日本の研究でも判明!食物繊維の摂取量が多いほど早死にリスクが低かった

日本の研究でも判明!食物繊維の摂取量が多いほど早死にリスクが低かった

赤羽(Akabane)

今回は「食物繊維の健康効果」についてのお話です。

日本の研究でも判明!食物繊維の摂取量が多いほど早死にリスクが低かった

食物繊維と言えば、お腹の調子を整える!で有名ですが、実は他にも特定のがんに効くだとか、二型糖尿病の改善に効くといったデータも豊富です。

というわけでこの記事では、食物繊維の長生きへの効果を調査した日本のデータを見ていきます。

memo
炭水化物 = 糖質 + 食物繊維

国立がん研究センターの研究結果!食物繊維の摂取量と早死にリスクの低下に相関

2020年に国立がん研究センターが発表した研究(#1)によると、日頃の食物繊維の摂取量が多いほど早死にリスクが低かったことが分かりました。

この研究は、日本の多目的調査データから92,924名(45~74歳)を対象に、彼らの生活を平均16.8年間追いかけたものです。食事の内容に関してはアンケート調査を行っていて、138種類もの食品リストについて「普段どのくらい食べるか?」という聞きとりを行っていました。

  • 食物繊維の摂取量ごとに対象者らをパーセンタイルで5つに分類した
  • 分類ごとに調査期間中の死亡リスクがどうなったか?を調査
  • リスクの比較は、食物繊維の摂取量が最も多い群 vs. 最も少ない群という風に行われた

そして調査期間中に19,400名が亡くなり、そこから次のようなことが分かりました。

結果
  • 食物繊維の摂取量が最も多い群と低い群で比べると、男性で総死亡リスクが23%、女性で18%低かった
  • 食物繊維の摂取量が最も多い群と低い群で比べると、男性でがんに因る死亡リスクが21%低かったが、女性では有意な差は見られなかった
  • 食物繊維の摂取量が最も多い群と低い群で比べると、男性で循環器疾患に因る死亡リスクが20%、女性で27%低かった

まとめると、食物繊維を普段から多く摂っていた人はそうでない人よりもその後17年近くの死亡リスクが低かったんですね。しかもこうした結果は、軒並み男女に共通して見られ、リスクの算出にあたって年齢や体型、喫煙や飲酒といった他の生活習慣を考慮した上でのものだそう。

またこの研究では、食物繊維の摂取源別でもリスクを算出してくれていて、ザっと以下のような結果になっていました。

結果
  • 野菜や果物、豆類を摂取源とした場合、食物繊維摂取量の増加とともに総死亡リスクが低い傾向が見られた
  • 野菜の摂取量が最も多い群と低い群で比べると、男性で総死亡リスクが17%、女性で15%低かった
  • 果物の摂取量が最も多い群と低い群で比べると、男性で総死亡リスクが15%、女性で15%低かった
  • 豆類の摂取量が最も多い群と低い群で比べると、男性で総死亡リスクが9%、女性で10%低かった

どうやら、野菜や果物、豆類を摂取源とすれば食物繊維の長生き効果の恩恵を受けられるようです。逆に穀物は今回の研究からは微妙に感じますが、こうした結果については「日本では精製された白米を主食とする文化があるから、穀物の摂取源として主にこれがカウントされてしまったのでは?」という見解がありました。

確かに、全粒穀物などを穀物の主な摂取源とする海外の研究では、食物繊維の摂取源は穀物が良い!と示すデータはたくさんあります。なのでデータを俯瞰的に見ると、必ずしも穀物が他の食物繊維源より劣っているとは言えないかと思います。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • 食事の調査は入り口の一回しか行っていなかった:17年ある調査期間の中で、食事スタイルがずっと変わらないとは限らないので、できれば調査の途中で複数回食事を確認できれば良かった
  • 対象者は日本人のみ:日本人である我々には参考になるデータだが、海外の人からすれば、自分たちの食文化にも当てはまるとは言い切れない
  • 因果関係は特定できない:研究デザインの性質上、食物繊維のおかげで早死にリスクが下がった!ということを証明はできず、単に食物繊維をよく食べる人は健康的な生活をしているという影響も否定できない

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 食物繊維は、特定のがんや二型糖尿病など、兼ねてからあらゆる健康的メリットがあるとされていた
  • 日本の調査データを対象にした研究でも、食物繊維をよく摂る人は、男女問わず17年間の期間中での死亡リスクが有意に低かった
  • 日本の場合、穀物の摂取源が精製された白米なのもあってか、食物繊維のメリットを引き出すには野菜や果物、豆類を主な摂取源にした方が効果がありそうだ

今回の研究だけだと何とも心もとないですが、食物繊維については2018年にも大規模なアンブレラレビュー(#2)が発表されていて、心疾患による死亡リスクをはじめとした早死にリスクの低下と相関がある!とする高いエビデンスがあることが分かっています。

こういった他の報告も考慮すれば、食物繊維の量を増やすことで健康的なメリットが大きいことは間違いないと考えられます。

赤羽(Akabane)

食物繊維についてはここ数年で結構詳しいところまで分かってきています。興味のある方は以下も是非ご覧くださいませ。

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参考文献&引用

#1 Katagiri R, Goto A, Sawada N, et al. Dietary fiber intake and total and cause-specific mortality: the Japan Public Health Center-based prospective study [published online ahead of print, 2020 Jan 28]. Am J Clin Nutr. 2020;nqaa002.

#2 Veronese N, Solmi M, Caruso MG, et al. Dietary fiber and health outcomes: an umbrella review of systematic reviews and meta-analyses. Am J Clin Nutr. 2018 Mar 1;107(3):436-444.