赤羽(Akabane)
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前提:瞑想にも色々な種類がある
瞑想と言えば、スティーブジョブズなど世界の名立たるCEOたちも実践していたりで、ここ最近ずっとブームが続いている分野であります。そんな瞑想ですが、ひと口に言っても色々な種類があって、
- 呼吸瞑想..呼吸に意識を向けながら行うタイプ
- ヴィパッサナー瞑想..頭で流れる雑念や思考を手出しせずただ観察するタイプ
- 慈悲の瞑想..あらゆるものに感謝、慈悲の念を向けながら瞑想するタイプ
ザっと挙げてもこんなにあります。ヴィパッサナーはマインドフルネス瞑想の一種とも言われていて、俗に言う「今ここ」を意識して受け容れるイメージ。それぞれ中身も用途も全く違うので、ここは好みに合わせるとよろしいかと思います。
ただのメンタルトレーニングではない?瞑想がフィジカルにもたらす5つの効果一日たった10分のマインドフルネス呼吸瞑想で脳から注意力を変える?
といったところで、今回はマインドフルネスと呼吸瞑想を組み合わせた瞑想について最新の情報を共有します。参考になるのが、2018年にオスナブリュック大学が発表した研究(#1)で、結論から言うと短期間のマインドフル呼吸瞑想で脳の注意力が高まった!ということが分かりました。
この研究は、34名を対象に、彼らを以下の2つのグループに分ける実験を行っています。
・漸進的筋弛緩法グループ..週に平均2.99回のセッションで計42.41分のトレーニングを行った
実験期間は8週間
そして、実験前後で視覚的な注意力や空間記憶能力を試すテストを行っていて、一日10分の呼吸瞑想が漸進的筋弛緩法と比べて注意力アップにどれ程効くのか?を比較しています。ちなみに漸進的筋弛緩法というのは、簡単に言うと筋肉に意識的に力を入れたり抜いたりしてリラックスする方法のことです。
そしてここで行ったテストというのは、2~5個くらいの動く物体の中でターゲットの物体を注意深く追っていく、みたいな内容で、なかなか視覚的な注意力が試される内容であります。
以上を踏まえて、各々8週間のプログラムをこなした結果は、
- 呼吸瞑想グループでテストの成績がアップした
- 視覚的な注意力も高まっていた
- 主観的なマインドフルネス感は両グループで変化なし
このように、呼吸瞑想を8週間行ったグループで視覚的な注意力に要する脳のリソースが減って(効率がアップ)、実際のスコアも上がったようです。一日ほんの10分でいいなら気軽に試せて良さげですね。
最後に注意点を挙げるとすると、今回行われた瞑想のタイプでしょうか。冒頭で前置いたように、マインドフルネスと呼吸瞑想を掛け合わせたもので、厳密には呼吸瞑想とは違う!と。研究チームも、
呼吸への意識は変えずに、一方でその瞬間巻き起こる思考や感情、音、体の感覚に対してはオープンな状態を保ち、受け容れる。[筆者訳]
このように仰っていました。要は呼吸瞑想を土台に置きつつも、今ここの体験を受け容れるマインドフルネスのスタンスを組み合わせているんですね。
ちなみに今回漸進的筋弛緩と比べて注意力がアップした件についても、この「瞬間に起こる思考や感情、体の感覚(リラックスしているとか)」に対して反応するか、観察して受け容れるか、の違いによるものではないか?とのこと。
赤羽(Akabane)
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#1 Benjamin Schöne, Thomas Gruber, Sebastian Graetz, Martin Bernhof & Peter Malinowski ,”Mindful breath awareness meditation facilitates efficiency gains in brain networks: A steady-state visually evoked potentials study“,Scientific Reportsvolume 8, Article number: 13687 (2018).