赤羽(Akabane)
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“眠気”が人生に与える様々な影響とは?
十分な睡眠をとらずに眠気に襲われると生活はこうなる!という研究結果
2020年にストックホルム大学が発表した研究(#1)によると、眠気からくる睡眠欲は人生のあらゆるモチベーションにプラスにもマイナスにも干渉してくる!ということが分かりました。
この研究では、123名(平均25歳)を対象にした睡眠実験を行っていまして、4日分の睡眠データを追いかけたものです。睡眠のデータはアクチグラフィと睡眠日記で集めており、3日目までは家でこれまで通りに寝てもらいます。
そして4日目、彼らをラボに招集しまして、無作為に以下のようにグループ分けしたようです。
- 睡眠不足グループ: 夜通し起きていてもらう
- 通常の睡眠グループ: 普段通り7〜8時間眠ってもらう
翌朝には、眠気や日常のあらゆるアクティビティに対するモチベーションのアンケート調査を実施し、グループ間でどんな違いが見られるのか?をチェックしています。
すると実験の結果、以下のようなことが分かりました。
- 眠気は目を閉じたり休もうとする行動と強い相関がみられ、眠気が強い人ほど家族やパートナーにかまって欲しいという願望も強かった
- 一方で運動やショッピングなどの外出に対するモチベーションは著しく低下していた
- 眠気が強いほど、「すぐに寝てもいいならお金を払うことも辞さない」と答える傾向も強かった
まず当たり前ですが、眠気は「寝よう…」という睡眠欲に作用して寝る準備に向けたモチベーションを高めるみたいです。
その他にも、大切な人に構って欲しいという願望も強まっていたようで、眠気はこうした寂しさを埋めるような方向にもモチベーションを高めるかもしれないようですね。これに関して、研究チームは「普段一緒に寝るとしたら家族やパートナーであり、眠りたい欲求はこうした普段睡眠を共にする親密な人たちとの関わり合いへの渇望にもつながるのでは?」とのことでした。
一方で、眠気が強いと運動やお出かけへのモチベーションがガクンと下がっていた様子。デートや友達とのショッピングなんかも例外でなく、眠気はむしろ「一人で居たい」という欲求を高めるみたいです。一見上記の結果と矛盾しているように見えますが、わざわざ外に出てまでは億劫だということなのでしょうか?一応、「睡眠不足と孤独は循環する」という趣旨の記事も過去に書いてまして、これと繋がる結果ではありますが。
【悪循環】睡眠不足は人を孤独にさせ、孤独は更に人を不眠へと誘う
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 食事はコントロールされていない: ラボに来るまでの食事は制限されておらず、内容によっては当日のコンディションに影響している可能性もある
- 実験データは1日分しかない: 実際に睡眠を削るorいつも通り眠るで比較したのは1日のみで、長期的なモチベーションにどう響くか?は分からない
- 健康な人のみを対象としている: 睡眠障害を抱えた人などではまた違った結果になる可能性が高い
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 眠気が強いと一日の生活のモチベーションにどう影響するのか?を調べた実験
- 睡眠不足で眠気が強いと、外出や運動などを避けて一人で居たいという気持ちになりがちで、睡眠を確保しようとしたり、親密な人たちとのコミュニケーションを渇望する傾向が見られた
- 一方で、運動や友人とのショッピングなどだけでなく、デートであっても出かけるのは億劫だと答える傾向も強く、大切な人との関わりを渇望こそすれど、「眠いし出かけるのはなぁ…」という複雑な気持ちなのかもしれない
赤羽(Akabane)
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#1 John Axelsson, Michael Ingre, Göran Kecklund, Mats Lekander, Kenneth P Wright, Jr, Tina Sundelin, Sleepiness as motivation: a potential mechanism for how sleep deprivation affects behavior, Sleep, Volume 43, Issue 6, June 2020, zsz291, https://doi.org/10.1093/sleep/zsz291