赤羽(Akabane)
目次
大前提:炭水化物=糖質+食物繊維
炭水化物と糖質はよくごちゃ混ぜになりがちですが、糖質は炭水化物の一部です。そしてもう一つの食物繊維、先に言ってしまうとこちらが今回のお話のメインディッシュです。食物繊維が健康にいかに大事かは以下をザっと見していただければと。
超大規模研究で明らかになった「食物繊維」の驚くべき14の健康効果心疾患や二型糖尿病、慢性病の予防にベストな炭水化物の“摂り方”と“摂取量”が判明。
ではここからが本題で、今回は2019年にオタゴ大学の教授らが発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)を紹介します。なんと過去40年間に及ぶ研究を集めた大作で、具体的には以下のような内容になっていました。
- 185件の前向き観察研究から1億3500万人年分、58件の臨床試験から4635名の成人データを集めた
- 炭水化物の摂取内容と摂取量が慢性病*リスクにどのくらい効果があるのか?を調べた
- 比較は摂取量が最多グループvs最少グループ
要は炭水化物の摂取タイプと摂取量があらゆる慢性病リスクとどう影響するのか?を調べたということですね。ちなみにここでいう慢性病というのは、
- 総死亡リスク
- 心疾患に因る死亡リスク
- 冠状動脈性心疾患の発症と死亡リスク
- 2型糖尿病
- 直腸結腸がんや乳がんなど
この辺りのいわゆる「非感染性疾患(Non-Communicable Disease)」の大御所たち。そしてこの結果をまとめると、以下のようなことが分かりました。
- (前向き観察研究)食物繊維の摂取量が最も多い群は最少群より総死亡リスクと心疾患リスクが15~30%低かった
- (前向き観察研究)食物繊維が豊富な食品をよく食べる群はそうでない群より冠状動脈性心臓病、脳卒中、二型糖尿、直腸結腸がんリスクが16~24%低かった
- (臨床試験)食物繊維摂取量が最多群vs最少群で比較したところ、最多群で優位に体重、収縮期血圧、総コレステロール値が減少していた。
つまり、炭水化物の中でも食物繊維をたくさん摂っている人はそうでない人よりも早死にリスクは低いうえにあらゆる慢性病のリスクまで低下していたんですね。そしてもっと細かく見ていくと、こんな興味深い結果も出て参りました。
- 一日あたり25g〜29gの食物繊維で最も慢性病全般のリスクが下がった
摂取量の基準としては、日本の厚生労働省が2015年に発表したデータ(#2)によると、日本人の食物繊維平均摂取量はたった15gほど。今回の目安量には全然届いていないという残念な事実が…。
そして更に詳しく見ていくと、食物繊維の摂取量が増えれば増えるほど以下の慢性病リスクもどんどん下がっていったようです。
- 心疾患系
- 二型糖尿病
- 直腸結腸がん
- 乳がん
どうやら食物繊維は上記の基準である25~29gを超えて摂っても、益々の健康効果は期待できそう。(明らかな摂りすぎはよくないですが)
注意点・まとめ
しかし注意として、論文の結びにこんなことも書かれていました。
食物繊維を摂ろうと全粒穀物を食べ過ぎると、鉄などのミネラルの吸収が阻害される。[筆者訳]
これは穀物類に一定量含まれている「抗栄養素」が原因で、こいつらがミネラルの吸収を邪魔してしまうんですね。
盛りだくさんでしたが、ここまでのまとめとして当記事タイトルの答え合わせはこうなります。
A.「摂取源」 = 食物繊維を多めに
「摂取量」 = 一日25~29gは摂る
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Andrew Reynolds, Jim Mann, John Cummings, Nicola Winter, Evelyn Mete, Lisa Te Morenga,”Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses“, VOLUME 393, ISSUE 10170, P434-445, FEBRUARY 02, 2019.
#2 厚生労働省『平成27年 国民健康・栄養調査結果の概要』2019年4月1日アクセス。
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou.pdf