57種類から浮かび上がった「早死にリスクを強力に予測できる要素」とは?

57種類から浮かび上がった「早死にリスクを強力に予測できる要素」とは?

赤羽(Akabane)

平均寿命が延びるのに伴って、生活習慣病の問題が浮き彫りになりました。酒やたばこ、運動不足など、定番の改善ポイントが取り沙汰されるものの、他の社会・経済・心理的な要素にはあまり焦点が当てられません。そこで今回紹介する研究の登場です。

57種類から浮かび上がった「早死にリスクを強力に予測できる要素」とは?

酒やたばこ以外にも早死にリスクの予測因子はこんなにある!という調査結果

2020年にブリティッシュコロンビア大学が発表した研究(#1)によると、酒やタバコなどの生活習慣以外にも、早死にリスクに関係する要素はたくさんある!ということが分かりました。

この研究では、アメリカ在住の13,611名(52〜104歳、平均69歳)を対象に、彼らを6年間以上追跡しています。見ているのは期間中の死亡リスクでして、これが以下のような項目とどのくらい結びついているのか?をチェックしていました。

  • 幼少期に体験した社会経済的・心理的に悪影響な出来事
  • 社会経済的な状態
  • 健康的な振る舞い
  • 社会とのつながり
  • 大人になってからの悪影響な出来事
  • 心理的な特徴

*聞き取り調査は年2回ペースで行われた

細かく分けると全57種類で、これらの要素の中で早死にリスクと強く結びついているのはどれなのか?ということですね。

すると実験の結果、こんなことが分かりました。

結果
  • 「現在の喫煙歴」が早死にリスクの最も強い予測因子だった
  • 次いで「離婚歴」「アルコール依存」「最近の経済的な困難」「失業経験」「過去の喫煙歴」「低い人生満足度」「未婚」「食事の炊き出しへの参加」「ネガティブ感情」という順番になった
  • 57種類の要素のうち42種類は早死にリスクの予測因子ではなかった(学歴の低い母親、大人になってからの心理的な悪影響、協調性の低さなど)

どうやら、定番の酒やたばこ以外にも色々な要素が関係していそうです。ダントツはやはりたばこでしたが、他にも家庭や仕事での問題、経済的状況、ひいては人生全体に対するネガティブな気持ちなんかも死亡リスクと強い結びつきが見られたようです。

またこうした結果は人種や性別、学歴によってはあまり左右されなかったみたいです。一方で、年齢層の違いによっては結果も変わってきまして、75歳より若い人たちではむしろ死亡リスクを予測する有意な要素が多かった様子。

6つの領域ごとに早死にリスクの予測度を見てみると…

今回の研究では、6つの領域ごとに見たときの死亡リスク予測度まで調べてくれていまして、ザっとこんな感じでした。

  • 健康的な振る舞い(4.7%)
  • 社会とのつながり(3.1%)
  • 心理的な特徴(2.6%)
  • 社会経済的な状態(2.3%)
  • 大人になってからの悪影響な出来事(1.3%)
  • 幼少期に体験した社会経済的・心理的に悪影響な出来事(1.1%)

性別や人種、出生地をまとめても1.9%にしかならないので、こうしてみると「普段の生活習慣や心身の健康って大事なんだな…」と改めて痛感させられます。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ざっと以下の点も押さえておくとよろしいかと。

注意
  • サンプルは限定的で、アメリカ在住の人しか含まれておらず人種に偏りがある
  • 研究のデザイン上因果関係は特定できない
  • 一部データの量と質が弱い: 幼少期のデータは記憶の観点から不確かであったり、データの量も少なかった

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • アメリカの1万人以上を対象に6年間追跡した調査結果によると、酒やたばこといった生活習慣以外にも期間中の死亡リスクを強く予測する要素がいくつか見つかった
  • ダントツは「現在の喫煙歴」だったが、次いで「離婚歴」「アルコール依存」「最近の経済的な困難」「失業経験」「過去の喫煙歴」「低い人生満足度」「未婚」「食事の炊き出しへの参加」「ネガティブ感情」という順になった
  • 要素の領域別に見ると、普段の健康的な生活習慣が第一で、次いで家族やパートナーなどとの良好な人間関係やメンタルヘルスが大事であることが分かった

赤羽(Akabane)

生活習慣の他にも、良好な人間関係やメンタルヘルス、経済状況あたりも気にかけておくとよろしいかと思います。

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参考文献&引用

#1 Eli Puterman, Jordan Weiss, Benjamin A. Hives, Alison Gemmill, Deborah Karasek, Wendy Berry Mendes, David H. Rehkopf. Predicting mortality from 57 economic, behavioral, social, and psychological factors. Proceedings of the National Academy of Sciences Jul 2020, 117 (28) 16273-16282; DOI: 10.1073/pnas.1918455117

※当記事はメンテナンス済みですが、2020年12月27日に公開された時点での内容となっておりますので、情報が古くなっている場合もあります。