赤羽(Akabane)
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マインドフルネスと催眠療法を掛け合わせた「マインドフルヒプノセラピー」は若者のストレスを和らげてくれるか?
マインドフルネスとは、簡単に言うと「今この瞬間を意識的に過ごす」みたいな考えでして、メンタルや認知機能などに好影響があるという報告も多数です。
というわけで、この記事では「マインドフルネス×催眠療法でストレス解消ができるかも?」というデータを見ていきます。

マインドフルヒプノセラピーが若者のストレスを解消してくれる?
2020年にベイラー大学が発表したRCT(#1)によると、マインドフルネスと催眠療法を組み合わせた「マインドフルヒプノセラピー」が若者のストレス解消に効果的!であるようです。
この研究は、普段から強いストレスに苛まれている42名の学生(18〜21歳)を対象に、8週間の実験プログラムを実施したものです。具体的には、まず彼らを以下のようなグループにランダムで分けました。
- マインドフルヒプノセラピー(22名): 週1回のマインドフルネス&催眠療法セラピーに参加し、その内容に沿ったオーディオCDを毎日聴きながら自宅でも取り組む
- コントロールグループ(20名): 実験期間中、何もしない(実験が終わったら同じセラピーを受けられる)
*セラピーの内容…マインドフルネスの要素「今この瞬間への意識」「今を判断せずにただ観察する」や、自己催眠術、それを用いたセルフコンパッションの強化など
グループ毎に比べるのは、実験前後で調査した主観的なストレス度や、マインドフルネス度の高さでした。そして上記の実験の結果、以下のようなことが分かりました。
- セラピーグループは、コントロールグループよりも有意に実験後の主観的ストレス度が低下していた(p < .001, 15.35 (1.54), g = −1.14)
- 一方で、マインドフルネス度のスコアは有意に増加していた(p < .001, 50.07 (2.04), g = 1.36)
「g = 〇〇」は効果量と言い、効果の大きさを数値で表したもの。一般には、「g ≦ 0.7」で「効果大」とされるので、今回の効果はなかなか大きいものと解釈できる
まとめると、マインドフルヒプノセラピーを受けたグループで、有意に主観的なストレスが減っていて、一方でマインドフルネス度は高まっていたんですね。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくと宜しいかと。
- サンプルサイズは小さい: 最終的に回答を得られたのが30名程と少ない分、統計的パワーは弱め
- サンプルは同大学の学生のみで、女性が多め: 対象者は、研究の発表元であるベイラー大学の学生のみ(女性8割)なので、どこまで一般化できる内容なのか?は分からない
- 比較対象は「何もしない」グループである: 他のメンタル治療法との比較でどれ程優位なのか?は分からない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- マインドフルネスと催眠療法を掛け合わせたメンタルの治療法「マインドフルヒプノセラピー」
- 普段から強いストレスを受けている学生を対象にした実験では、マインドフルヒプノセラピーで、有意にストレス解消&マインドフルネス度アップの効果が確認された
- マインドフルネスと催眠療法は、どちらもある一点に集中を向けたり、内面を観察したりと、何かと共通点が多いので、組み合わせて使えば相乗効果があるかもしれない
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Nicholas Olendzki, Gary R. Elkins, Elizabeth Slonena, Julia Hung & Joshua R. Rhodes (2020) Mindful Hypnotherapy to Reduce Stress and Increase Mindfulness: A Randomized Controlled Pilot Study, International Journal of Clinical and Experimental Hypnosis, 68:2, 151-166, DOI: 10.1080/00207144.2020.1722028