赤羽(Akabane)
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VRが不安やうつの症状の改善に効果的みたいだ
VR(バーチャルリアリティ)とは「仮想現実」のことで、現実には起こっていないけれど、まるで本当の世界のような景色や経験を堪能できる技術のことですね。
最近では、こうしたヘッドセットを装着することで、VRの仮想現実を体験することができて、私もかなり興味があります。
というわけで、この記事では「VRの仮想現実を使えばうつや不安症状などのメンタルの問題も改善する！」という面白いデータを見ていきます。
VRを用いた治療法はうつや不安症状にどのくらい効果的なのか？
2018年にコロジュヴァール大学が発表したメタ分析(#1)によると、VRを用いた治療法によって、他の治療法と同等にうつや不安症状を改善する効果があったようです。
この研究は、39件のRCTから1991名の精神障害患者(大半がPTSDなどの不安障害)を対象にしたもので、各実験では、彼らを以下の2つのグループにランダムで振り分ける実験を行なっていました。
- VRグループ: VRを使った治療法を行う(VRによる暴露療法、VRによる認知行動療法)
- コントロールグループ: 他の治療法、期間中は何もせず治療の順番待ち
実験期間中、VRによる治療は1~16回行われて、大半の実験ではヘッドセット(よくある頭に装着するやつ)が使われました。結果となる測定項目は、大きくうつ症状と不安症状のレベルです。
そして上記の分析の結果、以下のようなことが分かりました。
- VR治療法は、何もしない場合と比べてうつ症状の改善効果が大だった (g = 0.73, 95% CI 0.25 ~ 1.21, I2 = 71%)
- VR治療法は、何もしない場合と比べて不安症状の改善効果が大だった (g = 0.79, 95% CI 0.57 ~ 1.02, I2 = 59%)
- 他の治療法と比べると、効果に有意な差は見られなかった (不安: g = −0.02, 95% CI −0.14 ~ 0.10, I2 = 20%; うつ: g = 0.004, 95% CI: −0.20 ~ 0.21, I2 = 26%)
まとめると、VRは何もしない場合よりもかなり大きな効果が得られて、そのレベルは他の治療法と大差ないくらいだった、と。
また詳しく見てみると、VR治療法が他の治療法よりも効果が低いケースもあって、ザッと以下のようなパターンだったようです。
- VRを用いた暴露療法 vs. イメージ暴露療法(想像の中で恐怖対象と直面させる治療法)
- VRを用いた暴露療法 vs. 認知行動療法
- VRを用いた暴露療法 vs. in vivo 暴露療法(普段の生活の中で恐怖対象と直面させる治療法)
どちらかというと、VRを用いた暴露療法よりも、VRを用いた認知行動療法の方が他の治療法とタメを張っていると言えそうです。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 含まれた試験の大半でバイアスの可能性がある: 実験デザインに関するデータが十分開示されていなかったり、グループ分けや実験の意図などを参加者らに隠しておこなっていない試験が多かったり、全体的にバイアスが混じる余地が大きい
- 効果は試験によって結構バラバラだった: 何もしない場合と比べた結果は、特に効果にばらつきがあって、症状や治療法のデザインなどの違いによっては、十分に効果が得られない可能性がある
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- VRの仮想空間を取り入れた精神疾患の治療は、兼ねてから「なかなか効果が見込めるんじゃない？」とされていた
- 今回のメタ分析によると、VRを用いた治療法でうつや不安症状が大きく改善し、その効果は他の治療法に引けを取らないほどだった
- ただし症状や治療のデザインによって、効果が大きく変動する可能性が高く、そのバラつきの原因も一部よくわかっていない
赤羽(Akabane)
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#1 Fodor, L.A., Coteț, C.D., Cuijpers, P. et al. The effectiveness of virtual reality based interventions for symptoms of anxiety and depression: A meta-analysis. Sci Rep 8, 10323 (2018).
