赤羽(Akabane)
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誰かと一緒だとつい食べ過ぎてしまう「食事の社会的促進」が起こりやすい条件が分かったぞ!
こんな経験はありませんか?これは「食事の社会的促進(the social facilitation of eating)」といって、一人の時よりも誰かといる時の方が食事のモチベーションが高まって、ついご飯が進んでしまうという心理現象です。飲みの席では特によく経験するのではないでしょうか。
というわけで、この記事では「食事の社会的促進」が起こりやすい条件について見ていきます。
食事の社会的促進が起こりやすい条件を調べたメタ分析
2019年にバーミンガム大学が発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、友達や家族と一緒に食事をする以外にも「食事の社会的促進」が起こりやすい条件が幾つか判明したようです。
この研究は42件の関連研究をレビューして、最終的に11件の実験をメタ解析したもので、食事の社会的促進に関係する以下の要素の影響力を調べています。
- 食事の相手との関係性(友達、家族、顔見知り、赤の他人)
- 食事の量、内容
- 食事の時間
- 対象者の体型、食事制限
- 食事中に気を逸らすモノ(TV、ラジオ、音楽等)
- 対象者の性別
- 食事に集まったグループの規模
- 食事の雰囲気
- 食事の基準(他の人がどのくらい食べるか?等)
このうち食事の相手との関係性については十分なデータがあったので、メタ解析が出来ました。残りの項目については、集まったデータをもとに研究チームが一つずつ中身をレビューしていく流れになります。
そしてまずメタ解析から分かったことをまとめると、こんな感じでした。
- 全体的に見ると、誰かと食事をした場合は一人の時と比べてやや多く食べる傾向が見られた(d=.35; 95% CI 0.08~0.61)
- 友達や家族と食事をした場合は一人の時と比べてかなり多く食べていた(d=.76; 95% CI 0.48~1.03)
- しかし知らない人や顔見知り程度の関係性だと、一人の時と比べても食事の社会的促進が起こらなかった(d=.21; 95% CI -0.10~0.51)
まとめると、親密な関係にある友人や家族と一緒にご飯を食べた場合は、やはり一人の時より食べ過ぎてしまうようです。一方で関係性が薄い人との食事では、一人の時と比べても特に食べ過ぎちゃうことはなかった模様。
また研究チームのレビューの結果、他にもザっと以下のようなことが分かりました。
- 男女関係なく3人以下の会食では同じくらい食べるが、大人数の会食になると女性より男性の方が食べる傾向があった
- 標準体型の人では食事の社会的促進が起こりやすく、太り気味/肥満体型の人は一人の時の方がたくさんカロリーを摂取する傾向があった
- 脂質やたんぱく質が多く、低糖質な食事では社会的促進が起こりやすく、三大栄養素全てが多い食事でも一部この傾向が見られた
- 会食に集まったグループの人数が増えると、一人が食べる食事のボリュームも増える傾向が見られ、この関係にはグループの規模が増えることで会食時間が長くなることが影響しているとする報告がある
- 会食中にTVを観たり、話や音楽を聴いていた場合に食べ過ぎる傾向が見られ、一部の研究では、こうした気を逸らす要素による食べ過ぎ効果は、社会的促進と似たようなレベルで起こると報告されている
- 一緒に会食している人が食べる量によって、その基準を上回らないように食べようとする心理が働くと報告されている
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 食事の相手との関係性を除く結果を裏付ける研究はまだ少ない:上記のレビューに関する結果には賛否両論あったり、細かい文脈の違いで結果が変わることもありそうだ(会食のセッティングの違い等)
- 全体的に研究の質は高くない:14件の実験は質の高いRCTではない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 誰かと一緒だとつい食べ過ぎてしまう「食事の社会的促進」は、友達や家族など親密な関係にある人との会食の場合で強まる傾向が見られた
- 一方で見知らぬ人や顔見知り程度の関係値の人ではこうした効果は特に見られなかった
- 会食のメンバーやその規模、性別、体型、食事の内容など、「食事の社会的促進」に影響を及ぼす要素がたくさん確認された
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Ruddock HK, Brunstrom JM, Vartanian LR, Higgs S. A systematic review and meta-analysis of the social facilitation of eating. Am J Clin Nutr. 2019;110(4):842–861.