赤羽(Akabane)
目次
そもそも炎症とは?
「炎症」と聞くと皮膚が赤くただれているようなイメージを持たれる方が多いと思いますが、実際は大きく分けて2つの種類に分かれます。(以下、ハーバード大メディカルスクールのコラム(#1)を参考にしています)
急性炎症
簡単にいうと、急性のほうが恐らく多くの方がイメージしたであろう炎症です。怪我をしたときにしばらくすると赤く腫れたりする反応、あれは急性炎症の反応です。局所的にボヮーっと燃え上がる大火事みたいなもので、発生するとすぐに何らかの被害(症状)が起きるのが特徴。
慢性炎症
一方で慢性炎症、こちらはそこらじゅうで小火が起こっているのをイメージするとわかりやすいと思います。何らかの原因で、体内の至るところで小さい火事が発生し、それが長期にわたると体に深刻なダメージを与えます。いかんせん小さいので、発生してすぐには全く被害(症状)がわからないのが特徴。
炎症のメカニズムとは?(※面倒な方読み飛ばしOK)
では、実際どんなメカニズムで「炎症」というものは起きるのでしょうか?火事の例えで言うと、火はどのようにして起こるのか?の部分です。
擦りむいたりして怪我をすると、ヒトの免疫システムが白血球細胞の軍隊を派遣して、そのエリアを囲んで守ろうとします。そして、視認できる赤みや腫れを引き起こすのです。このプロセスはインフルエンザや肺炎を発症した時なんかにも起きます。故に、「炎症」は私たちにとって必要不可欠なのです。これがなければ、怪我はどんどん悪化し、感染症も深刻になるでしょう。[筆者訳](#1)
とのこと。要は炎症は免疫システムの正常な働きによって起こる現象なので、体にとって必要不可欠なんだと。白血球細胞軍の兵士たちが敵を退治するために頑張った勲章なんだと。
ただ、この「炎症」は有害物質に対しても反応し、その結果過剰反応してしまったりするのが玉に瑕。例えばタバコの煙。喫煙が体に悪いのは最早常識ですが、その原因を引き起こすのが煙による動脈硬化なんですね。その仕組みを簡単に説明すると、以下のような流れです。
- 煙から有害物質が体内に入り込む
- 動脈でプラークが形成される
- 排除しようと動脈内で「炎症反応」が起こる
- 免疫システムがプラークを攻撃
- バラバラになったプラークが血液中に流れ出す
- 心臓病や発作の原因に
つまり、体の免疫システムは望ましくない時にも軍をあげ、ドンパチ騒ぎを起こしてしまうということ。お茶目ですね。ちなみに、タバコの煙による炎症はじわじわダメージがくる「慢性炎症」に繋がります。
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慢性炎症による健康被害
みたところ、急性炎症については怪我や感染症への正常な反応であり、期間も短いのもあって問題は無さそう。しかし先ほどのタバコの例のように、「慢性炎症」はかなり体にとって悪いものだと言えそうです。実際問題、慢性炎症はフィジカルにもメンタルにも災厄をもたらすことが分かっています。
- がん
- 心臓疾患
- 糖尿病
- うつ病
- アレルギー
- 老化(アンチエイジングの天敵!)
- これらによる死亡リスクの上昇
ザっと挙げてこれほどとは、凄まじい破壊力です。逆に慢性炎症さえ気を付けていればかなり病気のリスクを下げられるのでは?というレベル。
赤羽(Akabane)
慢性炎症を引き起こす原因とは?
ということで最後の章。慢性炎症に気を付けるために、まずはその原因を知っておこうというコーナーです。ここもざっくりと紹介していきましょう。
- 食生活の乱れ
- 睡眠の量と質の低下
- 日頃のストレス
- 肥満
- 喫煙
- 過度な運動によるストレス
「食生活の乱れ」と「肥満」って同じなんじゃないの?と思われるかもしれませんが、これは加工食品などを摂りすぎることでも慢性炎症が起きるし、その結果太ってしまえば、肥満自体も慢性炎症を引き起こす原因になるんだ、ということを示しています。
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#1 Harvard Medical School,”What is inflammation?“,2017.
#2 Giulia C. Leonardi, Giulia Accardi, Roberto Monastero, Ferdinando Nicoletti and Massimo Libra,”Ageing: from inflammation to cancer“,Immun Ageing,15:1,2018.