

「ねばならない」「べき」思考(命令型思考)

自分や他人の振る舞いに関して、「~せねばならない」「~すべき」といった凝り固まった厳しい要求をしがちな思考。

彼はいかなる理由があっても、あの時冷静になるべきだった。絶対に取り乱してはいけなかった。

トンネル視

状況や人、物事に対して否定的な部分しか見ようとしない思考。

僕は仕事ができない無能な人間だ…。よく上司に叱られるし、会議に遅刻するし、同期のみんなよりも簡単な仕事しか任せてもらえない…

まとめ

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 全か無か思考(黒か白か思考)…「100点じゃなきゃ意味がない」「完璧にできないなら初めからやらない」といった0か100、白か黒の二極化した考え方をしてしまう。完璧主義者はこの思考に陥りやすい
  • 破局視(運命の先読み)…未来の出来事を一人でネガティブに予測して、勝手に落ち込んでいく。ドツボに嵌ると、どんどん悪い方向にばかり考えてしまうようになり、やがて自滅していってしまう
  • 肯定的側面の否定や割引き…自分にまつわる肯定的な面(長所・好成績・経験etc)を無視したり割り引いて考えてしまう思考
  • 感情的理由付け…事実が本当に事実かどうかよりも、「自分がそう感じるから・そう信じるから」その物事が事実になるという思考。現実にどんなに良いことが起きていても、自分がそれを悪いと思ったら、それは悪いという解釈になってしまう
  • レッテル貼り(ラベリング)…人や物事に対してすぐに単純なレッテルを貼ろうとする思考。結論を出すまでに合理的な思考ができず、不合理なラベリングになってしまうことが多い
  • 拡大視/縮小視…状況や人、物事の良し悪しを評価する時に、否定的な側面を過大評価し、肯定的な側面を過小評価してしまう思考
  • 心のフィルター(選択的抽出)…物事の全体像を観るのではなく、ほんの一部の否定的なところだけをかいつまんで悲観してしまう思考
  • 読心術(マインドリーディング)…他人が考えていることを勝手に解釈して、裏付けもないのに自分は分かっているように思い込む思考
  • 過度の一般化…現状から突拍子もない大げさな解釈をしてしまう思考
  • 個人化…他人や周りが否定的な振る舞いをした時、それは自分のせいだ、自分がそうさせてしまったんだと思い込む思考
  • 「ねばならない」「べき」思考(命令型思考)…自分や他人の振る舞いに関して、「~せねばならない」「~すべき」といった凝り固まった厳しい要求をしがちな思考
  • トンネル視…状況や人、物事に対して否定的な部分しか見ようとしない思考

赤羽(Akabane)

これらを知っておくだけでもかなり有益ではないかと思います。認知の歪みに苦しめられている当の本人はそれに気づいていないことが多いので、こうした破滅的な思考を自分で感知してキャッチできるようになれば、余計に精神をすり減らしたり人間関係で悩んだりすることも少なくなるのではないでしょうか。

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参考文献&引用

#1 ジュディス・S・ベック著、伊藤絵美、神村栄一、藤澤大介訳『認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで 第2版-ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト-』星和書店、2015年。