赤羽(Akabane)
目次
血圧を下げるための減塩ガイドライン!どれくらいの期間続けると最も効果的なのか?
133件の過去研究を総まとめ!食事の減塩は最低でも2週間以上は続けた方が効果的みたいだ
2020年にシドニー大学の研究者らが発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、食事のナトリウム摂取量は減らせば減らすほど血圧にイイ!けれども減塩をするなら最低でも2週間以上は続けた方が効果が出やすいかも!ということが分かりました。
この研究では、133件の比較実験から12,197名分のデータを集めて、ナトリウムの摂取量を減らすと血圧はどこまで下がるのか?をまとめてくれています。
それぞれの実験の具体的な中身については以下にまとめます。
- 参加者数は実験毎に6~1510名と幅広く、年齢も平均23~73歳といろいろな層を対象にしていた
- 実験期間は3日~1年間まで幅広く、14日間以内のものが6割ほどで、15~30日間のものが2割くらい。1~6か月のものとそれ以上のものが1割ずつの割合だった
- 参加者は減塩食事グループ vs. 通常の食事グループで戦わせ、24時間の尿中ナトリウム量と血圧を測定し、結果を比べた
塩分摂取量の基準として、24時間の尿中ナトリウム量を見ているのはナイスですね。こういう時、一般的なやり方だと食事内容を聞き取り、その内容からナトリウム摂取量を概算するみたいな感じでして、どうしてもデータに主観が混じってしまうことが多い印象でしたので。
そしてこうした分析の結果、以下のようなことが分かりました。
- 通常食グループと比べて、全体で24時間の尿中ナトリウムは130mmol減少し、収縮期/拡張期血圧はそれぞれ4.26mmHg、2.07mmHg下がった
- 尿中ナトリウムが50mmol減るごとに、収縮期/拡張期血圧はそれぞれ1.10mmHg、0.33mmHg下がった
- 14日間以内の短期だと、15日以上の中長期的な介入と比べて、尿中ナトリウムが50mmol減るごとに下がる血圧はおよそ半分の効果しかなかった
どうやら、食事のナトリウム摂取量は減らせば減らすほど降圧効果が見込めるようで、減塩は最低2週間以上は続けた方がいいみたいです。
またこうした結果は、高齢者や白人ではない人種、上の血圧が高い人で絶大だった様子。恐らく元々の血圧が高い人ほど改善幅も大きかったのかな?と踏んでいますが、この後紹介する注意点の影響もありそうです。
注意点・まとめ
注意点としては、それぞれの実験開始時点での高血圧治療や薬の服用有無などによる影響までは考慮できていない点が挙げられます。つまり、高血圧などで何等かの治療を受けていた場合、今回の実験結果にその効果も上乗せされていると考えられまして、こうなると減塩によるピュアな結果とは言い難くなってしまいます。
それ以外の点については、あらゆる国や人種を対象に実験が行われていたり、実験毎のサンプルサイズや実験期間の大幅なバラつきの要因を探るのに細かいリグレッションテストを行っていたり、割かし質の高い研究であったなという印象です。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 食事の減塩を心掛けた場合、通常の食事よりも尿中ナトリウム排出量が減って、上下の血圧もそれぞれ4mmHg、2mmHgほど下がっていた
- 尿中ナトリウム排出量が減るほど降圧効果も高くなり、50mmol減れば上下の血圧がそれぞれ1mmHg、0.3mmHgほど下がっていた
- こうした効果は高齢者や白人ではない人種、上の血圧が高い人で絶大で、最低でも2週間以上は続けた方が効果が大きくなるという
赤羽(Akabane)
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#1 Huang Liping, Trieu Kathy, Yoshimura Sohei, Neal Bruce, Woodward Mark, Campbell Norm R C et al. Effect of dose and duration of reduction in dietary sodium on blood pressure levels: systematic review and meta-analysis of randomised trials BMJ 2020; 368 :m315