赤羽(Akabane)
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人工甘味料「スクラロース」はインスリン感受性を低下させてしまうようだ
スクラロースは人工甘味料の一種で、ショ糖(砂糖の主成分)の構造を人工的に変化させたものです。砂糖の600倍の甘さになると言われていて、今では世界中で砂糖の代用品として愛用されています。
こうした人工甘味料は、甘さがギュッと濃縮されている分、使用量が減るので、カロリーオフの飲料などで「太らない!」として人気を集めています。
そこでこの記事では、スクラロースは実際のところ体にどんな影響を与えているのか?について見ていきます。
スクラロースは健康な人のインスリン感受性を下げてしまうようだ
2018年にメキシコの研究機関が発表したRCT(#1)によると、スクラロースを毎日摂るとインスリン感受性が低下してしまうことが分かりました。
この研究では、健康体かつ標準体型の61名(中央値23歳、女性74.2%)を対象に、彼らをランダムに以下2つのグループに分ける実験を行いました。
- スクラロースグループ(30名):スクラロース入りの製品「スプレンダ」を一日3パック飲むように指示される(1パック..958mgのデキストロース、30mgのマルトデキストリン、12mgのスクラロース)
- コントロールグループ(31名):スクラロースグループと同じ指示を受けるがスクラロースが入っていない製品を飲む
期間は14日間で、実験前後にインスリン感受性やブドウ糖に対するインスリンの反応などをチェック、グループごとに比較をしていくという流れでした。
そして結果を見てみると、こんな感じになりました。
- スクラロースを毎日摂ったグループは、中央値でインスリン感受性が17.7% (-29.3%~ -1.0%)低下していた
- コントロールグループでは中央値で2.8% (-30.7% to 40.6%)の低下だった
- スクラロースグループでは、糖の摂取に対する一時的なインスリン分泌量が増えていた(≒インスリンが以前より効きづらくなっている可能性)
まとめると、スクラロース入りの製品を毎日摂り続けたグループで、インスリンの効き目が悪くなっていることが分かったんですね。
また、多重ロジスティック回帰分析の結果、年齢やBMI、体重の変化、運動、摂取カロリー、他に含まれていた糖質といった別の要素を差し置いて、スクラロースの摂取量がぶっちぎりでインスリン感受性の低下に寄与していたことも判明したようです。
ではどうしてスクラロースでインスリン感受性が低下してしまったのでしょう?代表的なメカニズムとしては、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞に部分に存在する、甘みを感知する受容体によってインスリンが分泌されたり、それに応じて腸管内分泌細胞がインスリンや消化管ホルモンの分泌を促進する、といった仕組みが関係していると考えられています。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 参加者の7割は女性:男性のデータが少ない分、男性でも同様・同程度の結果が得られるとは限らない
- スクラロース入り製品には他にも糖質が含まれていた:後に回帰分析などを行って、こうした要素の影響も調整してはいるが、純粋なスクラロースのみの結果ではない
- 実験期間はまだ短い:人工甘味料の効果を検証する試験としては比較的長い方だが、まだ中長期的な結果とは言えない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 人口甘味料「スクラロース」は砂糖の600倍の甘さを持つと言われる
- スクラロース入りの製品を毎日摂り続けたグループでは、インスリン感受性が低下してしまっていた
- メカニズムとしては、スクラロースの甘味を感知してインスリンが過剰分泌されてしまう、腸内環境が荒らされて糖代謝能が下がる、など色々考えられる
赤羽(Akabane)
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#1 Romo-Romo A, Aguilar-Salinas CA, Brito-Córdova GX, Gómez-Díaz RA, Almeda-Valdes P. Sucralose decreases insulin sensitivity in healthy subjects: a randomized controlled trial. Am J Clin Nutr. 2018;108(3):485–491.