筋トレ熟練者が最強のプチ断食「リーンゲインズ」をやったらどうなるのか?

筋トレ熟練者が最強のプチ断食「リーンゲインズ」をやったらどうなるのか?

赤羽(Akabane)

今回はプチ断食「リーンゲインズを筋トレ熟練者がやったら..?」というお話です。

筋トレ熟練者が最強のプチ断食「リーンゲインズ」をやったらどうなるのか?

まず「リーンゲインズって何?」というところからですが、これはフィンランドの栄養士兼パーソナルトレーナーであるマーティン・バークハン氏が提唱するプチ断食の一種。

ルールは至ってシンプルで、一日にカロリーを摂る時間を8時間以内に決めて、残りの16時間はノンカロリーで過ごそう!というもので、実は私もかれこれ1年以上続けています。

ちなみに断食タイムの設定は、考案者のバークハン氏同様昼の12~13時くらいから夜の8~9時あたりにしています。つまり前晩の睡眠時間もあわせて翌朝の昼食まではずっと空腹状態ということですね。

「朝ご飯抜きって健康に悪いんじゃ..?」と思われた方は記事最後のリンクも併せてご覧ください。一旦次に進みます。

リーンゲインズを筋トレガチ勢に試してもらう、という信頼性なかなかの研究が

ではここからが本題です。私も筋トレ野郎なので、「じゃあ筋トレ+リーンゲインズってどうなの?」という疑問がずっとありましたが、この疑問に答えてくれた研究が見つかりました。

参考になるのが2016年にテキサスの大学教授らが発表した研究(#1)で、34名の筋トレ熟練者(歴5年以上)を対象に、筋トレ熟練者がリーンゲインズをやったらどうなるのか?を色んな数値で調べてくれたもの。

実験ではまず彼らを次のグループに分けました。

  • リーンゲインズグループ..昼1時、夕方4時、夜8時の3食、他の時間は食べない
  • 通常食グループ..朝8時、昼1時、夜8時の3食

で同時に各グループで筋トレを続けてもらって、8週間様子見。実験が終わったらその前後で以下の数値がどのくらい改善しているか?で比べたんですね。

体脂肪、除脂肪体重、腕周り、太もも周りの筋肉量、MAX重量、血糖値、インスリン、ホルモン系、脂肪細胞、コレステロール値、炎症のサインなど

ちなみに筋トレの中身は胸、脚、背中の日、みたいに日ごとに分けられていて、週3日の隔日だったようです。またカロリー摂取量や栄養バランスはグループ間でしっかり揃えました。

すると結果、次のようなメリットが得られたようです。

結果
  • リーンゲインズで体脂肪が優位に減少した(-16.4 vs -2.8%:通常食)
  • アディポネクチンが増加、T3は減少したがTSHは変化なし(+2.1 vs +0.1μg/mL:通常食、-8.89 vs +1.23ng/dL:通常食)
  • 血糖値とインスリンレベルが減少、HOMA-IRの数値も改善(-10.72 vs -0.81mg/dL:通常食、-1.01 vs 0.34mU/mL:通常食)
  • 他にも中性脂肪や炎症サインも減少した(-8.55 vs -2.52mg/dL:通常食)

ここから言えるのは、リーンゲインズで体脂肪が減って糖尿病にまつわる数値まで改善、アンチエイジング効果も見込めるかも!ということ。

ただし一方でこんな結果も出ていました。

  • コレステロール値系には両グループで効果なし、優位な差もなし
  • 総テストステロン値とインスリン様成長因子-1は減少、通常食では変化なし(-4.4 vs +0.25nmol/L:通常食、-28.04 vs +2.82ng/mL:通常食)

つまり筋トレ+リーンゲインズはコレステロール値には格段高い効果が得られるわけでもなくて、骨格筋の成長に関わるホルモンにはむしろ減少が見られた、と。これは意外な結果ですね。

リーンゲインズでここまで効果が出たのはなぜ?

では何故リーンゲインズで体脂肪がこれだけ減ったのでしょう?この疑問に対する答えとして尤もらしいのは、単純に摂取カロリーが通常食より一日約178kcal程減っていたから。

これについては「結局カロリーが同じならどのダイエットもそんなに効果は変わらない!」という過去の話を参考にしていただければと。

糖質制限 ダイエット 効果 太る 健康糖質を摂りすぎると本当に太るのか?糖質制限ダイエットの理屈を徹底検証。

その他、体脂肪減少にはアディポネクチン増加も多いに関係していると思われます。こいつは脂肪細胞の一種なんですが、脳に「脂肪を燃焼せよ!」と働きかけたり、抗炎症効果があったりと、アンチエイジングには欠かせない要素なんですね。

一方で、リーンゲインズで総テストステロン値やインスリン様成長因子-1が減っているのも面白いポイント。テストステロンとインスリン様成長因子-1は筋トレで骨格筋が発達する仕組みに大いに影響するホルモンで、ここが減っているのに実際の体型にはあまり影響が見られなかった点は非常に不思議。

この問題に関しては、カロリー制限でテストステロン値が減った!という過去の研究(#2)があったりしますが、まだ正確な原因は掴めていない様子。今後に期待ですね。

まとめ

では今回の内容をまとめます。

ポイント
  • リーンゲインズは体脂肪、二型糖尿病予防、アンチエイジングに効果が見込める
  • 仕組みは自然とカロリー摂取量を減らせたり、脂肪を燃やす細胞が活性化する、など
  • でもテストステロンやIGF-1といった骨格筋の成長に欠かせないホルモンが減っていた

この辺りを押さえておくとよろしいかと思います。最後のポイントについてはよく分かっておらず、今後の研究に期待です。

赤羽(Akabane)

途中複雑になりましたが、まとめるとリーンゲインズは筋トレマニアがバキバキの体を作るのにも効果的でした。最初は大変ですが、慣れれば非常に快適なので試したことがない方は是非に。リアルな話、私もリーンゲインズをはじめて3ヵ月でなんと体脂肪率が14%→9%まで落ちました。(焼き芋を食べ過ぎて今は13%ですが..)それと、子どもにはおすすめしないのと、女性の場合は断食時間を少し短く設定したほうが良さそうです。

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参考文献&引用

#1 Tatiana Moro,Grant Tinsley, Antonino Bianco, Giuseppe Marcolin, Quirico Francesco Pacelli, Giuseppe Battaglia, Antonio Palma, Paulo Gentil, Marco Neri and Antonio Paoli,”Effects of eight weeks of time-restricted feeding (16/8) on basal metabolism, maximal strength, body composition, inflammation, and cardiovascular risk factors in resistance-trained males“,Journal of Translational Medicine,201614:290.

#2 Cangemi R, Friedmann AJ, Holloszy JO, Fontana L.”Long-term effects of calorie restriction on serum sex-hormone concentrations in men. Aging Cell.“,2010;9:236–42.