赤羽(Akabane)
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【ドカ食いの疑問】満腹を超えたカロリー摂取にも人体は上手く適応できることが判明
この記事では、上記のテーマについて面白いデータを見ていきます。
ピザをドカ食いする実験
2020年にブリストル大学が発表したランダム化クロスオーバー試験(#1)によると、我々の体は一時的なカロリー超過に上手く適応することができるようです。
この研究では、14名の標準体型の男性(平均28歳)を対象に、以下の2つの実験パターンをこなしてもらうという実験を行いました。
- アドリブ:気持ち良い満腹感を感じるまでドミノピザを食べ続ける
- マキシマム:「もう一口も食べれない..」というレベルまでドミノピザを食べ続ける
結果として、カロリー摂取総量には2倍の差があったようで、それぞれ1584kcal、3113kcalという風になったみたいです。一回の食事にしてはかなり食べましたね~。
そして実験パターン間で、食後のホルモン分泌や血糖値などの数値を最大240分後まで測定・比較したところ、こんなことがわかりました。
- 食後240分を通しての血清インスリン濃度はマキシマムで55%高かったが、血糖値には両者で有意な差は見られなかった
- 中性脂肪や遊離脂肪酸もマキシマムで有意に増加しており、消化管ホルモンは全体的にマキシマムで増加する傾向があった(満腹感を示す)
- マキシマムで食後に感じる倦怠感がより強かった。240分経過後の食欲は、両者で同じレベルに戻った。眠気に関しては両者で同じくらい高まった
これだけ見ると、「やっぱり食べ過ぎるとカロリー超過で数値が大変動するんじゃ..?」と思えますが、どうやらこうした変動は時間の経過と共に徐々に調整されていくみたいです。現に、マキシマムでは血糖値の上昇を抑えるために、食後240分までインスリン分泌量がずっと高いことが分かっていたり、食事量の変化に伴って微調整が行われているのが分かります。中性脂肪の増加に関しては、カロリー超過分を考慮すると自然な反応でしょうかね..(笑)
この実験の白眉は、「若い標準体型男性は満腹感を感じるのに必要なカロリーから更に2倍近く食べれるんだ!」という結果と、「血糖値上昇を抑えるために、体はカロリー超過に応じてインスリン分泌量を増やしていた」という結果でしょうか。体のシステムは一時的なイレギュラー対応もバッチリですね。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくと宜しいかと思います。
- サンプルサイズは小さく、サンプルは限定的: 対象者が少ない分、統計的なパワーは弱くなり、対象者が標準体型の男性に絞られる分、女性や他の体型の人にどこまで当てはまるか?は分からない
- 食事の内容にパターンがない: 食事は一律でドミノピザの1種類のみなので、他の栄養パターンの食事でどんな結果になるか?はわからない
例えば、ピザには圧倒的に食物繊維が足りていないですが、食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。こうした食品では、また違った結果が得られることでしょう。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 満腹を超えたカロリー摂取にも人体は上手く適応できるようだ
- 若い標準体型の男性を対象にした実験によると、1回のドカ食いで一時的なホルモンなどの数値変動は起こるものの、時間の経過とともに順応していくことがわかった
- 食後240分経つと、2倍ちかくのカロリーを摂っていても、食欲のレベルはその半分のカロリー摂取の場合と同じくらいに戻るみたいだ
赤羽(Akabane)
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#1 Hengist, A., Edinburgh, R. M., Davies, R. G., Walhin, J-P., Buniam, J., James, L. J., Rogers, P. J., Gonzalez, J. T., & Betts, J. A. (2020). The physiological responses to maximal eating in men. British Journal of Nutrition, 1-32. https://doi.org/10.1017/S0007114520001270