運動の血圧改善効果は降圧剤並み?!過去最大級の系統的レビューによる結論は…

運動の血圧改善効果は降圧剤並み?!過去最大級の系統的レビューによる結論は...

赤羽(Akabane)

今回は「運動の降圧効果は降圧剤と比べると…」というお話です。

運動の血圧改善効果は降圧剤並み?!過去最大級の系統的レビューによる結論は…

運動に血圧を下げる効果があることは現時点でも既に数多くの研究で報告されていますが、こうした効果は降圧剤と比べるとどうなんでしょうか?

運動 vs. 降圧剤!血圧改善効果を間接的に比較した分析の結果は…

この疑問を調べてくれたのが、2019年にロンドン大学社会科学部が発表したメタ分析(#1)です。

この研究では、運動と降圧剤それぞれの降圧効果を検証した391件のRCTを集めて、両者の効果の大きさをデータ上で間接的に比較しています。

  • 運動…197件。10461名対象。筋トレ(アイソメトリックもあり)、持久力トレが含まれる
  • 降圧剤…194件。29281名対象。ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、β遮断薬、利尿剤、カルシウム拮抗剤が含まれる

でそれぞれの降圧効果を種類別、参加者の血圧レベル別で比較したところ、以下のようなことがわかったようです。

結果
  • 運動も降圧剤も比較グループと比べると全般的に有意な降圧効果があった(降圧剤:−8.80 mmHg, 95% CI −9.58 ~ −8.02, 運動:−4.84, 95% CI −5.55 ~ −4.13)

まとめると、両者に高い血圧改善効果が見られましたが、軍配は降圧剤に上がったようです。全体で比較すると実に2倍近くの差が出ていますね。

また詳しく見てみると、他にもこんなことがわかりました。

  • 運動は筋トレと持久力トレを一緒にやった方が降圧効果が高かった(−6.49 mmHg, 95% CI −8.17 ~ −4.82)
  • 降圧剤はカルシウム拮抗剤で特に高い降圧効果が見られたが、他の降圧剤も軒並み運動より効果は高かった(−10.58 mmHg, 95% CI −12.03 ~ −9.14)

血圧改善を狙って運動をするならば、筋トレや有酸素など持久力トレを組み合わせたほうが良さそうですね。

注意点・まとめ

ただし今回の注意点として、本来のメインターゲットであるはずの高血圧患者(収縮期: ≧140 mmHg)が運動の実証研究にはほんの一部しか含まれていなかったようです。当然、血圧が高い人の方が降圧効果の伸びしろもあるので、この点が運動と降圧剤の血圧への効果に差を生んでいるのかもしれません。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 運動と降圧剤の血圧改善効果を比較した過去最大のメタ分析
  • どちらも高い降圧効果があったが、全体で見ると降圧剤に軍配が上がった
  • 運動なら筋トレと持久力トレを組み合わせた方が効果が高いみたい

こんな感じでしょうか。運動で血圧改善を狙うなら筋トレと持久力トレと覚えておきましょう。

赤羽(Akabane)

運動の血圧改善効果については他にも以下の記事で取り上げています。興味のある方は是非ご覧下さい。

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参考文献&引用

#1 Naci H, et al. How does exercise treatment compare with antihypertensive medications? A network meta-analysis of 391 randomised controlled trials assessing exercise and medication effects on systolic blood pressure. British Journal of Sports Medicine 2019;53:859-869.