【フル vs. ハーフ】スクワットのしゃがむ深さによって下半身の筋肉への効果はどう変わるのか?

【フル vs. ハーフ】スクワットのしゃがむ深さによって下半身の筋肉への効果はどう変わるのか?

赤羽(Akabane)

今回は「スクワットで屈む深さは筋肉の発達にどんな違いを生むの?」というお話です。

スクワットのしゃがむ深さによって下半身の筋肉への効果はどう変わるのか?

スクワットは下半身の筋トレの王様だけど、フルとかハーフとかクォーターとか、色々な種類があるよね。
一体どれを選べば一番効果が高いんだろう…?

この記事では、上記のような疑問について、参考になるデータを見ていきます。

東大の実験!フル vs. ハーフスクワット!筋肉の発達により効果的なのは?

2019年に東京大学が発表したRCT(#1)によると、筋肉量の増加と筋力アップの両方で、軒並みフルスクワットに有利な結果だったことが分かりました。

この研究は、17名の若い男性(20歳前後)を対象に、スクワットで屈む深さによって筋肉の発達にどんな効果があるのか?を調べています。実験に当たって、まず彼らを以下の2つのグループにランダムで分けました。

  • フルスクワットグループ(8名): スクワットの時、膝の角度が140度になるまでしゃがむ
  • ハーフスクワットグループ(9名): スクワットの時、膝の角度が90度になるまでしゃがむ

*トレーニングは週2回で実験期間は10週間

そして実験前後で、大腿四頭筋やハムストリングスなどの筋肉群、お尻の大臀筋といった関連部位の筋肉量や、フル&ハーフスクワットの1RMによって、筋力の測定も行いました。

すると結果、以下のようなことが分かりました。

結果
  • フルスクワットの1RMによる筋力測定に関しては、フルの方がハーフよりも相対的な筋力アップ度は大きかった(31.8±14.9% vs. 11.3±8.6%; p=0.003)
  • しかしハーフスクワットの筋力測定に関しては、フルとハーフで有意な差は見られなかった(24.2±7.1% vs. 32.0±12.1%; p=0.132)
  • 筋肉量に関しては、大腿直筋を除く大腿四頭筋群ではフルとハーフ両方で有意な成長が見られた(4.9±2.6%; p
  • ハムストリングスの筋肉群では、両グループで有意な成長は見られなかった
  • 太ももの内側にある内転筋群やお尻の大殿筋では、フルの方がハーフよりも相対的な筋肉量増加度は大きかった(6.2±2.6% vs. 2.7±3.1%; p=0.026 & 6.7±3.5% vs. 2.2±2.6%; p=0.008)

まとめると、全体的にフルスクワットに軍配が上がっていて、単純にフルスクワットの1RMの記録が伸びやすかったり、スクワットで狙う太ももやお尻周りの筋肉で有意な発達が確認されたんですね。

ハムストリングスが発達しなかった理由については、恐らく普段トレーニングをされている方はご存知かと思いますが、スクワット中、太もも裏の筋肉はほとんど伸縮せず、「アイソメトリック(等尺)」な状態になります。よって、動作中に与えられる刺激が筋肉の発達を促すには不十分なレベルかもしれない、と考えられています。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • サンプルサイズは小さい: 対象者の数が少ない分、統計的なパワーは弱くなる
  • 対象は若い男性のみ: 他の性別や、年齢層の組み合わせでどこまで近い結果が得られるか?は分からない
  • グループ間で筋肉に負荷をかける時間が違うかもしれない: フルとハーフで差が生まれた要因として、フルの方が筋肉に負荷がかかる時間が長いというのが考えられるが、この辺りは考慮できていない

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • スクワットのしゃがむ深さによって、筋肉の発達に違いが生まれる
  • 今回の実験では、スクワットで狙う筋肉の部位の発達や筋力アップに関しては、全体的にフルスクワットの方が効果が高かった
  • お尻や太もも周りの筋肉を重点的に鍛えたい場合は、多関節種目としてフルスクワットを取り入れると良さそうだ

赤羽(Akabane)

スクワットは動作に慣れたらフルの方が良さそうですね。運動習慣のない方だと、ベンチに座った状態から立ち上がるボックススクワットなどで動作に慣れてからの方がよろしいかと。また、スクワットに関しては、しゃがみ込みを途中で止めるよりも、フルにしゃがんでしまった方がかえってケガにリスクも小さいという話もあります。

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参考文献&引用

#1 Kubo K, Ikebukuro T, Yata H. Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes. Eur J Appl Physiol. 2019;119(9):1933–1942. doi:10.1007/s00421-019-04181-y