赤羽(Akabane)
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元の心理学研究を見てみよう!吊り橋効果で好きな人を落とせるは嘘なのか?本当なのか?
まず吊り橋効果のメカニズムを説明します。あなたは今画像のような下がスケスケに見える高い橋を渡っています。・・ドキドキしますね。では次に好きな人が目の前にいる状況を想像してみましょう。・・ドキドキしますね。ではこの二つの状況が重なるとどうなるでしょう?・・とてもドキドキしますね。
「で、何が言いたいの?」これは、橋の上のように高いところにいる時のドキドキ感と、恋をしているときのドキドキ感を脳がごちゃ混ぜにしてしまうことがあるという仕組みです。
「吊り橋効果」とは、高所などドキドキする状況に恋愛対象になる人と一緒にいると、そのドキドキが目の前のその人に抱く気持ちなんだと脳が勘違いして恋に落ちてしまう現象だと言われています。
「吊り橋効果」の元になった論文研究を見てみよう。
では元の論文は本当に信頼に値するんでしょうか?これは1974年に発表された有名な研究(#1)で、橋の上でインタビューアーが計85名の男性観光客(平均18~35歳)に話しかけるという実験です。
でここでまず、インタビューアーに2パターン用意されて、①妖艶な女性インタビュアーが男性観光客に話しかける、②男性インタビュアーが男性観光客に話しかけるで男性観光客の反応の違いを見ています。
で舞台にも大きく2パターン用意されていて、こんな感じです。
- 低い橋 およそ3mくらい、ガードレールで安全に舗装されてる
- 高い橋 およそ70mくらい、急流とごつごつの岩の上、手すりは低くてスリリング
そして実験は次のように進んでいきます。
- インタビュアーは「心理学のクラスの実験で、魅力的な風景が創造的な表現にどう影響を与えるか調べてるの」と説明する
- 協力してくれた観光客には簡単なアンケート、それから女性の絵が描かれた紙を渡してそれに基づいた短いドラマチックなストーリーを書くようお願いした
- 「協力ありがとう、実はこの実験について詳しい話があるんだけど、良かったらここに連絡してね」と言って名前と連絡先を書いた紙を観光客に渡す
全部まとめると、高い橋で女性インタビューアーの場合はやっぱりその後連絡が来る確率が高いんじゃなかろうか?という仮説を検証しているんですね。
そしてこの結果は、こんな感じになりました。
- 低い橋では1/8の観光客が連絡してきた(16人中2人)
- 高い橋では1/2の観光客が連絡してきた(18人中9人)
- 男性のインタビュアーではどちらの橋でも連絡は少なかった
晴れて仮説通り、高くてドキドキするような状況では、より多くの男性が女性インタビュアーに連絡をしました。こうした実験結果から「吊り橋効果だ!恋愛に使える!」と広まっていったんですね。
ただ、疑問は募る・・
とはいえこの実験だけだとかなり信憑性は薄いです。問題点を挙げてみても、ザっとこんなにあります。
- サンプル数が少ない
- サンプルに偏りがあってランダムにグループ分けができていない(通りすがりの観光客)
- 女性インタビュアーが万人にとって「魅力的」とは限らない
- 連絡をよこしてくる=恋に落ちてる、とは言い切れない
- 男性インタビュアー×女性観光客だった場合どうなるか検証されてない
課題は浮彫りですね~。結論、吊り橋効果に関しては信憑性が薄いし根拠も弱い!と言えましょう。
赤羽(Akabane)
心理学研究の問題についてはこちら




参考文献&引用
#1 Donald G. Dutton and Arthur P. Aron, “Some Evidence For Heightened Sexual Attraction Under Conditions Of High Anxiety“,Journal of Personality and Social Psychology ,Vol.30, No.4, pp510-517,1974.