赤羽(Akabane)
目次
認知行動療法の基本「コーピングレパートリー」に倣ってレストランのお品書き風コーピングリストを自作してみた。
本題の前に、まずコーピングレパートリーについてザっとおさらいしておきましょう。
認知行動療法の基本「コーピングレパートリー」
「コーピングレパートリー」は簡単に言うと、ストレス対策の持ち札のようなもの。当然これが0だとストレスに太刀打ちできませんから、対策のレパートリーを増やしておいていざという時に札を切れるようにしておこう!というわけです。
実際に2016年の研究(#2)でも、コーピングレパートリーが多いグループほどアルコール依存症を克服できる割合が高かったという結果が出ています。ストレスとは少し違うものの「突然湧き上がるマイナス感情への対処」という点では同じで、やはり数打てば当たる戦法が吉なのかなと思います。
コーピングレパートリーをレストランお品書き風に仕上げたコーピングリスト!
ではここから本題へ。今回は私が自作したレストランメニュー風のコーピングリストを紹介します。コーピングレパートリーをお品書きに落としこむ、というスタイルはザっと見渡してみてどなたも実践していないので、多分私が第一人者(笑)ということにしておきましょう。外観はこんな感じで、黒い革のメニューブックです。
冒頭から科学的に効果があるとされるストレス解消法をリスト化していて、計48のコーピングリストとなっています。
1ページ目は上から順に「瞑想」「アロマ&サプリ」「ライティング」を並べていて、ストレスを感じる度にこの黒革のメニューブックを広げるのですね。英語で書いてあるのは雰囲気と勉強のためです(笑)
続く2、3、4ページ目はザックリこのような様子。見づらいかと思いますが「運動」「バイオフィリア(自然愛)」「食べ物&飲み物」「呼吸法」「メタ認知テクニック」「その他」を大きなテーマとして掲載しております。
中には個人的にやっていて落ち着くモノも載せておりまして、「アニメを一話分観る」なんかがそうですね。一応代表的なものを幾つか例に挙げておきます。
瞑想
アロマ&サプリメント
- ラベンダーアロマを嗅ぐ
- ヒノキアロマを嗅ぐ
- アシュワガンダを飲む
ライティング
- エクスプレッシブライティング
- 3つの良い出来事を書く
- 1つのネガティブな事を書いた後で3つの良い出来事を書く
運動
バイオフィリア
食べ物&飲み物
呼吸法
メタ認知テクニック
- 脱フュージョンテクニックを使う
- ストレスを温度計で数値化する
- ブレスレットを左→右手に付け替える
その他
- 思い入れの深い音楽を聴く
- 大切な人、思い出に想いを馳せる
- アニメを観る、ラジオを聴く
以上のようなテクニックをその場の状況に応じて選んで使っていくのですね。使い分けはザっと次のような感じで出来るかと思います。
- スクワットや筋トレはできない
- 代わりに呼吸法なら対処可能
- 緑豊かな公園に行ってリラックスするのがベター
- エクスプレッシブライティングで不安を定期的に吐き出してみる
こんな風にコーピングリストをいかに臨機応変に使えるか?をコーピングフレキシビリティ(対処の柔軟性)(#3)と言います。これを無くして最強のコーピングプレイヤーにはなれません。どんなに手札が素晴らしくても、結局はプレイヤーの腕次第ですからね。
わざわざリストを作る必要は?
とここで、「ではリストをわざわざ作るメリットは?」「頭に入っていればそれでいいのでは?」という疑問が浮かぶかと思います。
ただ、実際に使ってみて感じたのは、普段からモノとして持ち歩いてるとストレス対策に関して万能感を得られるということ。実際にストレスを感じた時、メニューを開くだけで落ち着きを取り戻せることがあったり。これはエクスプレッシブライティングが不安や緊張に効く過程に似ていますね。
赤羽(Akabane)
最後に、今回自作コーピングメニューを作るにあたって参考にした本を紹介しておきます。科学的根拠に基づいたストレス解消法が盛りだくさんの良書なので、メニューを作るのが面倒な方はこの本を常備しておくだけでも充分かもしれません。
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参考文献&引用
# 鈴木祐 著『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』鉄人社 2018年。
#1 Adam Duhachek,Katie Kelting,”Coping repertoire: Integrating a new conceptualization of coping with transactional theory“,Journal of Cousumer Psychology,Volume19, Issue3,July 2009,Pages 473-485.
#2 Corey R. Roos,Katie Witkiewitz,”ADDING TOOLS TO THE TOOLBOX: THE ROLE OF COPING REPERTOIRE IN ALCOHOL TREATMENT“,J Consult Clin Psychol. 2016 Jul; 84(7): 599–611.
#3 Kato T,”Development of the Coping Flexibility Scale: evidence for the coping flexibility hypothesis.“,J Couns Psychol. 2012 Apr;59(2):262-73.