体調不良でモチベーションが下がるのは「アレ」が悪さをしている!という新仮説

2019年9月12日その他ストレス対策, 人間心理, 体の仕組み, 栄養成分、物質, 考察編

うつ病から感染症、ちょっとしたストレスまで…体調不良でモチベーションが下がるのはアレが悪さをしている!という新仮説

うつ病から感染症、ちょっとしたストレスまで...体調不良でモチベーションが下がるのはアレが悪さをしている!という新仮説

今回は「体調不良やストレスでモチベーションや活力が下がるのは何で?」という問題についてのお話です。
 
 
結論から言ってしまうと、これは「慢性炎症」が悪さをしている!というのが新しい仮説の主張です。では本題の前にまず前提の「炎症って何?」という点をザックリおさらいをしておきましょう。
 

炎症とは?

そもそも炎症には急性のものと慢性のものがあります。

 

  • 急性炎症:ケガをした部分が赤く腫れるなど、短期で見た目に分かり易い炎症
  • 慢性炎症:ストレスなどで体内でジワジワ起こる炎症で、ゆっくりと体に異変をきたしていく

 

例えるなら、急性炎症は大きな山火事で、慢性炎症は小火ですね。
 
 
で小火はケガの腫れなんかと比べると可愛いもんだと思いがちですが、その実かなり厄介です。
 
 
すぐには気づかない上に、その状態が長引くとあらゆる生活習慣病や精神疾患のリスクを高める(#1, #2)と言われていて、アンチエイジングでも真っ先に対策される要注意なサインなんですね。
 

「ストレスでやる気が…」には慢性炎症が関係していそうだ

ではここからが本題です。参考になるのが、2019年にエモリー大学が発表した研究(#3)で、ストレスなどによるモチベ低下が慢性炎症のせいなんじゃないか?と睨んだ内容になっています。
 
 
ではこれはどういうことなんでしょう?次に慢性炎症でモチベ低下が起こる仕組みをザックリ見ていきましょう。
 

慢性炎症でモチベーション低下が起こる仕組み

ザックリした流れとしては、まずストレスや運動不足などを原因に、体内で慢性的な炎症が起こります。

 
うつ病から感染症、ちょっとしたストレスまで...体調不良でモチベーションが下がるのはアレが悪さをしている!という新仮説
 

すると炎症性サイトカイン(炎症のサイン)が脳の中枢神経系の神経伝達物質「ドーパミン」のシグナル伝達に干渉します。
 
 
ドーパミンはよく「快楽」というキーワードで説明されますが、先の目標やご褒美のためにモチベーションを高めたり、目の前の超えるべき壁の為に努力をするときに欠かせない物質です。
 
 
でここのシグナル伝達回路が炎症によって邪魔されるので、慢性炎症が起こるとモチベーションが上手く高められなくなる、と。
 
 
こうした説は、現状多くの動物実験や幾つかのヒトを対象にした実験で確認されている程度ですが、実際かなり納得できるものだと思います。というのも、普段の生活の中で起こり得る慢性炎症の原因を想定してみると分かり易いからです。

 

  • 風邪を引いた時:感染症は体内で炎症を引き起こす。風邪などで体調を崩している時には活力が湧かないものですね。
  • 強いストレスを感じている時:ストレスも慢性炎症の原因の一つ。ストレスのせいで目の前のことに取り組むモチベーションが湧かないことはあるかと思います。
  • 睡眠不足が続いている時:睡眠不足は慢性炎症を引き起こす主要な原因。いまいちよく眠れていないとぼーっとしたりやる気が出ないことがあります。

 

他にも、慢性炎症は肥満や運動不足、食生活の偏り(砂糖、高脂肪食とか)、腸内環境の悪化なんかでも起こります。こうした生活習慣に当てはまる方ほど、普段モチベーションが長続きしない…なんてことがあるかもしれません。
 

まとめ

では最後に今回の内容のまとめとして、この研究の第一著者であるミカエル・トレッドウェイ助教授の言葉を借りましょう。
 

私たちの体が感染症やケガと闘っている時、脳は私たちが他でエネルギーを使いすぎないように、心理的なモチベーションに働きかける。現に、免疫システムは脳がこうした再調整をするために、ドーパミンシステムの働きを阻害することが強く示されている。[筆者訳](#3)

 
つまり、炎症の元を鎮めるために体が沢山エネルギーを使うんで、なるべく他ではエネルギーを使わないように省エネさせる、と。でその結果、モチベーションが下がったように感じるという見解ですね。
 
 
もしこうした仮説がどんどん検証されていって確立されれば、うつや不安障害、PTSDなど重い精神疾患で悩む方を救うのに、炎症を減らす方向で新しい対策が生まれるかもしれませんね。

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赤羽(Akabane)

慢性的な炎症がうつ病や不安症などメンタルの問題と密接に関わっていることを考えると、ままあり得る説かと思います。炎症に関しては、興味がある方は以下も併せてご覧ください。

炎症についてはこちらもどうぞ

参考文献&引用

#1 Michael Berk, Lana J Williams, Felice N Jacka, et al. So depression is an inflammatory disease, but where does the inflammation come from? BMC Medicine201311:200.

#2 Giulia C. Leonardi, Giulia Accardi, et al. Ageing: from inflammation to cancer. Immun Ageing. 2018; 15: 1.

#3 Michael T. Treadway, Jessica A. Cooper, Andrew H. Miller (2019). Can’t or Won’t? Immunometabolic Constraints on Dopaminergic Drive. Trends in Cognitive Sciences.