赤羽(Akabane)
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オメガ3と共役リノール酸が豊富なシェーブルチーズは体内の炎症や心疾患などのリスク因子を減らしてくれるかもしれない
シェーブルチーズは、ヤギの乳から作られたチーズを指します。脂肪分は牛乳とほぼ一緒なんですが、脂肪酸の構成が微妙に違っていて、独特の酸っぱい風味があります。
というわけで、この記事では「ある特徴を持ったシェーブルチーズは特に健康に良いかも!」というデータを見ていきます。
不飽和脂肪酸が豊富に含まれるシェーブルチーズには体内の炎症を減らす効果がある?
2020年にスペイン・マドリードの医療研究センターが発表したRCT(#1)によると、不飽和脂肪酸が豊富なシェーブルチーズをたった3ヶ月程度食べ続けるだけで、体内の炎症が減ってコレステロール値も改善することがわかりました。
この研究は、太り気味/肥満体型の68名を対象に、彼らをランダムに以下の2つのグループへ分ける実験を行なったものです。
- 1日60gのシェーブルチーズを食べる(31名)
- 1日60gのシェーブルチーズを食べる(オメガ3脂肪酸や共役リノール酸といった不飽和脂肪酸が自然に豊富に含まれる)(28名)
* 共役リノール酸…不飽和脂肪酸の仲間で、チーズや牛乳、バターなど乳製品に豊富。体内の脂肪をエネルギーに変える酵素を活性化させるなどの効果が期待される。* 参加者は全員、定期的な運動を行うように指示され、食事も個々に応じて設計されたバランスの摂れた食事が提案されている
実験期間は12週間で、実験前後に体組成計の測定や血液サンプル採取を行ったようです。その他、実験の途中で参加者らの食事内容や運動習慣の聞き取りも行なっていて、実験の指示をどのくらい守っているか?も欠かさずチェックしていました。
すると実験の結果、こんなことが分かりました。
不飽和脂肪酸リッチなシェーブルチーズの方が…
- 善玉コレステロール(HDL)が有意に増加していた(+2 vs. +4.5mg/dL *どちらも有意な増加ではある)
- アポリポたんぱくBが有意に増加していた(-2 vs. +3.5mg/dL)
- 炎症性サイトカインであるC反応性タンパク質が有意に減少していた(+0.03 vs. -0.76mg/L)
まとめると、不飽和脂肪酸が豊富なシェーブルチーズで、炎症や心疾患リスクにかかわる数値が軒並み改善していたんですね。こうした効果は、総コレ/HDL比やLDL/HDL比などにも表れていて、それぞれHDLの割合が増える結果となっていました。
一方で、他のコレステロール値(LDLや総コレなど)や、体型、炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)にはグループ間で有意な差は確認されませんでした。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 対象になったのは太り気味/肥満体型の人のみ: 太っている分、食事による効果が出やすかったかもしれない。他の特徴を持つ人で同様の効果があるか?は分からない
- 実験期間は短い: 今回の実験では12週間までしか追跡されていないので、長期的な効果は未知
- 他の生活習慣もセットで見直している: チーズを食べる以外にも、食生活や運動習慣の改善も図っているため、今回の結果をチーズだけによるものだとは捉えきれない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- シェーブルチーズはヤギの乳から作られたチーズのことで、独特な酸っぱい風味が特徴
- オメガ3や共役リノール酸などの不飽和脂肪酸が豊富なシェーブルチーズは、通常のものと比べて、体内の炎症を抑えて心疾患リスクにまつわる数値も改善してくれることが分かった
- 今回の実験は太っている人を対象にしているので、健康な人や標準体型な人で同様の効果が得られるかは分からない
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Santurino, C.; López-Plaza, B.; Fontecha, J.; Calvo, M.V.; Bermejo, L.M.; Gómez-Andrés, D.; Gómez-Candela, C. Consumption of Goat Cheese Naturally Rich in Omega-3 and Conjugated Linoleic Acid Improves the Cardiovascular and Inflammatory Biomarkers of Overweight and Obese Subjects: A Randomized Controlled Trial. Nutrients 2020, 12, 1315.