赤羽(Akabane)
目次
筋トレは認知機能を向上させてくれるのか?をガッツリ調べたメタ分析が登場。
早速ですが、この問題について参考になりそうな研究を覗いてみましょう。
筋トレは脳の認知機能アップや衰えに効くのか?
これは2019年にアラバマ大学バーミンガムの教授らが発表したメタ分析(#1)で、筋トレは高齢者の認知機能に効くのか?を調べてくれています。
結論から言ってしまうと、筋トレも認知機能改善&衰え防止に効果アリでした。ただ今回の研究ではもっと細かいところまで調べてくれていました。
ザっと中身をおさらいしておくと、こんな感じでした。
- 24件の筋トレ研究を精査
- 1件(平均年齢20.1歳)を除いて、参加者は平均年齢50歳以上の高齢者
- 10件の研究で認知機能に何らかの障害を抱えている参加者が対象
- 実験期間は4~96週間(平均16週間)で筋トレは大半が週2~3回の頻度で行われた
こんな内容でした。ちなみに認知機能の障害というのは、慢性的な脳卒中やパーキンソン病など深刻なものから、認知症の前段階や主観的な記憶障害、鬱による認知障害、睡眠障害など様々。
そして重要なポイントとして、当研究では「認知機能」を細かく4つに分けていました。
- 全般的な認知機能のテストスコア
- 認知機能の衰え具合
- 実行機能
- ワーキングメモリ(短期記憶)
筋トレがこれら4つにそれぞれどれ程の効果があるのか?を調べたんですね。ちなみに実行機能とは、先を見据えて計画を立てたり、セルフコントロールに大事な脳の機能で、ワーキングメモリは、短期記憶の中でもその情報をとどめておきながら処理する能力のこと。
そしてこうした分析の結果、次のようなことが分かりました。
- 全般的な認知機能テストのスコアがかなり改善!(SMD:0.71,95%CI 0.30–1.12)
- 認知機能の衰えも大きく改善!(SMD:1.28,95%CI 0.39–2.18)
- 実行機能もまあまあ改善!(SMD:0.39,95%CI 0.04–0.74)
- ワーキングメモリには効果なし!(SMD:0.151,95%CI −0.21-0.51)
ここから、筋トレは認知機能全般に効く!と言えそうです。ただし今回ワーキングメモリの性能には改善効果が見られませんでした。
更にもう一点。今回の結果は全体的にポジティブな結果が出ていたものの、研究によって効果の差が大きかったです。つまり、筋トレは上に挙げた三つの認知機能に効果が見込めるんですが、具体的な大きさはハッキリと断言できないということ。
赤羽(Akabane)
関連記事はこちらもどうぞ
慢性病の予防にも効果!筋トレで体内の脂質や炎症をガッツリ減らすための条件とは?メンタルを救え!見た目だけじゃない筋トレの「不安改善効果」筋トレは認知機能を向上させてくれるのか?をガッツリ調べたメタ分析が登場。参考文献&引用
#1 Landrigan JF, Bell T, Crowe M, Clay OJ, Mirman D,”Lifting cognition: a meta-analysis of effects of resistance exercise on cognition.“,Psychol Res. 2019 Jan 9.