赤羽(Akabane)
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「低FODMAP」の問題点をクリア!荒れた腸内環境を治す新しい食事法「優しいFODMAP」
「FODMAPs(フォドマップ)」については前章でザックリ説明しておりますが、一応ここでも軽くおさらいしておきます。
「FODMAPs」とは、「Fermentable(発酵性)」「Oligosaccharides(オリゴ糖)」「Disaccharides(二糖類)」「Monosaccharides(単糖類)」「Polyols(ポリオール)」の頭文字を取った名称で、短鎖炭水化物や糖アルコールのグループを表したものである。[筆者訳](#1)
あまりピンとこないかもですが、要はこうした炭水化物の仲間たちは消化吸収が大変だったり、腸内でガスを発生させやすかったりで、腸内環境が最悪な人にとってはよろしくないモノなんですね。
で荒れ果ててしまった腸内環境を復旧するために、このFODMAPを徹底的に排除した「低FODMAPs食」が効果てき面だ!と。
荒れ果てた腸内環境を治す最重要ポイント「FODMAPs」とは?低FODMAPs食の問題点や批判、危険性
では以上を踏まえて本題へ入りましょう。ここでは2019年にモナッシュ大学が発表した研究(#2)を参考に、まず従来の問題点をチェックして、次に新しいFODMAPの中身をザっと見ていきます。(*モナッシュ大学は「低FODMAP」の生みの親)
低FODMAPsでは大きく3つのステップがありますが、このステップは「トップダウン」だと言われています。つまりスタート地点から急に厳しい食事制限をしすぎだ、と。(*3つのステップについては前章の記事リンクをご覧ください)
こうした急な食事制限は大抵の場合問題はないんですが、一部で問題になる人もいます。例を挙げると、
- 既に別の食事制限をしている人:栄養不足になる恐れがある
- 摂食障害を抱える人:極端な食事制限は心理的、肉体的にダメージが大きい
- 子ども:体の発達のために十分が栄養が必要だし、小さいうちからバランスの取れた食生活を習慣づけたい
こういった状況の人たちです。なので極端な食事制限が難しい人には、緩い食事制限から進めていく「ボトムアップ」な『優しいFODMAP』を勧めておきます。
他にも、食事制限が厳しいとガイドラインを守らなくなる人も出てきたりすることも考えられますし、こういった従来の問題点を解決してくれるのが次に紹介する「優しいFODMAP」です。
従来の問題点を克服した「優しいFODMAPs」で食べても良い食品・避けるべき食品とは?
この「優しいFODMAPs」で制限する食事は、ザっとこんな感じです。
- 穀物:小麦、ライ麦
- 野菜:玉ねぎ、ニラ、カリフラワー、マッシュルーム
- 果物:リンゴ、ナシ、ドライフルーツ、桃や杏など核果、スイカ
- 乳製品:牛乳、ヨーグルト
- 肉の代替品:豆類全般
従来の禁止リストよりかなり緩いですね。まずはこの食品リストを徹底的に禁止して、腸の様子を見ましょう、と。ちなみに従来の「低FODMAP」の制限だと、
こんな感じ。野菜や果物だけでもこんなにあって、これに比べれば新しい制限は何のこれしきですね。
注意点・まとめ
では最後に今回の内容をまとめます。
- 低FODMAPは厳しい食事制限故に摂食障害持ちや子どもなどには悪影響があるかもしれない
- そこで新しく定義されたのが「優しいFODMAP」
- 従来の1割くらいのかなり緩い禁止ルールになっている
こんな感じでしょうか。低FODMAPが辛そう…という意見はよくあるんですが、これなら始めやすそうですね。
赤羽(Akabane)
壊れた腸内環境を立て直す「FODMAPs」次号
荒れた腸を立て直す食事制限「低FODMAP」の問題点:栄養の偏りによって不足しがちな7つの栄養素壊れた腸内環境を立て直す「FODMAPs」バックナンバー
荒れ果てた腸内環境を治す最重要ポイント「FODMAPs」とは?荒れ果てた腸内環境の救世主「低FODMAPs食」のNG食品・OK食品一覧【過敏性腸症候群】「低FODMAPs」の食事制限はどのくらい効果があるのか?【難しい?腸内細菌が壊滅?】「低FODMAP」にありがちな4つの反対意見・批判とその一問一答参考文献&引用
#1 Peter R Gibson Susan J Shepherd. Evidence‐based dietary management of functional gastrointestinal symptoms: The FODMAP approach. Journal of Gastroenterology and Hepatology Volume25, Issue2, February 2010, Pages 252-258.
#2 Emma P Halmos Peter R Gibson. Controversies and reality of the FODMAP diet for patients with irritable bowel syndrome. J Gastroenterol Hepatol. 2019 Jul;34(7):1134-1142.