赤羽(Akabane)
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原因不明の腰痛にはこの運動が最適だ!セラピストの施術と比べると驚きの結果が…
実は腰痛の原因については特定できるケースがまだ少なくて、わかっていないことも多い分野なんですね。
というわけで、この記事では腰痛に効く運動の種類を見ていきましょう。
運動は腰痛に効くのか?効くとしたらどんなエクササイズがベストなのか?
2019年にディーキン大学が発表したメタ分析(#1)では、89件のRCTから5578名(平均20〜70歳)の腰痛持ち患者を対象に、どんな運動が腰痛やそれに伴う体の機能改善に一番効くの?というところを調べてくれていました。
各研究では主に実験前後での参加者らの腰痛レベルを測定していて、実験期間中は4〜24週間。この間、彼らをランダムに以下の2グループに分けていました。
- 運動グループ(3924名):ピラティス、有酸素、筋トレ、ヨガ、体幹トレ、マッケンジー、ストレッチなどを週1〜7回行う
- 比較グループ(1654名):何もしない、セラピストの施術を受ける、セラピストの施術なしの診断など週0.3〜5回を受ける
ちなみに参加者らの実験開始時の腰痛レベルは、100ポイントで表すと21〜79点でした。腰痛歴は0.2〜14年と長いこと付き合っている人も居たみたいですね。
そして実験前後でグループ間の効果の差を比較してみると、こんな結果になったようです。
- 痛みの指標は比較グループと比べて、ピラティスで最も高い改善効果が見られた
- 体の機能改善には筋トレ、体幹トレが最も効果が高かった
- 腰痛に伴うメンタルヘルスの悪化には筋トレと有酸素運動が最も効果が高かった
まとめると、ピラティス、筋トレ、体幹トレ、有酸素あたりで腰痛自体やそれにまつわる問題を改善する高い効果が見られたんですね。(効果量に換算すると >0.8くらいとのこと)
しかもこうした結果は、何もしないグループと比べた場合だけでなく、セラピストによる施術と比べた時も一貫して確認されていました。総合すると、腰痛改善には運動の圧勝といったところでしょうか。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくとよろしいかと思います。
- 全体的に研究の質は高くない:一部参加者の実験開始時の痛みレベルや性別を報告していない実験があった
- 運動や施術の頻度には実験ごとにバラツキがあった:どのくらいの頻度で高い効果がでるか?など詳しい部分は分からない
- 今回含まれた8割近くの研究で何かしらのバイアスがかかっている可能性が高い:開示されている情報が少なかったり、グループ分けの方法に主観が混じるものがあったりして正確な結果が出ていないかもしれない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 兼ねてから原因のわからない腰痛に効果があると言われていた運動
- ピラティスは痛みに直接、筋トレや体幹トレは体の機能に、筋トレや有酸素は痛みに伴うメンタルの沈みに効果的であることがわかった
- まだ各実験の質が高くないので、今回の結果は今後変わるかもしれない
こんな感じでしょうか。ヘルニアや腰椎分離症以外の、腰痛の原因が特定されていない場合は、上記で挙がった運動を試してみてもいいかもしれません。
赤羽(Akabane)
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#1 Patrick J Owen, et al. Which specific modes of exercise training are most effective for treating low back pain? Network meta-analysis. British Journal of Sports Medicine Published Online First: 30 October 2019.