運動前の水素水が持久力を高めて疲労感も和らげる!という前代未聞の比較実験

運動前の水素水が持久力を高めて疲労感も和らげる!という前代未聞の比較実験

赤羽(Akabane)

今回は「水素水の運動パフォーマンス向上効果が健康なヒトでも確認されていたぞ!」というお話です。

運動前の水素水が持久力を高めて疲労感も和らげる!という前代未聞の比較実験

水素水には、体のサビともいわれる活性酸素を除去する抗酸化作用がある!
水素は体にとって害もないし、安全に健康効果が得られるかも!

水素水と言えば、上記のような話が一般に浸透しています。ただ、水素水と聞くと、なんだか胡散臭い印象を抱く方も多いかと思います。(かくいう私もその一人です笑)

実際に、水素水の効果を裏付ける過去の研究を見てみると、ほとんど動物実験や疾患のあるヒトを対象にした実験でしか検証されておらず、どうも「一般に上記のような効果が見込めるのか?」という点で結論を出せる程のデータがある様子ではありませんでした。

ところが、最近になって、遂に水素水の効果を健康な人で検証したデータが出ていました。この記事ではその結果を見ていきます。

水素水に運動のパフォーマンス向上や疲労感を和らげる効果はあるのか?を検証した比較試験

2019年に日本医科大学が発表したRCT(#1)によると、水素水によって、健康な人でも持久力アップや運動による疲労感が緩和する効果が確認されたようです。

この研究では、大きく2つの実験を行なっていて、ザッと以下のような内容でした。

  • 実験1: 普段トレーニングをしていない99名を対象に、計2回のセッションを行う。最初は、全員にただの水500mlを飲んでもらい、30分後に自転車エルゴメーター(漕ぐマシン)を予測最大心拍数(220-年齢)の75%になるように10分間漕ぎ続けてもらった。それから2週間後、今度は彼らを①水素水を500ml飲むグループ、②プラセボ(ただの水を飲む)グループにランダムで分け、同様に30分後にエルゴメーターを漕いでもらった。
  • 実験2: 普段からトレーニング経験のある60名を対象に、彼らを実験1と同じようにグループ分けする。それから10分後、自転車エルゴメーターを最大心拍数100%になるように11分間漕ぎ続けてもらった。それから1週間後も、同様のセッションを今度は10分間で行った。

*測定項目…主観的な疲労感を測定する「ボルグスケール」、最大酸素摂取量(VO2MAX)、視覚的な疲労度調査

簡単にまとめると、トレーニング経験者から普段運動をしない人まで、色々な健康体の人を対象に、水素水による運動パフォーマンス向上の効果を検証しています。

では上記の実験の結果、どんなことが分かったのでしょう?まとめて見ていきます。

結果
  • 水素水を飲んでから体内に滞在する時間を測定したところ、補給後10~20分後に濃度が最大に達して、測定前よりも高い状態が30~40後もキープされていた
  • 実験1では、水素水を飲んだグループで、プラセボグループよりも有意に視覚的な疲労度調査のスコアが改善していた
  • 実験2では、水素水を飲んだグループで、プラセボグループよりもボルグスケールやVO2MAXの数値が改善していた

まとめると、運動前の水素水によって主観的にも客観的にも持久力や疲労感が改善していた!ということになります。また、実験1よりも2で高い効果が出ていることを踏まえると、運動の強度はよりキツイ方が効果が出やすい!という可能性もありそうですね。

また詳しく見てみると、実験2では20~69歳までの様々な年齢群から参加者を採用していて、こうした年齢層の違いによる効果の個人差は特に見られなかった模様。ここから言えるのは、年齢に関係なく水素水の運動パフォ改善効果は得られそうだ、ということです。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくとよろしいかと。

注意
  • 実験で使われた水素水の提供元は研究チームの後援をしている:論文内に記述はないが、調べてみると、日本医科大学は水素水提供元のメディソル(株)や(株)ブルーマーキュリーと密接な繋がりがありそう(≒研究チームや企業にとって都合の良いデータになっている可能性があるということ)
  • 参加者の年齢は比較的高め:実験を通して、平均年齢は40~50歳くらいで、若いアスリートやもっと高齢の場合などでどのような効果になるか?は分からない

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 水素水には運動やストレスなどによる体の活性酸素を取り除く効果があるとされ、健康にイイ!という話が浸透している
  • 今回の研究によると、水素水はタダの水と比べて、その後の運動の持久力を高め、主観的な疲労感も緩和する効果があることが確認された
  • こうした結果は、運動強度がより高い実験で認められ、年齢による個人差は見られなかった

赤羽(Akabane)

研究チームと提供元企業の関係を踏まえると、今回の結果をどこまで鵜呑みにしていいのか?は分かりませんが、実験のデザイン的には比較的ナイスな感じはしました。現段階では、個人的に「わざわざ水素水を飲む必要はないかな?」という見解に変わりはありません。

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参考文献&引用

#1 Mikami T, Tano K, Lee H, et al. Drinking hydrogen water enhances endurance and relieves psychometric fatigue: a randomized, double-blind, placebo-controlled study 1. Can J Physiol Pharmacol. 2019;97(9):857–862.