赤羽(Akabane)
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パレオダイエットは一般的に推奨される食事よりも痩せるのか?
パレオダイエットとは、旧石器時代を生きた狩猟採集民族の食事をベースにしたダイエットで、基本的に農耕が始まって以降に我々の食生活に浸透した食品は避けるというスタンスを取っています。
パレオダイエットで避ける食品例
- 穀物、豆類
- 加工食品・加工肉
- 菓子・スナック類
- ジュース類
- 乳製品
ポイントは、いかに農耕前の狩猟採集民族の食事に近づけられるか?という点で、それ以降に発展した上記のような食品たちは、私たちの遺伝子レベルでミスマッチを起こして不調の原因になるから減らすべし!というのがパレオの根幹であります。
ではパレオダイエットはどのくらい痩せるのでしょう?この記事では上記テーマについて、最近のまとまったデータを見ていきます。
パレオダイエットの体型改善効果を総まとめしたメタ分析
2019年にセアラ州立大学が発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、パレオダイエットは健康な若者から慢性病患者まで、あらゆる人で体型を改善する効果が確認されたようです。
この研究は、最終的に11件のRCTから406名分のデータを集めて、パレオダイエットと一般に推奨される食事の体型改善効果を比較したものです。
比較に当たって、各研究では様々な特徴の参加者らを以下の2つのグループにランダムで振り分けています。
グループ分け
- パレオダイエット: パレオダイエットのガイドラインに沿って食べる
- 推奨される食事: 実験が行われた地域で「健康的」とされている一般的な食事ガイドラインに沿って食べる
参加者の特徴
- 健康な若者~中年
- 閉経後の太り気味・肥満体型の女性
- 二型糖尿病患者
- 高コレステロール血症患者
- メタボリックシンドローム患者
- 虚血性心疾患患者
実験期間は2週間~24ヵ月までで、結果の測定項目は、実験前後の体重やBMI、ウエスト周りなど体型に関するものでした。
そして上記の分析の結果、以下のようなことが分かりました。
- 全体的にパレオダイエットは、一般的な健康食と比べると、−3.52 kgの減量に成功していた (CI 95%: −5.26~ −1.79; p < 0,001; I2 = 24%)
- BMIは−1.09 kg/㎡の減少だった (CI 95%: −2.03~ −0.14; p = 0.17; I2 = 36%)
- ウエスト周りは−2.46 cmの減少だった (CI 95%: −4.28~ −0.64; p = 0.11; I2 = 40%)
まとめると、パレオダイエットを実践したグループで軒並み高い減量・体脂肪減少効果が確認されたんですね。しかもこうした結果は、バラつきを表す「I2 = 〇〇%」の数値を見てみても、割と一貫したものであることが分かります。
また実験期間の長さに注目してみると、こうした効果は長期になればなるほど徐々に減少していく傾向も見られました。具体的には、大体6ヵ月くらいを境に効果が停滞していくようで、この見解は過去のダイエットに関する大規模な研究とも一致します。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズはやや小さい:分析に含まれた参加者数が少ない分、統計的なパワーは弱い
- 健康体な人を対象にした研究は少ない:大半が二型糖尿病など慢性病の患者だった
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- パレオダイエットとは、旧石器時代の狩猟採集民族の食事をベースにした食事法
- 今回のメタ分析によると、パレオダイエットは、一般的に健康的とされるガイドラインに沿った食事よりも、体重やBMI、ウエスト周りの減少効果が高いことが分かった
- ただし、元々それ程太っていない人や、健康な人を対象にした研究は少なかったので、こうした人たちの場合はもう少し効果が控えめに出るかも
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 de Menezes, E.V.A., Sampaio, H.A.d.C., Carioca, A.A.F. et al. Influence of Paleolithic diet on anthropometric markers in chronic diseases: systematic review and meta-analysis. Nutr J 18, 41 (2019).