心臓の病気に良いとされるβカロテンは逆効果、ビタミンEは意味が無かった?!【サプリメント】

βカロテンが豊富な野菜、果物 ピーマン 人参 柑橘類 など

ビタミンEとβカロテンの栄養素

βカロテンとビタミンEは「抗酸化ビタミン」と呼ばれるもので、慢性炎症にもつながる体内の酸化を抑えてくれる大事な役割があります。そしてこれらを含む野菜や果物を摂取することで、がんや心臓疾患のリスクも下がる見込みがあるんじゃないか、と。

ビタミンEは、アーモンドなどのナッツ類や、植物油に豊富に含まれています。その他には、うなぎ、たらこをはじめとした魚介類、西洋かぼちゃ、アボカドなどにも多く含まれているみたいです。

一方のβ-カロテンは、にんじん、ほうれん草、ピーマン、かぼちゃなどの緑黄色野菜や、かんきつ類、スイカなどの果物に多く含まれています。

 βカロテンの摂取で死亡率↑、ビタミンEは意味が無かった?!

2003年の抗酸化ビタミンと心臓疾患の関係を調べたメタ分析(信頼性の高い研究)の研究(#1)によると、βカロテンは総死亡率、心臓疾患による死亡率を上げ、ビタミンEは心臓疾患のリスク低下にほとんど効果が無かったことがわかりました。

  • 7つのビタミンEの研究と8つのβカロテンのRCT研究が対象(40~80歳)
  • 総参加者数はβカロテンで138113人、ビタミンEで81788人
  • 参加者は心臓疾患、糖尿病など、またそのリスクが高い人たちから健常者まで幅広い
  • ビタミンEは50~800IU、βカロテンは15~50mgを毎日摂取
  • 追跡期間は1年4か月~12年間

これまではβカロテンやビタミンEの追加摂取が心臓疾患に良いとされていたようですが、その効果は本当なのか?をこの研究では突き詰めています。各引用研究の参加者数は軒並み1000人を超えていますし、参加者の幅も広いです。結果は次のようになりました。

結果
  • βカロテンの追加摂取をしたグループで総死亡率と心臓疾患による死亡リスクが高まった
  • βカロテンの追加摂取では脳血管疾患のリスクに関しては差がでなかった
  • ビタミンEの追加摂取グループは何もないグループと比べても心臓疾患や発作、総死亡率への効果(違い)がなかった
  • 抗酸化治療(今回のビタミンE、βカロテン追加投与など)が酸化ストレスの強い人たち(喫煙者、糖尿病患者etc)に特にどんな影響を与えるのか、細かいことはわかっていない

どうやら、βカロテンの追加摂取の害は色々な参加者の間で見られたようです。一方で「ビタミンEが心臓疾患に効果がない!」という話は二次予防の段階での話で、「心臓疾患にかからないようにしよう!」という一次予防の段階の効果は今回はわからなかったみたいです。

 βカロテン、ビタミンEはサプリじゃなくて自然に摂るほうが良さげ

過去に取り上げた「ビタミンEサプリの摂りすぎで死亡率がグンと上がった」なんていう信憑性が高い論文もあったり、「抗酸化ビタミンのサプリ、特にβカロテンの摂りすぎは死亡リスクを高める」というこれまた信頼できる論文もあるので、わざわざ高いお金をだしてサプリを買うよりも普段の食事から自然に摂っていれば問題ありません。サプリだと過剰摂取になりがちですので・・。

参考文献&引用

#1 Deepak P Vivekananthan, Marc S Penn, Shelly K Sapp, Amy Hsu, Eric J Topol “Use of Antioxidant Vitamins for the Prevention of Cardiovascular Disease: meta-analysis of randomised trials“,Lancet,Vol.361,pp2017–2023,2003.

# あさかホスピタルグループ 「用語集」
https://asaka.or.jp/dictionary/detail/137/(2018年3月11日アクセス)